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青春詰め合わせパック(9個入り)  作者: 古川ムウ
[9月下旬]
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27/52

<27:悩んで悩んで悩むのだ(4)>

角田雄一・・・3年3組の生徒。

星慎吾・・・角田雄一の親友でクラスメイト。

三上茂輝・・・角田雄一の親友。3年2組の生徒。

柳沢知良・・・角田雄一のクラスメイトで生徒会長。

美濃部昭宏・・・角田雄一の担任教師。

和田律子・・・パン屋のおばさん。


 「まだ悩んでるみたいだな」

 慎吾が軽い調子で言う。

 「まあな」

 対照的に、雄一の口調は重い。

 「お前、色んな奴から話を聞いて解決に向かうどころか、むしろ悩みが深くなってるんじゃないのか」

 「分かるか」

 「おいおい、マジかよ」

 慎吾が額に手を当てる。


 「もっと簡単に考えろって。本格的な進路なんて、もっと先になってから考えてもいいじゃねえか。俺なんか、辰見麻美が目当てで京極大学を狙ってるんだぞ」

 「誰だよ、それ。お前の好きな女か」

 雄一は気の無い言葉を返す。

 「好きな女に間違いは無いけど、素人じゃなくてグラビアアイドルだよ。知らないのか」

 「ああ、全く」

 「それなりに人気があるアイドルだぞ。その麻美ちゃんが、現役の京極大生なんだよ。だから、あの大学に入ったら、彼女に会えるチャンスも増える。上手くいけば、合コンも出来るかもしれない」

 「まだ入ったわけでもないのに、浮かれるなよ。しかし、大学選びが、そんな理由だとはなあ」


 「不純な動機だとでも思っているのなら、その通りだぞ」

 慎吾は堂々と言い切った。

 「何だよ、その妙な開き直りは」

 「開き直ってるわけじゃないぜ。どうせ大学へ行く理由なんて、特にこれといったものは無いんだ。だったら、そういう理由で進学先を選んでも、別にいいだろうと思ってな」

 「確かに不純な動機だけど、それも一つの考え方ではあるな」

 少なくとも、何の目的も見つけられない自分よりはマシだと、雄一は思った。


 「他人事みたいに言ってるけど、お前だって、そんな形で大学へ行くことを考えてもいいんじゃないのか。雄一は、好きな女性タレントとかアイドルとか、いないのか。その人が大学に通っていたら、そこを目指せばいいじゃないか」

 「好きな女性タレントか。いないなあ。男の俳優なら、好きな人がいるけど」

 「男かよ。まあいい、それで、その人は大学に行っているのか」

 「いや、かなりのオッサンだ」

 「それでも、過去に大学へ通っていたかもしれないだろ。その人の出身大学を目指すってのはどうだ?」

 「いや、それは無理だよ」

 雄一は淡々と告げる。


 「どうしてだよ、その人、高卒なのか」

 「良く知らないけど、とにかく無理だな」

 「何だよ、進路でやたら悩んでいるくせに、俺がせっかく親切心でアドバイスしてやったら、すぐに拒絶かよ」

 「そういうつもりじゃないけど。好きな俳優が俳優だけに、無理ってことだよ」

 「誰なんだよ、その俳優って」

 「サミュエル・L・ジャクソン」

 「なるほど、そりゃ無理だわ」

 苛立っていた慎吾は、あっさりと納得した。


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