バイオリン弾きのフィリップス
アルポートまでの道のりは険しい!
標高の高い山岳地帯を抜けた先に洞窟があり、その洞窟を抜けた所に海岸線に沿った自然豊かな町並みが広がる。
アルポートの名にあるように、港町としても栄えている。
「ヘイグ!少し、無茶し過ぎじゃないのか?お前が死んだところで生き返らせる方法は確約されてないんだ!もう少し慎重に戦ってくれ!」リューショーは小園の性格を反映させたようなヘイグの戦い振りに、苦言を呈した。
「えっ?生き返らせる方法がないってどう言う事だよ!教会に行って神父に頼めば生き返らせてくれるんじゃないのか?」すっかりヘイグ役が板について来た感じで意外そうに返して来た。
「言ったろ?確証がないんだ。お前と出会ってパーティを組むのは初めてだから言い切れないが、少なくとも全滅したらオレ達は終わりだ!永遠にこの世界で彷徨う事になる。パーティの誰かが死んだところで生き返らせる事が出来るかどうかは、川上先生に聞かなきゃいけない」滝沢は小園を仲間にした事で、興奮のあまり、肝心な事を聞くのを忘れていた事を悔やんだ。
「へーっ、そうなのか?それじゃあアルポートでフィリップスに会ったら、蘇生マジカルが有効なのかも聞いとかなきゃいけないな」さすがはヘイグ、もとい小園だった。フィリップスは出会った時は覚えていないが、レベルを上げれば蘇生マジカルを覚える設定になっていたのだ。もしヘイグが言うように蘇生マジカルが有効なら、これからの旅をかなり楽に進める事が出来るようになる事だろう。
「そうだな。現実世界に戻ったら先生に聞こう」
それからのヘイグは、リューショーの忠告を守って、慎重になって戦った。厳しい戦いの連続だったが、二人は何とかアルポートに辿り着く事が出来た。
「やっぱり藤木の作る町並みは美しいな!ヨーロッパで本物を見て来ただけあって、とてもリアルに再現されている」リューショーは滝沢に戻ってゲームの世界である事も忘れて、自分の部下を称賛した。
「あぁ、確かに。おっ!あの船着き場にフィリップスがいるんじゃなかったっけ?」ヘイグが指摘した船着き場は、大層、立派な造りをしている。早速、リューショー達は船着き場に向かった。
船着き場の待合室にフィリップスはいた。気障な事に顎と肩でバイオリンを挟み込み、弓を弦に当てがったまま、ヘイグと出会った時、同様に静止画のように停止していた。
「やはりダメか…フィリップス役になってくれるヤツ…誰かいないものか?」リューショーがフィリップス役について思案していたところ、ヘイグが口を挟んだ。
「なんか…コイツどっかで見た事があるような?最近、会った事なかったっけ?」ヘイグの愚にも留めない話しを聞いていたリューショーは、我々が作ったのだから当たり前じゃないか?と思っていた。すると突然、思い出したように大声を上げた。
「コイツ!ゴーシュだ!後藤 修二じゃんか?バイオリンとチェロの違いはあるけど、バイオリン弾きのゴーシュだ!ハッハッハ!」と訳の分からぬ事を言い出した。
ヘイグ、もとい小園の話しを聞き、滝沢もなるほどと思った。現実世界に戻ったら、早速その後藤と言う人物と連絡を取る事を小園は約束した。
これ以上はこのアルポートにいても、出来る事はないだろう。リューショー達は瞬間移動マジカルでヤフゴルドに戻った。




