小園とヘイグ
「このモッサイ若者にヘイジっちゅう役目やらせまんのんか、滝沢さん」『先生、まだヘイジって言ってるよ』
「ヘイジって何ですか?モッサイってどう言う意味ですか?」
小園の言葉を聞いて、滝沢は最悪の組み合わせだと思った。もしかしたら、電子光学を学ぶ人間は、クセのある人間ばかりなのだろうか?
"先生はヘイグと間違ってらっしゃるんだよ" 小園に囁くと「ハハッ、先生、やっぱ面白いですね。ヘイジってあれでしょ?平田 甚平!アイツ、先生のクラスでも優秀な奴でしたもんね」電子光学の中の話しに滝沢は蚊帳の外になっていた。
「自分なぁ、訳の分からん事言いな!誰やねん、平田何ちゃらって、ほんで自分は誰やねん?」
滝沢は何となくは分かっていたが、川上は本当に自分の研究とサンライズ以外、興味がなのだと思った。
「先生!酷いですよ!ボクの卒論、褒めてくれたじゃないですか」
脹れる小園に川上は追い打ちをかけるように「そんなん、昔話は知らん、知らん。それよりも早よ、そこに寝なはれ」川上は少し立腹した様子でサンライズの袋を開けた。
「あー、メロンパン三十個しか手に入らんかったからなぁ、イライラする!滝沢さんに上げへんかったら良かった」
ブツブツと不満を呟く川上を見て、滝沢は一度調べて川上の言うメロンパンを差し入れて上げようと思った。実のところ滝沢もあのメロンパンの味を忘れられないのだ。
「ほな、滝沢さんから行くで。チョチョイのチョイっと」
滝沢はいつも通りに小屋の一室で目覚めた。そして直ぐに瞬間移動マジカルでメープルリーフに飛んだ。
「うん、行ったみたいやなぁ、ほならモッサ君、行くでぇ」川上に名前も覚えて貰えない小園がゲームの世界に飛んだ。
「てめぇ、今、コッチ睨んだだろう?許さねぇ」
ヘイグはいきなり酒場にいた荒くれ者に殴られた。
「痛ぇ、何だよ、いきなり」ヘイグは荒くれ者にいいように殴られていた。
『しまったな。ゲームの世界の説明をちゃんとしとくんだった』
「おい、こぞ…じゃなかった。ヘイグ!ゲームだ、実際に身体を動かそうとせずに、ゲーム感覚で、意識で自分を動かすんだ」
滝沢のアドバイスを聞いて、ヘイグは立ち上がるなり、荒くれ者共を滅茶苦茶に倒してしまった。
ヘイグのデータを見ると、レベル18にまでなっていた。初期設定通りだった。
「スミマセン、滝沢さん。お陰で助かりまし…あれ?アンタ誰?」ヘイグはキョトンとして、滝沢こと、リューショーを見つめていた。リューショーの姿は現実世界の滝沢とは雰囲気がどこか違って見えたのだ。
リューショーはこの世界の事やルール、プレーのコツを教え、その内慣れるだろう事を告げた。
「そんなの初めに言っといてくれよな!まぁいいだろう、ヨロシク頼むぜ、相棒」
小園はすっかりヘイグになり切っていた。やはり思惑通り、コイツは頼りになるかも知れないと滝沢は思った。
「それじゃあ、カリン姫救出に向かうぜ。覚悟は出来てるなぁ」滝沢もキャラクターに成り切って話すと
「カリン姫?ソフィア姫じゃないのか?」と返して来た。
「スマンな、それこそがオレの本来の目的と言う事だ。カリン姫はオレの実際の妻、可憐だと思われる。協力してくれるな?」
しばらく頭の中を整理しているのか、考え込んで「OK!分かったぜ、相棒。前線はオレが攻めるから、アンタは後方援護してくれ」と返した。
流石に小園はこのゲームの世界を熟知していた。
リューショー達は、次なる町、アルポートを目指して旅立った。




