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N大ジャズ同好会

「非常に美しいポリゴンで感動したよ。美奈代とフィレンツェでレコーディングに行った時の事を思い出して、ドンドンとイメージが湧いて来るよ。きっと気にいってもらえる楽曲を提供出来ると思うよ」ヘクターレコード所属の音楽プロデューサー、大倉 宙良そらは、わざわざDGP企画まで、打ち合わせの為におとずれていた。

「フィレンツェってどこ?」対応していた小園は、少々、間抜けに返した。

「あぁ、イタリアだよ。イタリアは世界遺産も多いだろ?その歴史的建造物がリアルに再現されていて、本当に町並みを探索たんさくしているような気分になれるからね」大倉はレコーディングの為に訪れた当時に想いをせて言った。

「まぁ、あの風景を担当している女性が、留学の為にヨーロッパ各地を転々とスケッチして回ったらしいんだ。その経験から、あんなにリアルで美しい風景が描けてるって訳!今やDGP企画ウチに欠かせない存在だよ」小園はどの立場から言っているのか?と思える口調で自慢げに語った。

「ところで今日の夜、時間ない?後藤に頼み事があって、また会うんだけど、この間カフェで三人で盛り上がったから、良かったら一緒に飲まない?」小園は思い切って大倉を誘ってみた。

「うん、今夜は美奈代と、マネージャーの仁村ってヤツと、その奥さんで楽団バンドのサポートメンバーでもある中野 百合って女性の四人で食事をする予定だったんだ。人数が増えるけど、それで良ければ」大倉の"真田 美奈代が来る"と言う言葉に、小園はいち早く反応した。

「えっ?(真田 美奈代が来る?)あぁ、良いよ。是非、皆んなでおいでよ!後藤もボクも、賑やかなの好きだし」平静を保ちつつも、動揺が隠せないでいた。

「ハハッ、じゃあうかがわせてもらうよ」言っている大倉の顔が、どこか引きつっていた。


フィリップス役を頼む為、今夜の作戦を中止してもらった小園は、後藤に会う為に新橋駅近くのチェーン居酒屋にいた。

「それじゃあ、一人余計な小園ヤツが混ざってるけど、N大ジャズ同好会の同窓会に乾杯!」後藤は、日頃の鬱憤が溜まってるせいか?大声で元気良く音頭を取った。

「あのさぁ、余計なヤツって、そもそもはボクとお前の会なんだぞ!」小園の不服を誰も聞いておらず、懐かしい顔触れは、近況などを報告し合いながら楽しく酒宴に興じていた。

「真田は最近、どうなんだい?CDの売り上げも好調みたいだし」卒業以来、唯一繋がりのなかった後藤が、美奈代の近況についてたずねた。

「先月までアメリカに行ってたの。マミィの昔のバンド、Maria with Pure Todayが復活するから私を新メンバーとして迎えたいって言われて。レコーディングも一段落したから一時帰国よ」遠い芸能の世界について語る有名な美人トランペッターの姿に、小園はすっかり目を奪われていた。

「マミィってマリア・スタンレーさんだよな?一時帰国って事は、また渡米するのかい?」

「ええ、マミィはライブはやらなかったんだけど、私達と出会ってから、今は精力的にやってるわ。一ヶ月かけて全米をツアーで回る予定なの。私のママはマミィの妹なんだけど、血縁的にはマミィが本当のママなのね」小園は憧れの存在の身近な話しを間近で聞けて、幸せの絶頂にいた。

「ところで仁村さぁ!どうやって中野を落としたんだって?」すっかり幹事のようになっている後藤が興味津々に聞いて来た。

「百合ちゃんの人生のスケジュール管理もオレにやらしてくれないか?って言ったんだよな」大倉が仁村を茶化すように言った。

「おい!宙良!いい加減にしろよ。お前のスケジュール、鬼予定で埋めてやんぞ!」仁村はマネージャーらしい返しで反論した。

「もう、キーちゃんは…いつまでも大人げないんだから。早く座って」妻の百合は、学生時代に戻ってしまった夫をたしなめた。

「ところでさぁ、中野さんだっけ?楽器は何を担当してたの?」一人 蚊帳かやの外で、中々面々の輪に入れない小園は、少しでも会話の糸口をつかもうと話しを振ってみた。

「私ですか?私はバイオリンを」この言葉が小園にとって幸運な一言になった。

「バイオリン!そうそう、後藤さぁ、お前、バイオリン弾きになってもらえないか?」小園は周りの興味を引く為にあえて意味深な言い方をした。

「はぁ?オレはチェロ弾きだよ!バイオリンは肩がるから嫌なんだよ。チェロが丁度いい大きさなのさ」後藤は気障っぽく喋った。この時、小園は"やはりフィリップスはコイツしかいない"と思った。

「イヤ、違うんだ。実際にバイオリンを弾いてくれって事じゃないんだ」小園は滝沢の妻、可憐かりんの事について詳しく説明した上で、後藤に協力を要請した。

「フーン、なんか面白そうじゃないか!まぁ、仕事に支障がないんなら協力しようじゃないか」やはりリアルにゲームの世界でプレー出来るとなると、一様に興味を示すものだ。後藤は要請を快諾かいだくした。

こうして同窓会は夜遅くまで続けられた。

N大ジャズ同好会の詳細については、私の処女作「三つ子の魂百までは嘘」をお読み下さい。人間関係などがより深く分かって、より楽しめると思います。

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