漫才:シミュレーションの迷宮
A:最近、将来が不安でな。毎日、寝る前に頭の中で「人生のシュミレーション」をしてるんや。
B:意識高いのはええけど、お前、今なんて言った?「シュミレーション」か?
A:そうや。俺の頭の中のスーパーコンピューターが、高精度な「シュミレーション」を弾き出してくれるんや。
B:止めまえ!どこに「趣味」の延長があるねん。それは「シミュレーション(Simulation)」や!「シュ」じゃなくて「シ」に小さい「ュ」や!
A:え、「シュミ」やろ? 自分の「趣味」に合う未来を「レーション(選別)」するから「シュミレーション」。これ、常識やで。
B:勝手に語源を作るな!「レーション」は軍隊の配給食やろ。お前の未来は乾パン(かんぱん)か!英語の「Simulate(模倣する)」から来てる外来語なんや。
A:シミュ……? 言いにくいわ。そんなん、口の筋肉の「シュミレーション」が足りてへんわ。
B:また「シュ」って言うたな!お前、学術的な試行プロセスを、ただのホビー(Hobby)に格下げ(かくさげ)してどうすんねん。
A:いや、俺がやってんのはもっと高度なやつや。例えば、宝くじ(たからくじ)で3億円当たった時の「シュミレーション」。
B:それこそ「趣味」の妄想やないか!本来の「シミュレーション」っていうのは、数理的なモデルに基づいて、現実の動態を再現することなんや。
A:数理的……? ああ、知ってるわ。あの、中野くんがやってるやつやろ。
B:誰やねん中野くん。
A:中野くんが「趣味」でやってる「レーション(配給)」、略して「シュミレーション」。
B:中野くんのボランティア活動の話はしてへんねん!お前、さっきから「シ」と「シュ」の区別がついてへんのか?
A:ついてるよ。「シ」は、ほら、「シチュエーション」の「シ」やろ?
B:おお、それは合ってるな。
A:だから、そのシチュエーションを「趣味」で選ぶから、「シュミレーション」。
B:結局戻るんかい!ええか、お前がやってるのは、ただの「希望的観測」や。真の「シミュレーション」には、厳密なデータと論理が必要なんや。
A:厳しいなぁ。じゃあ、俺が「シミュレーション」って正しく言えたら、俺の未来は明るいってことか?
B:……まあ、言葉を正確に使うのは、論理的思考の第一歩やからな。
A:よし、わかった。……よし、明日のデートの「シュミレーション」してくるわ!
B:一生「趣味」で終わっとけ!もうええわ。




