最後の聖戦
タイガーストリームの重き扉は、鈍く重い音を立てて開いた。そして奥の玉座には、リューショーが強く会う事を望んだ、ソフィア姫の格好をした、紛れもない可憐が、座ったまま、眠りについていた。
「かりーん!」リューショーは可憐に向かって真っ直ぐに走り出した。
「ウッ、ヴワァー!」リューショーは途中で何かにぶつかり、電撃を受けたように倒れ込んだ。
「リューショー!」三人が叫んだのも束の間、上から氷柱のような物が降って来た。リューショーは寸での事でそれを躱した。それこそはタイガーストリームの牙、そのものだった。
「ヤバいね。リューショーのHPは1になってる。先っきの牙が刺さっていたら、一環の終わりだったね。マックス・ヒーリング」フィリップスの呪文で、リューショーは全快した。
「フフフッ、しぶといヤツらだな。しかしその見えない壁はオレを倒さない限り、解ける事はないぞ」声と共に、リューショーの近くに怪しげな人物が現れた。
「お前…森野か?」リューショーは立ち上がり、その怪人に問いかけた。
「久しぶりだな、滝沢。良くここまで来たな。それは褒めてやるよ。お前をオレ同等の天才と言う事も認めよう。だがな、お前のその存在がオレを苦しめてるんだよ!お前から…お前自身から、全てを奪わなきゃ、オレの存在価値がなくなるんだよ!永遠にこの世界を彷徨ってくれよ」紛れもないドルゲマの姿をした森野が、呪文を唱えた。
「ビッグバーン!」四人を無属性の強烈な爆発が襲った。
「グギャー!」一気に全員が瀕死状態に陥ってしまった。
「フィリップス!お前はオール・ヒーリングだけに集中してくれ!スターシャ、オレのクリプトンソードにサンダー・ボルテージを!」スターシャは言われた通りに、唯一ドルゲマに有効な雷系呪文をリューショーの武器に帯びさせた。
「メガ・スラッシュ!」リューショーはMP30を消費する必殺技を放った。
「オール・ヒーリング」フィリップスが全員の回復をした。
「メガトン・アタック」ヘイグがクリプトンアックスで、最高の技を繰り出した。
「フッ、滝沢、分かっててやってるのか?ビッグバーン!」再び全員に最高級の爆裂技が放たれた。
こうして最上級の技を繰り出しては、全回復を繰り返す攻防が続けられた。しかし、そこにはMPを消費し続けてでもドルゲマを倒す必要があると考えている滝沢と、その先に待っている、リューショー達にとっての地獄を用意している陰謀を抱えた、森野との戦いの全貌が隠されていた。
やがて、ドルゲマはリューショー達の攻撃により、地に沈んで行った。
「グルルルー、さぁここからが本当の戦いの始まりだ!」ドルゲマは身をサーベルタイガーが如く、その姿を変貌させた。
「なっ…ドラゴンじゃなくてタイガーか?そう言う事かよ」元の土台を作ったヘイグこと小園はそれが意味する事が理解出来た。
「しかしMPは尽きてしまったね。今こそガイスト・メディシンを使う時だね」フィリップスはクールに答えた。
「さぁ、先輩…リューショーさん、最後の戦いだね」スターシャも覚悟を決めたようだった。
「グッフッフッ、言っておくが、この中ではガイスト・メディシンは無効になるようにプログラミングさせてもらった。お前達の命もここまでと言う事だ」最後の最後に、森野は自身の全能力をかけてプログラミングの書き換えを行っていた。
「やはりそう来たか…流石は森野だな。しかしオレもオレなりのプログラミングを用意させてもらったよ。皆んな…すまない…そしてありがとう。Komm mit freunden zuruck(仲間達よ戻れ)」リューショーが唱えた呪文により、三人の仲間達は消えてしまった。
「グルルー、貴様、何を考えているんだ?」虎の化物と化した森野は、滝沢ことリューショーの考えが分からなかった。
「森野…ここからはオレとお前だけの戦いだ。結果なんてどうなるか、オレにも分からない。でもオレは誰も犠牲になんてしたくないし、オレが愛する可憐も、今のオレを肯定すべき存在のお前自身も救ってみせる!さぁ、戦おう!思う存分に戦って、オレ達の未来を切り開こう」
リューショーは武器も装備している防具をも投げ捨てて、両の腕を広げた。
「ウグッ、グルルー、グギャー!」タイガーストリームと化した森野が大口を開けてリューショーに目がけて噛み付こうとした。しかしリューショーは微動だにせず、大の字の体勢のままにタイガーストリームの攻撃を受け止めようとしていた。




