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誰がための存在証明(レゾンデートル)  作者: リョウト
Fourth Chapter ~Fire Fear Find~
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第78話 包囲突破しようか

 ~フィフトハ・リーン裏山~


「ちっ! 流石に4人だけでこの人数はきついか!?」

「人数で良いのかしらね、これ」


 トールが白馬に乗って突貫しているころ、ローゼ達一行はローゼが異常を検知した裏山方面へと周りが引き止めるのを無視して直行、大勢のモンスターとプレイヤーが待機していたのを奇襲して混乱させることに成功する。

 が、指揮官が存外優秀なようで、割と直ぐに体勢を立て直し、ローゼ達は迂闊に攻められず、疎らに襲い掛かってくる敵を返り討ちにする程度のことしか出来ていなかった。人数は一向に減りはしない。


「増援を呼ぼうにも、連絡先も知らんしなぁ、ハァ」

「雇われの辛い所だね、情報漏洩が怖くって連絡先すら教えてもらえない、教えてもらえて施設の番号。非常時の連絡先くらい教えてもらっていいと思うんだけど」


 襲い掛かってきた敵の眉間に鉛弾をぶち込みながら出たローゼのため息にリーゼロッテが笑いながらショットガンの引き金を引き、散弾で包囲している敵を牽制しながら頷く。


「普通は教えてもらうでしょうよ、でも対戦やらで時間潰して連絡先聞かなかったの誰よ」

「後ろから背中刺されるよりかはマシだと思う!」


 そんな二人の話を聞きながら横目で睨んで来たセリオの言葉にローゼは無駄に真面目な表情で高らかに宣言するとベルトのバックルを叩き、飛び出てきたメダルを指で挟み、思いっきり振り被る。


「まあ一度包囲突破しようか! 風は強いが問題ない、魔法詠唱(チャントオブマジック)!『破裂しろ、鉛よ! 巻き起こる爆炎で阻む敵を吹き飛ばせ! 火・土混合魔法【メタリック・バースト】!』」

「待って、そっち麓じゃなくって頂上!?」


 そのまま呪文とともに投げられたメダルの方向にハルは絶叫する。当たり前だ、包囲突破するっていったって普通は麓に降りて増援を呼ぶことを考える。今さっきまで人数差に苦悩していたならば尚更だ。にも拘らずローゼは爆弾と化したメダルをむしろ敵の本陣方向へと投げ込み、爆発とともに包囲を抜き去ろうと投げ込むと同時に走り出している。更に信じられないことに女性陣二人組もそれに同調するようにメダルの投げられた方向に走り出していた。静止しようとしているのはハルだけだ。


「あー、もう!」


 ハルはわなわなと震えながらも足を叩いて覚悟を決めると少し遅れて後に続く。

 ローゼの投げたメダルは敵に触れると同時に一瞬煌き、爆発する。但し、今までの【メタリック・エクスプロージョン】と【メタリック・バースト】の違う部分がここで発揮される。

 今までの【メタリック・エクスプロージョン】は爆発した時の爆風と衝撃だけで攻撃を加えていた。故に、まともに敵を倒そうと思うならば【メタリック・エクスプロージョン・ランス】のように指向性を持たせなければあまり致命傷にならなかった。但し、爆風と衝撃によって混乱させることには多大に役目を果たすために【メタリック・エクスプロージョン】をローゼは非常に重用していたが。ガン・ホー・ガンズ戦にてアジトの一階でメダルをばら撒いた時などがそれに当たる。

 さて、では【メタリック・バースト】は何が違うのか。それは何より火属性を混ぜたことによる爆炎の有無である。ただの鉄の棒で叩いた時と熱した鉄の棒を押し当てた時、どっちがダメージを与えられるか。考えるまでもなく後者である。前者だと全力で叩いても受け止められれば無意味だが、後者なら当たった時点でダメージ必至。防護する布何やらがあっても結局のところそれはダメージを布に移し変えているだけなのだ。無論、どちらだろうが全力で叩いた方がダメージを与えられるが。

【メタリック・バースト】は【メタリック・エクスプロージョン】の爆風・衝撃はそのままに高熱の爆炎で攻撃する技だ。故に爆発の中心点にいた敵はそのHPバーを散らして青い粒子となり、爆発の外周付近の敵は吹き飛ばされるか熱気で近寄れないかである。

 そんな中ローゼはコートの裾で自分の前面を防護すると爆炎を気にすることもなく爆炎爆風渦巻く中へと突っ込んでいき、間を開けず二人を追い抜いたハル、リーゼロッテ、セリオの順に爆発の中に突っ込んでいく。

 この並び方にも理由はあり、爆炎の影響を受け辛くするために体格順に突っ込んでいったのだ。冷静に考えると体格より何よりレベル的にローゼ、ハル、セリオ、リーゼロッテと言ったように並ぶべきなのだが、その場合流体力学的にリーゼロッテが爆炎の熱気をもろに喰らうことになる。そう考えたら考えたでハルが殿的に最後尾にいたほうがいいと思うが、ハルのことだ。置いてかれないように全力で走ったらうっかり追い抜かして二番手になったと言うことだろう。そういうことにしておいてくれ。

 爆炎を抜けた途端にローゼはコートの裾を広げ、視界を確保する、と同時に、何かが高速で近づいてきたのを察知した。


「っ!」


 咄嗟に息を漏らしながら肘と膝で挟みこんだ中にあったのは金属的、されど生物的な凶悪な爪を生やした腕であった。いや、腕と言うよりも前脚と言ったほうがいいだろう。なぜなら、その前脚は爬虫類のように鱗で覆われていたからだ。


「あいつは!」


 ローゼが目線をあげた先にいたのはプーランの父ブランゲラが対峙してくれと依頼してきたモンスター。ローゼ自身もやられかけた強敵、ディアヴォロ・ワイバーン。


「ちぃ!」


 ローゼは舌打ちを一つするとホルスターからD・G・マグナムお引き抜いて銃口をディアヴォロ・ワイバーンへ向けて弾倉の銃弾を全て撃ちつくし、足止めをする。


「ハァル!」

「да!」


 ローゼの掛け声にあわせて飛び出したハルはハルバードを逆向き、つまり石突を先端とする形で最上段で振りかぶり、ディアヴォロ・ワイバーンに振り下ろす。するとゴガァン! と凄まじい轟音が鳴り響くと同時にディアヴォロ・ワイバーンの頭部が拉げ、口が開いたまま塞がらなくなった所に走りこんだローゼがその口内にD・G・マグナムを差し込んだ。


「Fire!」


 ローゼが叫ぶと同時に引き金を引くとD・G・マグナムのグリップに刻まれた紋様が光り輝き、D・G・マグナムから放たれた榴弾がディアヴォロ・ワイバーンの喉に着弾する寸前でローゼはD・G・マグナムをディアヴォロ・ワイバーンの口から引き抜いて退避、ディアヴォロ・ワイバーンが榴弾の爆発で火を吹いた瞬間にセリオがディアヴォロ・ワイバーンの懐に飛び込む。


「魔法詠唱(チャントオブマジック)『眩き閃光はあらゆる物よりも鋭く、魔なる物を切り裂く。閃光よこの剣(ツルギ)に宿れ!エンチャントマジック【サンライト・ブレード】!』」


 セリオの持つ二振りの小太刀、【比翼・連理】のうち片方、比翼に白く眩き光が宿るとともにセリオはディアヴォロ・ワイバーンの腹に比翼を突き刺し、白き光がディアヴォロ・ワイバーンに流れ込んでいき、急速にディアヴォロ・ワイバーンの体が膨らんでいく。


「Dust to Dust」


 セリオが比翼を引き抜きながらディアヴォロ・ワイバーンの体を蹴り飛ばして着地すると同時にディアヴォロ・ワイバーンの体が吹き飛び、青い粒子が撒き散らされる。


「さぁて、後は有象無象……」

「誰が、有象無象、だと?」


 セリオが比翼を構えなおした瞬間にどこからともなく声とともに苦無手裏剣が飛んでくる。


「おっと、また忍者か」


 だがその手裏剣はセリオに突き刺さる前にローゼに捉えられ、受け止められた後に近くにいた狼の頭に投げられそのまま突き刺さる。


「さぁ、出てきなよ忍者。俺の戦った忍者より強いか……」

「ヘーィ! 条件達成おっめでとぅ! 疾風の賢者、ウィンデルだよっ!」

「「「えぁ?」」」


 ローゼが決めようとした瞬間に現れた小さな少女の姿に呆気にとられ、呆けた声を出すローゼ、ハル、リーゼロッテ。どっかで見たこの光景に頭を抱えるセリオに突然の出現に混乱するその他。この瞬間、確かにこの場の時間が止まった。

【イベント名】風属性魔法習得

【イベント発生条件】奥義習得後、十分以内に敵性モンスターを20体以上撃破することにより発生。平均風速が20ノット以上の場合は、戦闘が終わる前に出てくるため、習得したい場合は風が弱い日を推奨。

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