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誰がための存在証明(レゾンデートル)  作者: リョウト
Fourth Chapter ~Fire Fear Find~
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第91話 気付きそうだと思ったが

ちょっと引越しでごたごたしてネットが出来ませんでした。まあ間隔あきすぎて本人がキャラを微妙に忘れたというのも遅れた原因ですが。

 ~フォーリン・カーズ・道場〜


 サモセックを現出させたハルはそのままローゼに切り掛かり、ローゼはその剣を身を半分逸らして避ける。


「全く、本能だの激情だのに飲まれるなと言っているのに!」


 いつ言ったのかは不明、というか本人があまり実践できていないが、ローゼはそんなことを言いながら刀の茎でハルの側頭部を殴ろうとするが、ハルはそれを剣に重心を移し、そのまま剣を振った勢いのまま前転してかわし、ローゼの腕は空を切る。


「むっ」

「グォルルル」


 ローゼがその動作に目を細めたその時、ハルは低く唸りながら剣を払う。しかしローゼも腕を戻しながら側転し、回避。そのまま逆袈裟でハルの胴を両断しようとするが、ハルは深い闇のような漆黒の腕でそれを受け止める。


「硬いな……」

「ゥウバウッ!」


 そのまま刀に沿って剣が振り下ろされる。が、ローゼは半身かわしてハルの懐にもぐりこんだ。

 そのままの勢いでローゼは刀を持ったままの右手でハルの胸倉をつかむ。


「正気に戻れ!」


 ローゼは床にハルを叩きつけると左手でEx-Sを引き抜いて黄昏の右腕の付け根に銃弾を撃ち込む。

 放たれた弾は全弾腕に命中するが弾かれ、跳弾がローゼを襲った。硬い滑らかなものに撃ち込んでいるのだから当たり前だ。

 それでもローゼは引き金を引き続ける。引き続けながら並行して刀を鞘に納めてウィンドウを操作。インベントリからケースを取り出しその中から銃弾を三発取り出し、指ではじいて宙に浮かせる。そしてD・G・マグナムを引き抜き、Ex-Sによる銃弾の連射をやめ、D・G・マグナムの装填口から銃弾を装填する。そのわずかな隙を見逃さずハルはローゼを跳ね飛ばし、ハルが距離をとったところでローゼは体勢を立て直す。次の瞬間にローゼの姿が多数に増えた。

 まあ覚えている方がいるかは不明だが、Ex‐Sマグナムの隠されてしまっていた効果である。


「ううる?」

「さぁて」

「どれが本物か」

「わかるかな?」


 しかしこのようにそれぞれの分身から声を発することはできない。これを可能にしているのは単にローゼのノリとセンスの賜物である。

 Ex-Sのもう一つの隠されてしまっている効果である超音波カッターから思いついてしまった論理、それは『超音波発せるんなら可聴音域だって行けるんじゃね?』というまさにノリと勢い。で、ローゼのその類稀なるセンスと制御能力により、いつもよりほんの少し多くSPを消費することによって声を発する影分身が成立した。言ってしまえばこの分身ただの幻覚なのに。


「「「Doppelgänger!」」」

「ウォル?」


 3体のローゼは三又に分かれると2体のローゼはハルを挟みこむようにして拳や脚を繰り出し、1体は離れた位置からハルを狙う。

 もはや獣同然のうなり声、鳴き声を上げるハルはとりあえずといったように眼前のローゼに向かって剣を振る。

 そしてその横っ面にEx-Sのブレードが突き刺さった。当然のごとくハルの眼前のローゼの体を剣はすり抜け、その分身は消滅する。


「外れ。本能のままに動くなら気付きそうだと思ったが……」


 そこまで言ったローゼは違和感を感じて離れようとする。が、離れない。そもそも、体勢を崩したままなんてローゼはしようともしない。冷静さを失ってるとき、心底侮ってるときは別だが。なのにEx-Sを繰り出したまま動かない。そして気付く。ブレードがハルの肉に飲み込まれている。

 咄嗟だった。ローゼがEx-Sの引き金を引いてトドメを刺すことすら諦め後方へと飛び退いた瞬間、サモセックが寸前までローゼの存在していた空間を横薙ぎに引き裂いていく。ローゼはそれを見ながらD・G・マグナムの銃口をハルに向け、左手をハンマーに添える。


「極点集中(ピンポイント)三重射撃(トリプルバースト)!」


 ローゼの放った弾丸は一直線にハルの眉間へと到達、しかしすり抜ける。


「任意の無機物の透過? いや、有機物も弾丸には含まれる。要するに炭素だしな。つまり、無生物の透過。だといいなぁ」

「アアァ!」


 後ろに重心を置いたままのローゼにハルが襲い掛かる。しかし、ローゼはそれに対応するそぶりを見せず、重心移動を放棄した。

 ローゼの体は重力に引っ張られ落ちていく。足はついていようとも慣性のまま後ろに流れていく状況において前におかれた突っ張りがどれだけの意味を持つだろうか。ハルの剣がローゼの眼前に迫る。その瞬間、ハルは真上へと吹き飛ばされる。ローゼが手を着くと同時に繰り出した前蹴りがクリーンヒットしたのだ。


「うう、が」

「反射神経だの感情だけだのがいけない理由さ。感知できなきゃ、どうしようもない――!」


 そのままローゼは手を着いたまま足を浮かせ、ハルの鎧の隙間に足刀を差し込む。


「さて、さっさと正気に戻ってもらおうか!」


 そのままの勢いのままハルを床に叩きつけ、クレーターを生む。そしてそのまま立ち上がった。


「で、大丈夫?」

「お、俺は正気に戻った……」

「ならよし」


 ハルの顔面にローゼの拳が突き刺さり、PvPフィールドは雲散霧消する。暴走したにしても割りと容赦のない仕打ちだった。

もう二度と理性を失う類の暴走を唐突にさせない

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