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弱小国の王子だったので、近隣都市を制圧します  作者: レモンティー


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第十話:鍛冶職人を優遇し、発明品を生み出す

王都の空気は、少しずつ変わり始めていた。

だがそれは、誰も気づかない種類の変化だった。

「殿下、また新しい募集ですか?」

側近が書類を見ながら眉をひそめる。

そこにはこう書かれている。

――鍛冶職人、工匠、工学者、全て厚遇で招聘。

俺は即答する。

「そうだ」

「軍より先に“作る側”を強くする」

側近が戸惑う。

「ですが、それは即効性がありません」

俺は地図から顔を上げる。

「だからいい」

「即効性がある国は、すぐ戦争になる」

その言葉に、側近は黙る。

・職人たちの到来

数日後。

王都の外れにある旧工房区画。

ボロボロだった建物の前に、次々と人が集まり始める。

「本当に……ここが仕事場なのか?」

「王子が直々に呼んだって噂だぞ」

「怪しい話じゃないのか?」

そこへ俺が現れる。

ざわつきが走る。

「本物だ……」

俺は前に出る。

「ここから先、この国は変わる」

沈黙。

一人の鍛冶職人が手を挙げる。

「王子様よ」

「俺たちは武器は作れるが、国は救えねぇぞ」

俺は即答する。

「武器は後だ」

「まず“作れる国”にする」

・技術者たちの誤解

別の工匠が笑う。

「面白いこと言うな」

「国が作れるってのは政治家の幻想だろ」

俺は首を振る。

「違う」

「作るのは政治じゃない」

「現場だ」

その言葉に、一瞬だけ空気が変わる。

・“特区”の設置

数日後、旧工房区画は完全に作り直されていた。

看板が立つ。

【王立技術特区】

側近が呟く。

「……殿下、これは国家予算のかなりの割合を使っています」

俺は頷く。

「分かってる」

「でもここが心臓になる」

側近は困惑する。

「心臓……ですか?」

俺は工房を見渡す。

「軍じゃない」

「金でもない」

「“作れる場所”が国の本体だ」

・最初の発明

工房の奥。

一人の若い工匠が震えながら言う。

「でき……ました」

机の上に置かれているのは、小さな金属装置。

側近が覗き込む。

「これは?」

工匠が答える。

「圧縮式点火機構です」

「火薬の点火を安定化できます」

空気が止まる。

傭兵リーダーが口を開く。

「……つまり?」

俺は静かに言う。

「カタパルトが安定する」

一瞬の沈黙。

次の瞬間、工房がざわつく。

・“戦力”ではなく“技術力”

さらに別の職人が声を上げる。

「王子!これも試してくれ!」

出てきたのは改良された金属合金。

「軽いのに、今までの三倍硬い」

傭兵がそれを叩く。

「……剣が折れねぇ」

リーダーが笑う。

「おいおい、これは戦争変わるぞ」

俺は首を振る。

「戦争は変えない」

「戦う前に終わらせる」

・国の“性質”が変わる

側近が呟く。

「殿下……この国は一体どこへ向かっているのですか」

俺は工房の音を聞きながら答える。

「単純だ」

「“弱い国”から」

「“作れる国”にする」

工匠たちが次々と新しい設計を持ち込む。

傭兵たちはそれを試し、兵士は見て学ぶ。

全てが混ざり始める。

夜。

工房の明かりが王都を照らしていた。

金属の音。

火の音。

人の声。

側近が静かに言う。

「これではまるで……別の国のようです」

俺は答える。

「いや」

「やっと“国”になり始めただけだ」

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