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青春詰め合わせパック(9個入り)  作者: 古川ムウ
[10月上旬]
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42/52

<42:恋と畳と柔道着(7)>

平井悟・・・柔道部員の高校2年生。

小原輝雄・・・平井の親友。

小原弥生・・・小原輝雄の姉。演劇部のOB。

秋田隆三・・・柔道部の主将。

瀬田伊織・・・テニス部員の高校1年生。


 (思い切って告白すべきではないか)

 そんなことを、悟は考えた。

 前回、弥生と会った時の、いい雰囲気。

 あれが彼の中で、ずっと気になっている。


 あの雰囲気は、弥生の側から醸し出されたものだと彼は感じている。

 ということは、彼女も自分に気があるのではないか。チャンスは充分にあるのではないか。そう思っているのだ。


 そもそも、弥生は汗臭いぐらいの男がタイプのはずだ。自分は、そのタイプに合致している。

 今はフリーでも、うかうかしていたら、別の誰かがアタックするかもしれない。

 あれだけの美人なのだから、狙う男は多いはずだ。

 他の男に先を越されてから後悔するのは嫌だ。それならば、まだ当たって砕けた方がいい。


 そんな風に思考を巡らせ、悟は決意を固めた。

 (よし、告白しよう)

 そう決めて、彼は教室を出ようとする輝雄に声を掛けた。

 学校で偶然に会う機会を待つよりも、自分から会いに行った方が確実だ。

 そのためには、越野邸を訪れる約束を取り付ける必要がある。



 「どうした悟、妙に緊張した顔で」

 悟の心境を知らず、輝雄は軽く笑う。

 「お前の家に行きたいんだが、いつなら大丈夫か教えてくれ」

 「ああ、前に、また来るような話になってたな。で、やっぱり姉貴が目当てなんだろ」

 「それは、その」

 「今回は否定しないのか。だけど、姉貴が目当てなら、やめた方がいいぞ」

 昌彦は眉をしかめる。

 「どうしてだ」

 「お前には残念な知らせだろうが、もう姉貴はフリーじゃないからな」

 「へっ」

 悟は、脳天をハンマーで殴られたような衝撃を受けた。


 「ちょ、ちょっと待て。それはつまり、誰かと付き合っているという意味か」

 「そういうことだ」

 一足遅かった。

 悟は決断が遅れたことを悔やんだ。

 もう少し早く告白していれば、自分が新しい恋人になれていたかもしれないのに。

 「新しい恋人が出来たのか」

 「いや、前の彼氏とヨリを戻したんだよ」

 「ヨリを戻した?」

 「ああ」

 「そうなのか……」

 悟は、ポツリと漏らす。


 「ちなみに、そいつは運動系の部活動をしているのか。かなりの実績があるスポーツマンだったりするのか」

 「いや、美術学科の学生だ」

 輝雄は淡白に答えた。

 「たぶん、スポーツ経験はほとんど無いんじゃないか。何回か見たことがあるが、痩せてて不健康そうな感じだったし」

 「ちょっと待て、お前は以前、弥生さんは汗臭いぐらいのスポーツマンが好きだと言っていなかったか」

 悟は動揺しながら、輝雄に詰め寄る。


 「そういうタイプが好きだと言ってるのはホントさ。ただ、実際に付き合う男は、正反対のタイプばかりなんだよ。女ってのは分からん」

 輝雄は肩をすくめる。

 悟は愕然とした。


 (ってことは、どう頑張ったところで、無駄だったのか)

 タイミングが早いか遅いかは、関係が無かったのだ。


 「ははっ、何だ、そうなのか」

 悟は力の抜けた笑いを発した。


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