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誰がための存在証明(レゾンデートル)  作者: リョウト
Fourth Chapter ~Fire Fear Find~
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第60話 薔薇の銃士

 とりあえず展開に困ったらギャグで誤魔化そうとする癖なくしたいです。

 ~アクダク樹海~


「くそっ……! ピッタリ着いて離れねぇ! あいつマジに俺らと同じ人間かよ!?」


 生い茂る森の中を駆けながら、ダレイは後ろを見て身の丈以上の大きさの大剣を担ぎながら上半身を揺らさずに追いかけてくるコロナを指して化け物と遠まわしに言う。ぶっちゃけその通りだと思う。


「おいおぉい! 逃げてばっかじゃつまんねぇだろうが! ってか足早!? 止まんなよ! 苦しまずに楽にしてやるから!」

「嫌だけど!? アカBANの危機にそんな提案受け入れらんねぇよ! ……いや、普通に嫌だわ!」


 コロナのあまりにも自分中心な発言にダレイは突っ込む。そんな時、ダグマかふと呟いた。


「そういえばアカBANのBANって何? アカはアカウントって分かるんだけど」

「今聞くことぉ!?」


 そして全く今の状況に関係ないことを言い出したのでダレイは全力で突っ込んだ。


「お前ら余裕あるなぁ」

「全く無いけど!? こいつが呆けたこと言ってるだけだ!」


 そしてガドルの呆れた声に、ダレイは全力で反論する。

 全力疾走中に四面楚歌。考えたくも無いが、ダレイの置かれている状況はそれだった。


「ってか止まれ……!?」


 奔っているといきなりコロナの体がくの字に曲がる。走っていた勢いすべてが腹部にかかりコロナの口から肺からの空気が漏れる。


「掛かった!?」

「やったね兄貴!」


 そんなコロナを振り返りながらダレイは叫び、ダグマは諸手を挙げて喜ぶ。


「デグス、あったか……ッ? こんなところに」


 コロナは地面に膝をつき痛みをこらえながら自分の動きを止めた透明な糸を見る。

 デグス、つまり釣り糸などに使われる糸である。今現在主に使われている釣り糸はナイロンなどの合成繊維のものだが、デグスとはヤママユガに似た昆虫の繭糸を使って寄られた物である。合成繊維ではないので原油が取れないこのクリエイトワールドにおいても作り、使うことが出来る。


「どうせ死んだらアカBANだ! なら残りの資材全部使ってでも逃げ延びてやる!」


 ダレイは自分に言い聞かせるように吼える。そんなダレイを見て、ダグマはリラックスさせようと励ましの言葉をかける。


「大丈夫だよ兄貴! 絶対逃げられる! なんたって何でも使いたい放題」


 その時、不意にダグマの言葉が途切れ、鈍い音が辺りに響く。

 ダレイの周りの時間は遅くなり、ダレイはゆっくりとダグマの方を向く。そこには、足があった。その足は勢いのまま後ろへ流れていく。ダレイもその足の後を追うように視線を動かす。足の先にはダグマがいた。ゆっくりと、ゆっくりと吹き飛ばされていく。

 その足の主がゆっくりと着地する。土埃を巻き上げながら、赤いコートを翻らせながら左手でその頭にかぶったカウボーイ帽を押さえながら。

 右手に持った鞭を振るい、ダグマの首に巻きつけ、そのまま腕力だけで引き寄せる。

 ダグマとダレイの目が合う。ダグマは呆然としていた。何が起こっているのかわからないのだろう。その時ダレイはようやくこれが走馬灯のようなものだと理解した。

 赤いコートのカウボーイはその腰あたりに取り付けられた4つのホルスターから一つ銃を引き抜き、ダグマの後頭部に突きつけた。


「やめ」


 ダレイが言葉にできたのはそこまでだった。乾いた火薬の炸裂音が鳴り響き、ダグマの体は青い粒子へと変わる。そしてカウボーイはポツリと呟いた。


「まず、一人」


 ダレイとガドルはその言葉を聞くと同時に一目散に逃げ出す。


「何アレ何アレ!? コロナだけでも無理ゲーなのに漆黒の騎士みたいなの出てこられたら逃げよう無いぞ!? ってかどっからでてきたあれ!?」

「風の噂で聞いたことがある。普段はのんびりした雰囲気だが悪や不正は許さない、ノブレス・オブリージュを信念とするカウボーイ、薔薇の銃士!」

「どこで聞いたんだ!?」

「元ガン・ホー・ガンズのガンショップだ」

「もしかしてガン・ホー・ガンズ潰した奴か!?」

「かもな!」


 逃げる二人を追う赤いコートのカウボーイ、ローゼの横にコロナが並び、声をかける。


「よぉ! ローゼス、お前も委託か!?」

「ま、そんなことだコロナ。ていうか奴らを狙撃しようとしたらだ、Ah、予想ルートを外れたんだ。道はそのルートしかないにも拘らず、だ。なあ、キミ知ってんだろ、事情」

「委託すんなら連携取れるようにして欲しいよな!」

「やっぱキミか」


 ローゼは短く息を吐くと鞭を振るい、遠くの木の枝にくくりつける。


「来いよ、お前も倒すために来たんだろう?」

「当然!」


 コロナが大剣を背中に背負うように取り付け、ローゼの肩を掴むと同時にローゼは思いっきり鞭を引っ張って逃げる二人へと迫る。


「くそ、火災と震災、二つの災害に同時に合うか、つくづく運が無いな!」

「だけど、諦めたくはないね! 行くぞガドル!」

「わかってる!」

「「鎧装纏着(アームドオン)!」」


 ローゼの左手がダレイの首を掴もうとした瞬間にダレイとダグマの二人はアーマーを装着しブーストを吹かし空へと逃げる。


「空中戦がお望みか? 舐められた物だな……なぁ? コロナ」

「だな。AMランク1・2を相手になぁ! 行くぜ! 持ってんだろ!?」

「イルムから聞いているだろう?」

「ハハッ、んだなぁ!」

「「鎧装纏着(アームドオン)ッ!」」


 それを追うようにローゼ、コロナは自身のAMでの愛機に良く似たシルエットのアーマーを纏い飛び出した。

 コロナは虚空から大剣を生み出し、手に取った。


「じゃあ、ローゼス! お前のアーマーの固有(アイデンディティ)武装(ウェポン)をだしなよ! ミサイル辺りか!?」

「え、アイデンディティウェポンって何!?」

「えっ」

「えっ」


 ダレイ、ダグマを追いながら微妙な雰囲気に包まれる二人。シリアスが続かない。


「えっと、さ。 鎧装纏着(アームドオン)のアーマーにはそれぞれ固有の武装があるんだ。イルムのあの機械弓【螺旋風】とか、俺のこの大剣【ガラティーン】とかさ?」

「……何その便利機能」

「マジか、マジで知らなかったのか。えっと、追いながら、出してみる?」

「……そうする」


 ローゼもコロナも、いたたまれない気持ちになってくる。しかし、忘れてはいけない。まだ依頼の途中だということを。

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