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誰がための存在証明(レゾンデートル)  作者: リョウト
Fourth Chapter ~Fire Fear Find~
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第62話 覚悟は出来ているさ

 前後に分けたくなかったんで斬馬刀のところ削りました。やべぇ、コロナがなんか小物っぽい

 ~アクダク樹海:上空~


「むー、期待外れ。この大剣くらい砕いて欲しかったナァ」


 コロナは消え逝くガドルを前に大剣を肩に担ぎ、落胆の表情で溜息をつく。


「ふざけるなよ化け物が……銃弾全部切り払うとか対処しようがねぇだろうが……」

「攻撃手段銃オンリーなのが悪い。銃オンリーにしてもマスターキーとかグレネードとかさぁ、あるじゃん。そんなもんも思いつかない奴にバケモノ呼ばわりされたくないねー。ってか、俺程度でバケモノならレイヴンとトールとかどうなんだよ。リアルであの二人に勝ったことねぇぞ」

「そんなのと比べるなよ、クソッ」


 ガドルは悔しそうに表情をゆがめながら消えていく。


「……まだまだ、届いちゃいないってのに」


 コロナは短く吐き捨てると破裂音のした方を向く。そこには森から上昇してきたローゼが浮かんでいた。


「……終わったか」

「まぁねー。注意散漫、狙いも浅いしAMランクアンダー100ってとこだったよ。期待外れにも程がある」


 ローゼが問いかけるとコロナはすぐさま飄々とした笑みを浮かべ、やれやれ、と大袈裟に肩を竦ませる。


「良かったじゃないか。強い方と戦えて。こっちなんかアンダー500もいいとこだったぞ」

「うえっ、ってぇこたぁ策士タイプもしくは三馬鹿悪党って所? ……ま、いいや」


 コロナはウィンドウを開き、すばやく操作するとローゼの目の前に【【コロナ】からPvPの申し込みがありました。受諾しますか?】とウィンドウが表示され、ローゼは迷わず【はい】の選択肢を叩く。


「楽しませてくれるんだろ? ランク2」

「期待には応えるさ。 ランクトップ」


 向かい合う二人を中心として球状のPvPフィールドが広がっていく。しかし、フィールドの最下部は地面に届かない。


「森に邪魔されたくないんでね。今回は特殊ルール、【アイテム使用によるSP消費無し】を設定させてもらうぜ?」

「いいのか? キミは剣だぞ」

「大丈夫だ。俺に豆鉄砲は効かない」

「……ふぅん」


 コロナの言葉にローゼは多少ムッとしながらも了承する。


「じゃ、行くかい?」

「そうだな」


 ローゼの返答にコロナは満足そうに頷くと試合開始のカウントダウンが始まる。


「じゃ、敬意を表して、名乗らせてもらうぜ。AMランク1、コロナ・フェンサー。ギルド・エレメンツ会計、クラン・テンス所属、【紅蓮の剣士】、コロナ」

「AMランク2、ローゼス・ノブレス。ギルド未所属、【薔薇の銃士】、ローゼ」


 二人が名乗り終わるとともに、カウントは0になり、ウィンドウに【GO!!】の文字が躍る。それとともにウィンドウは弾け飛び、透明な破片となって降り注ぎ、その破片の雨の中をローゼとコロナはブーストを吹かして接敵する。


「いざや参る!」

「行くぞっ!」


 互いに相手の近くまで近寄ると、獲物を持ってない左手に拳を固め、そのまま相手の顔面を殴りぬけ、クロスカウンターが決まる。


「チッ」

「! っらぁ!」


 コロナが少し怯んだのを見逃さず、ローゼは左足刀をコロナの側頭部に向けて放つ。その足刀は空手というよりもコマンドサンボやソバットといった軍隊格闘技のものに似ていた。靴を履いた前提の下で繰り出されるそれは、爪先で蹴り砕くことを目的としたもの。


「くっ」


 コロナは思わず獲物で防ごうとするが、その巨大さ、重量の所為で間に合いそうも無い。とっさに左手に大剣を持ち替えながら右手でその足刀を防ぐ。しかし、そこまではローゼも織り込み済みだ。

 右手に持ったD・G・マグナムの銃口をコロナの眉間に腰溜め状態で向け、左手をハンマーに添える。コロナの右手を左足で押さえながらだ。


「奥義発動! 【極点集中(ピンポイント)三重射撃(トリプルバースト)】!」


 D・G・マグナムの銃口から九つの弾丸が放たれ、コロナは左手首を廻し、大剣を盾にして弾丸を防ぐ。この距離で切り払おうにも切り払った弾丸はどう足掻いてもコロナの頭に突き刺さるからだ。防ぎきった代償として、コロナの持っていた大剣は弾丸の防いだ部分から先が消え去り、どう足掻こうと剣としての役目は果たせないだろう。


「ッ、早い!」


 コロナは役立たずとなった剣の柄をローゼに投げつけ、ローゼがそれをかわした瞬間に後ろ方向にブーストを吹かし距離を取る。


「距離を取ろうと!」

「行くぜザンバー!」


 コロナはインベントリから巨大な幅広の大太刀を取り出す。その大太刀の名は斬馬刀。武士が現れた平安後期から使われている由緒正しい武器であり、通常の大太刀、小太刀、脇差等は鎧を着込んだ武者に対して使うものだが、斬馬刀はその巨大さ、長大さから主に馬の足を切り払い、落馬でのダメージを負わせるための代物だったという。メリットは重量から来る威力の高さ、長大さによるリーチだが、デメリットとしても重量で扱いづらい、長大さから小回りが利かないと、メリットがそのままデメリットになっている。

 そんなわけで内心ローゼはイラついていた。確かに先程の大剣は身の丈の二倍ほどだったし、斬馬刀は1.5程度の大きさだろう。比較的小さくなって扱いやすいというのは分かる。しかし、やはり威力過多で舐めているとしか思えないのだ。例えるのなら、FPSでタイマンの状態で弾切れのロケランを捨てて対戦車ライフルを取り出されるようなものだろう。対戦車ライフルが実装されたFPSでロケランとの二丁持ちとか聞いたことはないが。

 兎角、武器の威力と取り回しは基本的に反比例しているといっていい。その主な理由は、ベクトルの方向を変えるには、その大きさにあった力を加えなければいけないからだ。方向転換に必要な力と動いている物体の潜在的な力は比例する。慣性の法則だ。作用、反作用の法則もある。

 それなのに。目の前の男はそんな取り回しづらいもので戦おうとしてくるのだ。


「見下してくれるなぁ……!」

「違うって。これでも判断を一つ間違えりゃ御陀仏コース……段階的に見て行くのさ。隙だらけと倒すなら倒せば良い。そういう覚悟は出来ているさ」

「飛ばす価値は無いと?」

「無いね。今のアンタには、迷いだらけだ」


 きっぱりと放たれた言葉にローゼは少し動揺するが、すぐに平静を取り戻す。


「Hum,言うね。なら、キミの目で!」

「ハハハハハハ!」


 ローゼが銃弾を放つとコロナはそれを剣の風圧だけで弾き飛ばす。ローゼはEx-Sをホルスターから引き抜き、Iモードで乱射しながら左手首のあたりに取り付けた腕輪を叩き弾丸を射出し、D・G・マグナムで擦るようにして装填口から弾丸を補給し、両銃のブレードを展開する。


「一人で弾幕とか半端ないな! それでこそ遣り甲斐がある!」


 コロナはそう叫びながらブーストを吹かし、弾幕を避ける。攻撃範囲から離れてしまえば弾幕だろうと当たりはしない。擦り抜ける事は自らの体の大きさ的に無理だと分かっている。そしてコロナは目を凝らす。


「コロナァァァッ!」

「見えてんだよぉ!」


 ローゼの刺突をかわし、コロナは絶好のタイミングで斬馬刀を振るう。ローゼはそれを斬馬刀の上を転がるようにして斬撃をしのぐ。


「あらら」

「いくら威力が高かろうと!」


 そのままローゼは斬馬刀の刀身に触れ、魔法を唱える。


「魔法詠唱(チャントオブマジック)!【メタリック・エクスプロージョン】!」

「マジに!?」

「ぐおっ!?」


 コロナはローゼを蹴り飛ばすと吹き飛ぶローゼに斬馬刀をブン投げる。それを見たローゼは吹き飛びながらバックルを叩きメダルを取り出す。


「魔法詠唱(チャントオブマジック)!【マグマ・シールド】!」


 そのまま手に持ったメダルを投げるとメダルは溶岩へと変化し、多少冷えてマグマと化した状態で斬馬刀を飲み込み、そのまま斬馬刀が爆発し、火山弾と溶岩を二人を襲う。


「チッ、被害を出さないために全力でブン投げたのに、勢い消しやがって」

「慣性を利用した目論見程度、直ぐ読める。もうちょっとマイナーな法則を使った戦略練りな」

「敵の武器迷わず破壊する人間がそういて堪るかよ。PvPで修復されるって分かってなかったらぶちぎれてんぞ」

「そっちの方が幾分やりやすいんだがな」

「ま、脳筋じゃないしなぁ。久しぶりに抜くぜ、刀」


 そう言ってコロナはインベントリからハードポイントが取り付けられた鞘に納められた刀を取り出し、鞘を腰の横のベルトに付いたハードポイントに取り付け、左手で鞘を支え、右手を柄に添える。刀の長さは一般的な帯刀する太刀程度で、特殊なところなどどこにも無いように見える。


「……抜かないのか?」


 しかし、それ以上の動きは無く、ローゼは疑問に思う。


「抜いたさ」

「何を言って」


 コロナの返答に更にローゼは聞き返そうとするが、その時、ローゼの左腕の感覚がなくなり、ローゼは左腕を見る。左腕があるはずのそこには、左肩から先が綺麗になくなっていた。裂かれた服に付くはずの糸のささくれすら、だ。


「なにっ……」


 ローゼの体に遅れて来た激痛が走るも、ローゼの脳にはそれが介入する余地は無かった。いつどうやって斬られたのかが分からなかったからだ。間合いも刀の全長からして遠すぎる。

 コロナの肩が僅かに揺れるのを見逃さず、ローゼは思考暴走(シンキングバースト)を発動する。脳は、電気信号のやり取りで情報をやり取りし、思考する。ローゼは生体電気を自在に操れる特異体質を持っている。隠す気はほとんど無いが、なんとなくであまり教えていない。この体質を使い、脳を走る電気信号の量を増幅することで、能動的に一般的に走馬灯と呼ばれる周りの時間がゆっくりに感じる状態へと移行する。これが思考暴走の大体の仕組みだ。

 その、思考暴走の状態でもおぼろげにしか見えない速度で刀は振るわれ、その刀の動きによって生み出された真空空間は、鎌鼬へと変化してローゼの右肩を切り裂いた。


「見えても、反応が出来ない!?」

「へぇ、見えるのか! ……こりゃあ、マジに絶望的だな。ま、今回は俺の勝ちだ!」


 そのまま振るわれた三撃目によってローゼの体は真っ二つに引き裂かれる。


「……次は、勝つ」


 アーマーを解除し、そういって歩いて去っていくローゼの後姿を眺めながら、コロナはポツリ、と呟いた。


「……やめてくれよ、凡人の俺に天才のアンタが言ったんじゃ、洒落になんないだろ」


 そう呟くコロナの顔は、悔しさに滲んでいた。

 とりあえず最近女っけなさ過ぎなんで女キャラ出します。







 ハルにフラグは立たないし立たせない

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