表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『魔王城の地下で税金を計算してた俺、いつの間にか世界経済の黒幕になる』  作者: ニートは34歳まで
第一部 地下の税務官編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/40

第三十六話 竜の市場


 遥か南の空。

 巨大な影が、雲の上を横切っていた。


「……でか」


 俺は思わず呟く。

 翼だけで城壁くらいある。

 完全に災害サイズだ。


「古竜級ですね」


 ベルクの声が低い。


「“契約竜”の系統でしょう」


「契約竜?」


「古代文明以前から存在する、“竜語契約”の管理者です」


 さらっととんでもない情報が出た。


「待ってください」


 俺は眉をひそめる。


「つまり、竜も経済やっているんですか?」


「正確には、“契約体系”ですね」


 グランが続ける。


「竜族は、人類より古い信用文化を持っている」


 ……ファンタジーだ。

 かなりファンタジーになってきた。


     ◆


『我らの市場へ触れるな』

 黄金文字が、まだ空中へ残っている。


「市場って言ったな」


 魔王が目を細める。


「はい」


 俺もそこが引っかかった。

 つまり。

 竜族にも、

•信用

•契約

•市場

が存在する。


「エルシア」


 俺は空中へ聞いた。


「竜語契約網って何です?」


『古代非干渉型信用体系』


「……はい?」


『中央認証を使用しない独立契約文化』

 なるほど。


「分散型か」


「ええ」


 ベルクが頷く。


「しかも極端な」


 竜族は長命だ。

 数百年。

 数千年単位で生きる。


「つまり」


 グランが静かに言う。


「“個体信用”だけで市場を維持できる」


 あ。

 理解した。


「寿命が長すぎるから、“信用履歴そのもの”になるのか」


「その通りだ」


 例えば。

 人間商人は寿命が短い。

 だから国家保証や銀行が必要になる。

 でも竜族は違う。

 本人が千年生きる。

 つまり。

“あの竜は五百年前も契約を守った”が、そのまま信用になる。


「……強っ」


「だから竜族は中央銀行を必要としなかった」


 ベルクが低く言った。

 なるほど。

 種族ごとに経済文化が違うのか。


     ◆


「ですが」


 ラウルが険しい顔をする。


「なぜ今になって出てくる」


『回答』

 エルシアが即座に反応する。

『中央契約炉再起動により、全世界信用網へ干渉が発生』


「つまり?」


『古代中央信用体系が、“非接続圏”へ接触を開始しました』

 沈黙。


「……やらかしていません?」


 俺は思わず言った。


「かなり」


 ベルクが真顔で頷く。

 中央契約炉が再起動した。

 その結果。

 今まで独立していた信用文化へまで、影響が出始めている。


「つまり」


 グランが静かに言う。


「アルト」


「はい」


「あなた、“世界経済統一”を始めかけている」


 嫌なスケールになってきた。


     ◆


 そのときだった。

 空が震える。

 巨大な風圧。

 雲が裂ける。


「来るぞ」


 グランの声が低くなる。

 次の瞬間。

 黄金の巨竜が、北方街道上空へ降下した。

 轟音。

 暴風。

 荷馬車が吹き飛ぶ。


「うおおっ!?」


 でかい。

 本当にでかい。

 黄金鱗。

 縦長の瞳。

 そして首元には、無数の契約紋様。

『人類種』

 低い声が響く。

 空気そのものが震える。

『誰が中央契約炉を起動した』

 全員の視線が、ゆっくりこちらへ向いた。


「……いや」


 俺は乾いた笑いを浮かべる。


「半分くらい事故なんですが」


『事故で世界信用網へ接触するな』

 正論だった。


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!


もし「続きが気になる!」「面白い!」と思っていただけましたら、

下にある**【ブックマークに追加】や、【☆☆☆☆☆】を★★★★★**にして応援していただけると、執筆の励みになります……!


ほんの少しの応援でも、作者にとっては嬉しいものです。

どうぞよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ