漫才台本:『クリーン・ディストピア』
登場人物:
A: 常識人。近隣トラブルを避けたい一般市民。
B: 自称「究極の公衆衛生コンサルタント」。ルールを物理・生存レベルまで解釈する。
A: どうもー、よろしくお願いします。いやね、最近引っ越したんですけど、一番気を使うのが「ゴミ出し」なんですよ。
B: ああ、大事ですね。近所付き合いの基本ですから。
A: そうそう。決まった曜日に、決まった分別をして、朝8時までに出す。これさえ守れば、気持ちよく新生活が送れるっていう「常識」ですよ。
B: 甘いですね。そんな「フワッとした意識」でゴミを出してるから、カラスに舐められるんですよ。
A: カラスに舐められる? 分別さえしてればいいでしょ。
B: いいですか。まず、可燃ゴミ。あなたは「燃えるもの」を出すと思ってますけど、僕から言わせれば**「酸素と結合して熱を発する可能性のある全物質」**の廃棄ですよね。
A: 定義が硬いな! まあ、意味としては合ってるけど。
B: だったら、まず「ため息」は禁止です。
A: ……はい?
B: ゴミ袋を縛る瞬間に、あなたの「微細な飛沫」と「二酸化炭素」が混入する。これは実質、気体の不法投棄です。
A: 厳しすぎるわ! 息ぐらいさせてくれよ。
B: 結び目を作る際も、指紋を残してはいけません。摩擦熱で発火する恐れがありますから、液体窒素で指を冷やしてから、マッハ3の速度で縛り上げてください。
A: 指が粉々になるわ! なんでゴミ出しで命がけのミッション課せられてんだよ。
B: もっと深刻なのが「資源ゴミ(ビン・カン)」ですよ。
A: ちゃんと洗って出せばいいじゃない。
B: 違います。ビンのラベルを剥がす時、糊の跡が1ミクロンでも残っていたら、それはもう「化学兵器」の保持と見なされます。
A: 見なされないよ! 厳しすぎるんだよ、判定が。
B: 回収車の音が聞こえたら、あなたは「ゴミ置き場の気圧」になってください。
A: ……気圧になる?
B: 存在感を消し、ゴミと空間の境界線を曖昧にすることで、カラスの視覚情報をジャミングするんです。瞬きも禁止。まつ毛の風圧でゴミ袋が0.1ミリ動いたら、不審物として警察が来ます。
A: どんな監視社会だよ! ゴミ出すだけで国家レベルの緊張感持ってこなくていいんだよ!
B: 最後に。もしゴミ袋の中に「自分の名前が書かれた書類」が混じっていた場合、あなたは戸籍を抹消してください。
A: なんでだよ!
B: ゴミと個人情報が一致した瞬間、あなたの肉体も「巨大な粗大ゴミ」として処理場へシュートされる仕組みになっています。
A: システムが残酷すぎるわ! もういいよ!
B: ありがとうございました。




