<25:恋と畳と柔道着(4)>
平井悟・・・柔道部員の高校2年生。
小原輝雄・・・平井の親友。
秋田隆三・・・柔道部の主将。
小原弥生・・・小原輝雄の姉。学校のOB。
瀬田伊織・・・テニス部員の高校1年生。
「おい輝雄、今度の日曜、お前の家に遊びに行ってもいいか」
休み時間、不意に悟は、そんなことを言い出した。
「何だよ、唐突に」
輝雄は困惑する。
「日曜は、稽古が休みだからな」
「いや、そういうことじゃなくて、なんでお前が、俺の家に遊びに来るんだよ」
「友達なんだから、遊びに行くのは普通じゃないか」
「そうかもしれないけど、今まで一度も、そんなこと言わなかったじゃないか。それに俺の家に来て、何をするんだよ」
「友好を深め合うんだ」
悟は真顔で告げる。
「気持ち悪いこと言うなよ。ああ、そうか」
輝雄が気付いた表情になる。
「お前、姉貴に会いたいんだな」
考えを見抜かれ、悟は焦る。
「バカを言うな、俺はお前と友好をだな」
「そんなバレバレの嘘をつくなよ。別に硬派だからって、人を好きになっちゃダメというわけじゃないんだし」
「弥生さんを好きだなんて、俺は一言も口にしていないぞ」
「だから、素直に認めればいいんだよ。別に邪魔はしないから。協力もしないけど」
「おい、友達なのに協力しないのか」
「姉貴を何とも思ってないなら、そのリアクションはおかしいだろ」
「ああ、思ってないさ」
悟が強がるので、輝雄は呆れる。
「お前な、そういうのは硬派じゃなくて、ただの頑固だぞ」
「それで、いつなら言っても大丈夫なんだ?」
「もう来ることは決定なのかよ。まあ、別にいいけどさ」
輝雄は、肩をすくめた。




