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新緑騎士団  王都No.1人気の騎士団に男装して潜入し、生き別れた兄を探します  作者: 北村 清
第六章 ローゼンリール邸放火事件

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ヴェルギールの家族(1)

うららかなる春の午後。


グリューネバルト領にある畑でポチが鳴いていた。


王都では、フロルが春の陽気の下で伸びをしていた。


中の島ではしかが発生して一ヶ月。フロルは久しぶりに中の島を訪ねていた。食料やら燃料やらなどのグリューネバルト家からの救援物資をコマドリの家に届け、更に必要な物がないかを聞く為だった。


同行者は、ユーリにマクスにアレクである。コマドリの家は治安の悪い場所にある為ついて来てくれたのである。


「グリューネバルト伯爵夫人は、もう領地にお戻りになられたのか?」

とユーリに聞かれてフロルはギクっ!とした。


「・・うん。戻られたよ。」

「そうか。御礼をお伝えしたかったのだがな。」

しみじみと言われてフロルは良心が痛んだ。現実にユリウスに御礼を言ってもらえるような事は何もしていないのだ。中の島への支援を決定し強行したのはウィンクラー夫婦と領地にいるアイゼナッハ夫婦、それにリーリアである。



コマドリの家に着くと先客がいた。フロルよりも少し年上の男女だった。


「ルドルフじゃないか。久しぶりだね。」

「ああ、そうだな。大変だったと聞いたが、もう体調は大丈夫なのかマクス?」

「うん。もう元気。ルドルフもカティーナも母上に会いに来てくれたのかい?」

「ああ。親父に寄付金を届けに行けと言われてな。」


どうやら、コマドリの家を支援している善意の支援者らしい。ルドルフと呼ばれた褐色の髪の男性はフロルをジロジロと見て

「知らないのが一人いる。」

と言った。


「フロレント・ミゼル君だよ。今年騎士団に入ったばかりの新人なんだ。フロル。ヴェルギールの兄と・・カティーナは養母殿の姪だから義理の従姉になるのかな。まあ、つまり。ヴェルの家族だよ。」

「はじめまして。フロレント・ミゼルと申します!クローゼ隊長にはいつもお世話になっております。」

と言ってフロルは頭を下げた。


「・・ああ、こちらこそ。どうも。」

とルドルフは言った。


似てないな。とフロルは心の中で考えた。ヴェルは赤毛で彫りが深くて目が大きい。そして愛嬌のかたまりのような人だ。

だけどこのルドルフという人は目が切れ長であまり愛想がない。


そういえば、以前アレクから聞いたヴェルの身の上話はかなり複雑でセンシティブなものだった。だから「似てない」とか迂闊には言ってはいけないかもしれない。(※ヴェルの家庭の事情は、第三章の見習い生活四日目・2で紹介しています)

フロルは女性の方に視線を移した。大きなメガネをかけた地味な女性だった。だけどメガネを外して綺麗に化粧したらまあまあな美人になるのでは?と思える人だった。体型のわかりづらい服を着ているから一瞬わからないがスタイルもかなりいい。


じろじろ見過ぎてしまったのだろうか?

「私、先に外に出てる。」

と言ってカティーナは病院を出て行ってしまった。


「すまんな。カティーナは男嫌いだから。」

とルドルフは言った。

だろうと思いました。ユーリとマクスとアレクを見て「きゃー!素敵ーー‼︎」と態度に出さない女性は少数派だ。ここへ辿り着くまでだって、綺麗なお姉様方に囲まれそうになって大変だったのだから。


「じゃあな。」

と言ってルドルフも病院を出て行った。なんとなく沈黙が続き

「ヴェルギール様ってお兄様がいたんですね。」

とフロルは言った。


「面倒見の良いタイプだし弟か妹がいるのかと思っていました。」

「ヴェルは十人兄弟だよ。」

「え?」

「僕が知っているだけでそれだけだから、知らない人も含めたらもっと多いかも。ヴェルは五番目か六番目の子供だ。」

「・・・・」

それはすごい。けれどコメントし辛い。ヴェルの父親は王宮勤めの護衛官だ。という事は結婚していないはずである。それで子供が十人だと!


田舎者のフロルは田舎の考えがどっぷり染み付いているから、夫がいるのに他の男の愛人になっている人とか結婚していないのに子供がいる人を見ると正直ドン引きしてしまう。だけどヴェルはもしかしたらフロルの兄弟かもしれない人なのだ。それを思うと、クローゼ家の実態が詳しく知りたい。できれば仲良くなりたい。


というか。


「ヴェルギール様、お元気ですかねえ?」

「聞く間がなかったな。」

と言ってアレクが苦笑した。


おそらく発症前のマクシミリアンからうつったのだろう。新緑騎士団員にもバタバタとはしかの感染者が出たのだ。ヴェルもその一人だった。基礎体力があるからか、騎士団員に死者は出なかったが、熱と発疹が治まった後も倦怠感がぬけないという人が多かった。なので団長は王都内に実家のある人は実家に帰って静養するよう言った。

それでヴェルは今、実家に帰ってしまっているのである。


「帰りに顔見にヴェルの家に寄ってみようか。」

とマクスが言うと、常識人のユーリが

「先触れもなしに訪ねたら迷惑だろう。」

と言った。

普段ならフロルはユーリの意見に味方するところだが、今はクローゼ邸に行ってみたいという好奇心が勝っていた。


「ヴェルの家は突然訪ねても全然大丈夫な家だよ。」

というマクスの意見に全力で乗っかった。


フロルの内心がわかったのだろう。


「そうだな。ヴェルに双子の姉妹がいなかったかどうか、ご家族に私も確認してみたいな。」

とアレクも言った。


そして急遽。フロル達はクローゼ邸を訪問する事になった。

新章突入です

第六章はサスペンス風になる予定です

どうか応援よろしくお願いします(^◇^)

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