<46:俺たちのビート(5)>
福井敦・・・軽音楽部の高校2年生。バンド「クリード」のギター担当。
安藤弘堅・・・軽音楽部の高校2年生。バンド「クリード」のベース担当。
宮吉航・・・軽音楽部の高校2年生。バンド「クリード」のドラム担当。
柱谷秀彦・・・軽音楽部の顧問。
体育館では、軽音楽部のライブが行われている。
現在は2年生のバンド、クリードが演奏中だ。
航が鳴らすドラムがダイナミズムを与え、弘堅の弾くベースが重厚感をもたらし、その上で敦のギターが激しくも華麗なメロディーを紡ぎ出す。
1曲目はディック・デイル&ヒズ・デルトーンズの『ミザルー』で、2曲目はザ・ヤードバーズの『ジェフズ・ブギー』だ。
どちらもインストで、ボーカルは入っていない。
2曲目が終わり、敦がスタンドマイクに近付いた。
「次が最後の曲です。クリードにとって初めてのオリジナル、そして初の歌モノです。聴いてください、『キング・ヴァニラ』」
短いトークの後、敦のカウントで曲が始まった。
イントロに続いて、弘堅がマイクに向かって歌い始めた。
低くて太い声質は、曲調にマッチしていた。
弘堅は歌いながら、チラッと敦を見た。
敦は目線を合わせ、満足そうにコクリとうなずいた。
広い体育館には、わずか50名ほどの客しか集まっていなかった。
クリードの人気が無いのではなく、軽音楽部の学園祭ライブでは、いつも、その程度の人数だ。
その内、曲に合わせて体を動かし、盛り上がっているのは半分にも満たなかった。
だが、それでも、クリードの3人は満足だった。
バンドをやっていることに、ライブで演奏していることに、喜びを感じていた。




