新たな邂逅
コウタが立ち直った後、前回のようにうやむやになる前にアザトースは早速フレンド登録を行う。といってもほぼ全てコウタの手動で行われたためアザトースは言われた通りに目の前に表示されているボタンを押しただけだったが。
「これでOKです。いきなり変化が起きるわけではありませんが結構便利ですよ」
「...そ」
「それじゃあ打倒アルデバランに向けてまずは情報共有といきましょうか!まぁ僕が一方的に伝えるだけになりそうですけれど...」
「...アルデバランはまだかみじゃないってオグハいってた」
「嘘でしょ!?」
「...ほんとだよ」
コウタの驚きようから自分も役に立てたのかなと思い、少しアザトースは気分がよかった。その後二人で情報の共有をしたところ、アザトースの知った情報は以下の通りだった。まずアルデバランはここイケブクロでは「あとぼしさま」と一般市民には呼ばれていて、アルデバランの名前は支配者層によって覆い隠されていること。次にアルデバランはヒトにとって良い神とは言い難く、季節が変わるごとに生贄を要求してくるのだという。また街の人々が着けている動物の仮面はアルデバランにヒトだと気づかれないようにするための魔除けの品らしい。最後にここを治めている女王アルキオネはアルデバランの末裔を名乗っているということだ。アザトースからはコウタにアンドレとグリム神父、そしてオグハがアルデバランについて語っていたことを端的に伝えた。
「『アルデバランは未だ神ではない』ですか...なんだか変な言葉ですね」
「...そうなの?」
「だってオグハ本人がアルデバランのことを大いなる神と呼んでいたんですよ?矛盾している気がします」
「...む」
「だから何らかの比喩だとは思うのですけれども...僕にはちょっとわからないですね...」
オグハのヒトを食ったような雰囲気のせいでそういうものかと鵜呑みにしていたが、確かに言われてみれば前の発言と矛盾した言葉だ。何かを暗示しているというのが正しいだろう。しかしアザトースが考えたところで特に思いつかないので話を切り替えることにした。
「...じゃあどうしよ」
「そうですね、まずはアルデバランについて一番よく知っているはずの女王アルキオネに会うのがいいと思います」
「...どーやって」
「料理大会に参加するのがいいと思うよ〜」
「そうそう、アルキオネ主催の料理大会に参加して優勝するのが一番早道だと......って誰!?」
アザトースたちが話している間にしれっと割り込んできたのは蜂蜜色の髪が眩しい女の子だった。背はアザトースより頭ひとつ高く、160cm程度だった。素肌を大胆に露出した派手な格好をしていて、その左手首はリストバンドで隠されてはいたが、隠しきれてない紫色の腫れがアザトースにはチラリと見えた。
「名乗らないのも変だよね〜...というわけで!『人でなし』のこはくだよ☆」
そう言うなり目の前の少女、こはくはアザトース達に向けて人懐っこい笑みを浮かべた。




