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誰がための存在証明(レゾンデートル)  作者: リョウト
Fourth Chapter ~Fire Fear Find~
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第79話 Bloomin' Stream

 ~フィフトハ・リーン裏山~


「ヘーィどうした!? テンションひっくいよ!?」

「テンション低いんじゃなくて突然の乱入に頭がついてかないんだよ」


 近くに寄ってきてバシバシ肩を叩きながらそんなことを言うウィンデルにローゼは多分後2、3個予想外の事態が起こったら泣き出しそうな程追い詰められた顔で言い返す。


「まあ良いや! そんなことに尺なんて取ってられないヨネ! そこな皆さんもギャラリーも! 待ちきれないのは嫌だもんね! 何行も何行もくだらない掛け合いやっててサ!」

「どこ向いて何いってんだ」


 虚空に向かって一々オーバーリアクションしながら喋るウィンデルにローゼは怪訝な顔をしながら突っ込みを入れる。


「フフーンヒ・ミ・ツ! さぁてキミには「それは遠慮していただく」うおう」


 ローゼのほうへと手を伸ばしたウィンデルの胸から刀が生える。隠れ潜んでいた忍者の影討ちだ。だがウィンデルはその衝撃に目を見開いただけで直ぐに不機嫌そうな顔をして自らを刺した忍者へと振り向く。


「邪魔しないでくれる? キミうっとうしーよ。私ら殺そうったって、キミみたいなのには土台無理なんだからねっ、と」

「ぐぅぅ!?」


 そのままウィンデルが無造作に腕を振るうと巻き起こった風で忍者はたやすく吹き飛ばされる。吹き飛ばされた忍者が樹木に叩きつけられたのを確認するとウィンデルはローゼに向き直り、胸に刺さった刀を手で押し出して抜きながら笑う。


「あははー。ちょっと邪魔が入っちゃった、け! れ! ど! 仕切りなおしてさあ行きましょう! 青年! お前は条件を満たしたの、で! お前には古の契約に則り魔法の力を与えまーす!」

「(なんだろうこの根本的な不愉快)」


 テンション高めに騒ぐウィンデルの甲高い声にローゼは微妙な表情を浮かべながらウィンデルから放たれた緑色の光を受け入れる。それと同時にローゼを中心とした強い旋風が巻き起こった。


「合言葉は言わなくたってわかるよね? ガイのおっちゃんのお気に入りさん」

「……あぁ、言われなくてもわかってる!」


 ローゼはベルトのバックルを叩くとメダルを三枚指で挟んで忍者とは逆方向に振りかぶる。


「キミ達は露払いをお願い! 魔法詠唱(チャントオブマジック)……」


 そこまで言ってセリオたちが動き出したところでローゼは視界の端で何かが光ったのを認識した。


「いや待て! 麓、いや頂上の方へ退避しろ!」

「うぇ!?」

「どういうこと!?」

「暇はない!」


 ローゼはひとしきり言い捨てるとメダルを敵に投げつけながら山を登っていき、セリオたちも納得は言ってなさそうな顔をしながら上っていく。

 上っていく途中、ローゼがおもむろにEx-Sを引き抜きながらブレードを展開して振ると甲高い音を発して鋼鉄で出来た十字が空を舞う。


「しつこいな……!」

「追撃は常道だ」


 手裏剣を叩き落したローゼは忍者の顔面に左手の掌底を見舞うが、忍者はそれを首を傾げるだけで回避する。


「遅い……!」

「いいや、王手(チェック)だ!」


 次の瞬間、忍者の背後にいた大勢の敵がアメジストのような輝きを発する光線に纏めて巻き込まれ吹き飛ばされた。


「なにっ!?」

「見えてよかった。いくら光線ったって敵吹き飛ばせる威力なら速度もそれに応じて下がっていく。エネルギーの総量的に考えてな。だが、それでのんびりは出来そうにはなかったんで、何も言わずに逃げたのさ。纏めて追って来させりゃ良かったのにねぇ?」


 驚きの表情を見せる忍者にローゼは嘲り笑うようにして息を吐き、体ごと忍者に向き直ると地面を削るように踏みしめ右腕を振りかぶり、呆けたその顔に右の拳を叩き込む。


「そぉら!」

「グワァッ!?」


 拳を叩き込まれた忍者の額に付けられた鉢金は潰れるようにして千切れとび、忍者は斜面を転がり落ちていく。

 深紅のコートを翻しながら着地したローゼはバックルを3回叩くと飛び出てきたメダルを人差し指、中指、薬指、小指の間に挟みこみ拳を象るとそのまま振りかぶる。


「Chant of Magic」


 ローゼが唱え始めると同時にローゼの右腕に旋風が纏う。その旋風の中に超小規模な爆発が連続するのが覗く。


「『A flower bloom,Earth.Bud, rose of light.And it's a petal, take part in a breeze.』」

「くぅぅ!」


 魔力の高まりが金色の光となって天に上っていき、忍者は苦し紛れに幾つか手裏剣を放つが横から放たれた散弾がそれらを纏めて吹き飛ばす。


「甘いね」

「『Magic to Element of Earth and Fire and Wind.【Bloomin' Stream】』」


 魔法詠唱を満面の笑みで唱え上げたローゼが拳を正拳突きのように突き出すと3枚のメダルが光に変わり、一条の金色の光となって忍者に突き刺さる。しかし一条の光には見えるだけのようで、いくつもの光が忍者に注ぎ、忍者の光が当たる部分が小さな爆発を絶え間なく起こしていく。防ごうと腕を置いても回り込むように光が注ぎ、被弾範囲を増やすだけに終わる。


「バ、バカな、光は遮られれば!」

「レーザーだったらそうかもねぇ。だがな、この光線は小さな当たると爆発する光の花弁の奔流! そんな俄か考えじゃ防げないさ!」


 ローゼがそこまで言い終わると同時に忍者のHPバーは砕け散り忍者の体は青い粒子に変わり、ローゼが照射を辞めると金色の光の欠片と青い粒子が混ざり合う。


「Hell to you.ま、依頼でやっただけだが。観測者(スポッター)、ボスに報告して置けよ?」

「居たの?」

「じゃなきゃあんなドンピシャな流れ弾飛んでこないさ」


 ローゼは帽子を被りなおしながらリーゼロッテに答えると、いきなり全力疾走した所為か息を荒げているセリオとハルに向かう。


「ま、街にもどろっかぁ。楽しい決闘が待ってるからねぇ」

「マ、マイペース過ぎるなぁ相変わらず」

「こいつに、何言っても、無駄よ」


 そのまま4人が山を降りていくのを眺めている影が気の葉にまぎれていた。


「ばれていたか」


 その影の主はシロウ。ウィンドウを浮かべ、トールに一つの文を送る。


『ローゼ一行敵殲滅ス。ローゼ新シイ魔法習得』

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