ろぐあうと:からおけぼっくす
100000PVを突破しました。今年中に達成する目標だったのがいきなり達成されて本当に驚いています。感想や評価ポイントもいただけて本当に感無量です。コレからも「最悪の邪神がログインしました。」をよろしくおねがいします。
アザトースの宮殿にて、ニャルラトホテプの化身のひとつがゆっくりとお茶をしていた。もちろん決してサボっているわけではなく、最も重要な役割を担っていたからだ。
『「面白いことになっています。最高に観測し甲斐があります。私がそこに降臨できないことは残念です」と現時点では考えています』
「本当に面白いわね。ハスターとノーデンス、ツァトゥグアとクタニドが戦うなんて...。それも陛下のためにとはね」
「彼らも陛下のことを敬愛しているのでございます。ヨグ=ソトース様、シュブ=ニグラス様」
そういってニャルラトホテプは二柱の神に茶を差し出す。外なる神々の舌に合うかは定かではないが、出さないよりはよほど良い。それに彼らの興味はニャルラトホテプの化身の目を通して見るハスターたちの決戦に注力している。味覚のことなど忘れているだろう。
『「さて、旧支配者と旧神の戦いは全くもって見離せぬものです」とこの時において発言できます』
「過去未来現在、遍く時空に偏在しているあなたにそう言わしめるとは...なかなかね。でも、あなたはコレの結末を知っているのでしょう?それも一つではなく辿りうる全てを」
『「当然のことです。ですがまだ確定はしていないのです。分岐し収束し発散した結果を知り尽くしていたとしても、結末がどれになるかだけは私にはまだ言えないのです。それが私の約定なのです。賽の出目による結果は知っていますが、出目そのものを決めることはできないのです。それができるのは我らが王のみです」と説明することが現在可能です』
「故にヨグ=ソトース様は陛下と違い白痴たりえなかった。そうでしょう?」
『「我らが王に対していささか不敬ではある」とわずかな昔に関しては言えますが......「そうである」と今この瞬間は言えます』
「......そう、どうでも良いわね。必要なのはこの戦いの結末を見ること。そうでしょう?ニャルラトホテプや、解説なさい」
「御意に。現在それぞれの旧支配者は自らの支配域へと引き摺り込もうとしていますね。ハスターはカルコサ、ツァトゥグアはンカイへとですね。クタニドはそれに反抗していますが、ノーデンスは大人しく入ったようですね。やはり旧神の中でも一番傲慢なだけはありますね」
『「概ね正しい」とこの場合言うべきでしょう。ですが、「カルコサの支配者関係は複雑、どちらが勝つかは賽の目...時の運でしょう」と永劫に言えます。』
「わからないわね。小細工など捨てて真っ向勝負で踏み潰せばよいのに」
「旧神相手にそれができるほど彼らは強くありませんので」
「あら?あなたはできると言いたげな口振りね?試してみようかしら」
「ハハハ。お戯れを」
本来汗など流れないはずの化身だが、背中に冷や汗が流れている気がする。シュブ=ニグラスとニャルラトホテプ、同じ外なる神といえどその力には差がある。この体の代わりなどいくらでもあるが、それはそれとして戦いたくはない。
『「陛下の方を見るがいい」と言えます......今、この時は』
ヨグ=ソトースの言葉に飛びついて、ニャルラトホテプはシュブ=ニグラスの気をうまいこと逸らす。もし戦っていたらと思うとゾッとする。ニャルラトホテプも頑張れば相手にはなるだろうが、それよりもこの宮殿を傷つけることはよろしくない。万が一玉座に座す方の陛下に傷がつきほんの少しでも怒れば、まとめて全員消し飛ばされる。
「全くもってその通りでございます。では観測するとしましょうか。我らが王アザトースのご友人を」
ニャルの提案でカラオケ店へと向かうコウタ達だったが、どうも空気が気まずい。誰のせいでもないと言いたいところだが、原因は只一人、ニャルだ。さっきからアザトースと話すたびに、ニャルのコウタを見る目がダニを見るような目になっている。もはや後ろからの視線の強さにコウタの体力が物理的に持っていかれている気がする。アザトースが見ている時は完璧に隠しているあたり大したものだ。
「...まだー?」
「お嬢様、もう少しお待ちください。もうすぐ用意できますので」
「......用意?」
それを言うなら用意ではなく予約とかその類なのではないだろうか?その疑問はニャルの有無を言わせぬ雰囲気で抹殺された。アザトースに聞いてみたが、彼女も彼女でよくわかっていないようだった。その間ニャルは右耳あたりを押さえて何かぶつぶつと言っていた。誰かと会話しているようだった。
「ああ、完成しましたね。ではいきましょうか」
「...れっつごう」
「......完成した?」
また不可解な言葉を言った後、ニャルはアザトースの乗った車椅子を引いてコウタを置いて進む。幸いなぜかいつもよりも人通りが少なかったので見失うことはなかった。
「...ねぇコウタ。わたしわかった」
「奇遇ですね。僕の方もちょうどわかったところです......ニャルさん、なにがあればこんなことができるんですか?」
「超法規的権力ですかね」
冷や汗をかくコウタの目の前には、「本日オープン!」と垂れ幕の掲げられたカラオケ店が建っていた。




