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『地球ショッピング』で異世界を快適に!~医学生、善行ポイントで現代物資を取り寄せ、兎の村を最強要塞に変える~  作者: 月神世一


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EP 7

魔砲の産声と黄金の対価

グロック20を貸し出してから数週間。

ドルグの工房から絶え間なく聞こえていた槌音と魔力爆発の音がピタリと止んだその日、勇太と仲間たちは、ドルグの呼び出しを受けてマルストア郊外の荒涼とした岩場へと足を運んでいた。

そこには、普段の鎧姿で腕を組む騎士団長マンミヤの姿もあった。

「ほら、ユウタ様よ。お主の黒い鉄塊から着想を得た、ドワーフの新たな歴史の第一歩……これが**『マギス・マグナム』**だ」

ドルグが厳重な革のガンケースを開けると、そこにはこれまでのどんな武器とも違う、異様で美しい輝きを放つ一丁の「小型魔砲具」が収められていた。

グロックの「反発力を利用した連射・次弾装填機構」という効率的な設計思想を受け継ぎながらも、その銃身バレルは長く、射撃の安定性を高めるための木製ストック(銃床)が取り付けられている。

漆黒の銃身本体には魔力伝導を高めるためのドワーフのルーン文字がびっしりと刻まれ、機関部にはめ込まれた巨大な水晶マテリアルが、脈打つように静かな蒼い光を宿していた。

「これが……マギス・マグナム……」

勇太は息を呑んだ。

現代兵器の無駄を省いたフォルムと、異世界の魔法技術ファンタジーが見事に融合した、まさに実戦的な芸術品だ。

「能書きはいい。まずは撃ってみな。的は、あの岩山のてっぺんにある枯れた大木だ。ここからちょうど1キロってところだな」

ドルグに促され、勇太はマギス・マグナムを手に取った。

ずしりとした重み。しかし、人間工学に基づいて設計されたであろうその形状は、吸い付くように驚くほど手に馴染んだ。彼はグロックの経験を活かし、しっかりと肩にストックを押し当て、アイアンサイト越しに1キロ先の標的を見据えた。

そして、静かに息を吐き――引き金を引く。

ドゥンッ!!

火薬の爆発音とは違う、空気を圧縮して凄まじい質量を叩きつけるような、腹の底に響く重く低い発射音。

勇太の肩に、強烈な反動リコイルが走る。

銃口から放たれたのは、弾丸ではなく、目に見えないほどの速度で飛ぶ『極限まで凝縮された魔力の塊』だった。

次の瞬間――1キロ先の標的である巨木が、青白い閃光と共に、爆発でもしたかのように木っ端微塵に吹き飛び、消滅した。

「す……! 凄まじい……!!」

今まで腕を組んで懐疑的に見ていたマンミヤが、その信じられない威力と精度に絶句し、思わず素っ頓狂な声を上げた。

弓矢や魔法使いの射程を遥かに凌駕する距離からの一撃。一介の兵士が携行できるサイズの武器でこれほどの破壊力を生み出せるなど、騎士団長である彼女の常識を根底から覆すものだった。

「はは……! こいつは本当に凄まじい武器ですね、ドルグさん!」

勇太も、その想像を絶する性能に興奮を隠せない。

「ああ、魔石の暴発エネルギーを見事に前方に指向できた。まだプロトタイプだがな、こいつを元にまだまだ改良もできるし、より強い新作を作る自信があるぜ」

ドルグは、自分の作品の完璧な挙動に満足げに深く頷いた。

「ドルグ殿!! すぐにこの武器の量産を! 我がマルストア騎士団に、このマギス・マグナムを正式配備させたい! これがあれば、海から来る強力な海魔シーモンスターにも、厄介な海賊の大船団にも、城塞の魔砲に頼らず対抗できる!」

興奮冷めやらぬマンミヤが、半馬の蹄を鳴らしてドルグに詰め寄る。

だが、ドルグは「ふん」と鼻を鳴らして首を振った。

「慌てなさんな、騎士団長。こんなバケモノみたいな代物を作るのに、どれだけの希少な材料と手間がかかると思っとる。……そうだな、ざっと原価を見積もっても、一丁あたり**『金貨100枚』**は要るな。量産なんて夢のまた夢だ」

「ひゃ、100枚!? そんなに!?」

勇太は、そのあまりにも高額な製造コストに思わず叫んだ。

金貨100枚といえば、帝都でそこそこの一軒家がポンと買えるほどの莫大な金額だ。それを騎士団全員に配備するなど、今のマルストアの財政では不可能に近い。

「ああ。特殊な魔力伝導体である『火花鉱ひばなこう』に、不純物のないドワーフ鋼。そして何より、機関部の爆発に耐えるには『ミスリル銀』が必須なんでな」

ドルグはニヤリと笑い、勇太の肩をバンッと叩いた。

「だが、性能は見た通りだ。これだけの力、タダで手に入ると思うなよ。……さあ、どうする? この街の守りを強固にするか、今のまま綱渡りの防衛を続けるか」

ドルグの言葉は、冷やかしではない。

「そのためにも、この街をもっと豊かにして、たっぷり資金を稼いでくれよ? 若き領主様」

それは新米領主である勇太への、ドワーフの匠からの厳しくも期待に満ちた『檄』だった。

マギス・マグナムという、防衛力を劇的に変える途方もない可能性と――金貨100枚という、とてつもなく重い予算の壁。

「……なるほど。やっぱり、世の中お金ってことか」

勇太はゴクリと喉を鳴らし、手元にある革新的な魔砲具と、遥か彼方に広がる海を改めて見つめ直す。

農業改革で食料を確保し、干鰯ほしかとポーションで外貨を稼ぐ。すべては、この街の民を守るための防衛力(予算)に繋がっているのだ。

領主・中村勇太のやるべき道筋が、真っ直ぐに繋がり、そして確かな重みを持って動き出していた。

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