表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/8

7.断続クラッチ

「おげーーー。」


あの日から2日がすぎた。

ここ二日魔法に携わってわかったことがある。

俺に魔法の才能は恐らくない。

というか我が家で一番へたくそである。

魔力の操作を例えるならば……車のマニュアル操作であろうか。

しかもエンストさせたら最悪死ぬタイプのものである。

無詠唱など夢のまた夢。

母さんはどうやってあんなに簡単そうにできるのか。コレガワカラナイ。


凍てつく柱(アイシクル)


手のひら大の氷柱。

初めは物質の構成要素や結晶構造や結合等々を意識してやってみたりしたが、どうにもうまくいかない。

母が言うには、魔法と物理は近いようで違う物だ。という話だった。


「火は熱を持っている。普遍的で、それ自体が特別な意味を持っている訳では無い。けれど、魔法の火は違うわ。」


ピンと立てた人差し指の先に、ポッと小さな火が灯る。


「少し触ってみて。」


少しとポカポカした感覚の中に、母さんの力強い魔力を感じる。


「この火の温度はだいたい25℃。魔術理論的には結構ギリギリな温度になるわね。魔術的な定義として、「熱を与えるもの」であったり、「燃焼するもの」だとか、「炎を纏うもの」だとかの形而上魔術学の勉強は正直お母さん寝てたからほぼわかってないのだけれど、とにかくそういう要素の成立要素をギリギリまで削った結果がこれ。」


わかったような分からないような……形而上学とかエヴァンゲリオンでしか聞いたことないが?


「さらにこれから魔法的アプローチで温度を下げるわ。極端なことを言うと、魔力さえあれば多少の無理は押し通せて当然だよね?と世界に押し付けるのがこのアプローチね。こんな事やるの学生以来だしできるかしら……。汝、我が魔力を糧に、熱を分け与えるものなり。もう1回触ってみて。」

「あれ?暖か……ちびた!」


詠唱の意味考えてみればそうだ。炎の周りはほのかに暖かいのに、冬場の風を思い出させるほど炎の中は凍えている。


「とまぁ呪文に具体性を持たせたり、長ったらしく詠唱する度に魔法自体の安定性は増すし、無理が効きやすくなるっていう特性があるわね。そして最後に……少々危険なのだけれど、こういう方法もあるの。とりあえず見せるわね。」


母さんの手の上の炎が激しく揺れる。それは少しすると落ち着いて、小刻みに震える。


「魔力供給を絶って霧散しかけてる魔法に、ギリギリ魔法骨格を保てる位の量を流し続けてあげる。理論上の魔法としては、これが1番魔力効率のいい魔法運用よ。まぁこんな変な事してる人あんまりいないけれど。」


─パッ。と炎が消えた。


「ちなみに骨格が保てなくなってるところに間違って魔力を流すとたいてい爆発して腕が吹っ飛ぶの。気を付けてね。」


回想終わり。


つまりは、だ。

魔法は超常現象であると共に、理論によって構成される電気回路のようなもの、とも言える。


何故濡木を燃やすことが難しいのだろう?

燃焼の仕組みはご存知の通り、可燃物、酸素、熱源の三要素だ。

だが魔法はそれを無視できる。

「魔法を使えば、。」

言い換えればつまり、

「魔力さえ使えば、可燃物も酸素も熱源もなしに燃焼を起こせる。」

ということだ。

なぜ?


仮説を立てよう。

1、実は魔力が瞬間瞬間に可燃物と酸素と熱に置き換わっている。これは母さんが見せてくれた魔法からして、あまり成り立たなさそうだ。

2、実は物理現象の火と魔法の火は全くの別物。

これはかなり有り得そう。

人間の目にはそこに火があるように見えているだけで、実はハリボテのテクスチャに過ぎず、だからこそ性質と見た目が一致しないことがある。


ふむ。仮説を立てたからには検証する必要が有る。


目的:魔法とは何かを検証する。

考察:実は魔法でできたものはテクスチャを貼られた「現象」に過ぎないのではないか。


実験方法……どうしようかな。

如何せん化学畑の人間ではないからなぁ。

とりあえずテクスチャを剥せるかどうかだけやってみるか。


「其は見えざるもの。照らすもの。(フォス)……グゥ!?」


めちゃめちゃに魔力を持っていかれた。普通の(フォス)だけなら昨日試した限りではかなり楽勝だったはずだ。


見えざるもの、照らすもの、のくだりが悪いのか……?しまった、1つづつ追加して対照実験するべきだった


めちゃめちゃに魔力を持っていかれた。普通の(フォス)だけなら昨日試した限りではかなり楽勝だったはずだ。

見えざるもの、照らすもの、のくだりが悪いのか……?しまった、1つづつ追加して対照実験するべきだった。


当たり前だが、呪文の条件を複雑にすればするほど、その処理は複雑化し、リソースが必要になる。

うーん。昔マテリアルとエレメントの関係とか習ったけど覚えてねぇ。

……ああ、なるほど、関数なのか。

初めから(フォス)は、光球を召喚するという関数として定義されていて、それに対して更に、光球のテクスチャを剥がして光源としてだけ運用する呪文だったりを突っ込むと、当たり前だが無駄に処理が必要になる。 迂回処理なのか何なのかは中身を覗かねば分からないが、ひとつわかったことがある。


自分で呪文作れれば最強じゃん。

……つまりそれって無詠唱じゃない?


要件定義からフレームワークなんかを全部自分でこなす。

俺にできるのか?魔力操作に関しては妹より劣ってるんだぞ?

俺が人より優れているものってなんなんだ……?


眼だ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ