第61話 Hell to you(あの世へ墜ちろ)!
夏休み? まともなコロナの戦闘シーン? すいませんそれ来月半ばからなんですよ
~アクダク樹海:空中~
アーマーを纏ったローゼ、コロナの二人は同じくアーマーを纏ったダレイ、ガドルの二人を追う。
その最中、コロナはローゼに鎧装纏着の特殊機能、固有武装の説明をしていた。
「まず、固有武装の説明だけど、至って単純。【メイン武器】に関わりがあり、【鎧装宝玉】のモンスターにも関わりのあるってことだ」
「じゃあ俺の場合、銃に関係して、ディアヴォロ・ワイバーンに関連した武器になるって事か」
「そゆ事。って、ディアヴォロ・ワイバーン? レアドラゴンじゃん。良くそんなレベルで勝てたね。リアルスキルかよ? ま、いい。ディアヴォロ・ワイバーンの特徴、分かるだろ?」
「硬くて、早くて、即再生」
「Okey。特徴一切見せること無かったんだな。いや、再生は当たるのか? ディアヴォロ・ワイバーンの特徴は収縮・膨張を自由自在に行えることだ。故に、悪魔。Do you understand?」
ローゼはコロナの言葉に頷くと、右腕を前を進む二人に向け、手首から先を甲の方へ曲げ、中指と薬指の間隔を広げ、中指と薬指の間の視界を照準とする。すると、腕のアーマーの掌側の手首の辺りに開いた穴から何かが高速で射出された。
「Yes! Look at this baby!? That is my identity weapon "Burgund"!」
「へぇ! 仕込銃か! ってか弾頭、マグナムの弾よりもでっけぇ」
コロナがそこまで言ったところでローゼが射出した何かが破裂し、爆風でダレイとガドルを吹き飛ばす。
「うおっ!? ま、まさか、固有武装か!? なんて強力な!」
「くっ、落ち着け、威力は凄いが、正確性と弾速は無い!」
ガドルの冷静な分析に、コロナはひゅう、と口笛を吹いて讃える。
「へぇ、あの強面、結構やり手だねぇ。中々良く見てる。おい、ローゼス。あっち貰っていい?」
「いいぞ。どうせ用心棒だ。主犯はあの優男。で、お前は被害者じゃあない」
「当然。じゃ、行くぞ!」
コロナが指を振って合図を送るとローゼとコロナは同時にブーストを吹かしてダレイ、ガドルに接近する。
「弾速が無いなら俺が動くさ。さて、Are you ready?」
「チッ!」
「おおっとぉ! あんたの相手はこのオレダゼ? Do you understand!?」
ローゼの道を邪魔しようとガドルが動こうとするが、それはコロナが無造作に振るった大剣に阻まれる。コロナはガドルが大剣に一瞬怯んだ隙を見計らって前蹴りを入れてローゼ達と距離を取る。完全に主人公側がやる行為ではない。分断作戦、それもマンツーマン、タイマンになる形だ。
「マジに、ヤルつもりか?」
「……それ、答える必要も、聞く必要も無いと思うけど」
ダレイはローゼに問うと、ローゼは冷めた目をしながら左手に持った銃を向ける。
「俺はあんたに何もしていない。そうだろ?」
「そうだな」
「それがさぁ、運営に頼まれただけで討伐? 偉いもんだねぇ」
「何が言いたい?」
煽るようなダレイの言葉にローゼはいらつきを隠さずに言う。
「本当にそんな権利がアンタに」
そこまで言ったところで弾丸に籠められた炸薬の破裂音が響き、ダレイの頬を掠め、掠ったところからは赤い血が流れ始める。青い粒子は完全に死亡判定の時に起こるようだ。
「じゃあ、逆に聞くけれど。キミは強盗殺人を犯したようだけど、そんな権利がキミにあったの? あるわけ無いよねぇ」
「ひっ」
射殺すような金色の瞳の輝きに、ダレイは空中で怯えて後ずさる。
「そんな、ふざけた事を言う口は、この口?」
ローゼはそう言いながら左手に持った銃、D・G・マグナムをダレイの口内に突き入れ、銃口下部に取り付けられたブレードでダレイの左頬を切り裂く。
「ぐあぁぁぁ!?」
「ほらほら、逃げるんだろぉ? 逃げろよ。逃げられるもんならさぁ!」
そのまま無造作に振るわれる裏拳を辛うじて受け止めながらダレイは思いっきりブーストを吹かして距離を取ろうとする。
しかし、まわりこまれた。
「んなっ!?」
「姿勢ブースト量調整加速ベクトル制御全て御座なり! 飛蝗は……!」
ダレイの知覚を越え、ローゼは前転をして勢いを乗せた踵落としを決める。当然まともに貰ったダレイは超が付くほどの高速度で地面へと墜ちて行く。
「地面で、跳ねてろ!」
それを確認するとローゼも地面へと墜ちて行く。ダレイと違うのは意図的であり、背中からブーストの噴射炎を輝かせているところだろうか。
「【バルグンド】ッ!」
「くぅっ、【ティターン】ッ!」
ローゼが射出口から弾頭を発射すると、ダレイは片手で扱える程度の長剣を生み出し、弾頭を切り払えるドンピシャのタイミングで剣を振るう。
「(ここを凌げば!)」
「Sweet Baby」
「は?」
いきなり聞こえたローゼの声に、ダレイは呆けた声を上げるが、責められる者はいないだろうし、勢いが弱まらないのは流石と言ってもいいだろう。それほどまでに唐突だった。
しかし、遅くなっていた方が助かっていたかもしれない、というのは結果論だろうか。
「Hey!」
ローゼは弾頭の尻のほうにある出っ張りを指で挟み、拳を象りながら引き戻す。この時点で切り払いは失敗したことになる。
そしてローゼは獰猛な笑みを浮かべ、小さく、ダレイにだけ聞こえるように呟いた。
「Hell to you!」
ダレイが叫び声をあげる前に弾頭を掴んだ拳が振るわれ、弾頭がダレイの顔面に吸い込まれる。
そして断末魔の悲鳴を上げることすらなく、ダレイの頭はポン! と軽い音を立てて弾けた。




