03.知覚(前編)
ドラクエやりたいなぁ。
朝が来た。
昨夜は寝付くのに非常に苦心した。
理由はもちろん察しの通り、魔法というものに興奮しすぎたからだ。
今になって見れば分かることだが、この身体の持ち主、ルーカスの記憶にも、母さんが何も無いところから火を起こしたり、父さんが到底人間1人の力では不可能であろう300キロはありそうな丸太を運ぶ姿を知っている。
が、それが魔法の力によるものだ。とはしらなかったらしい。
(そもそも、僕にも魔法が使えるんだろうか?)
僕の目はおそらく特別製だと言うことはさすがに自覚があるが、それ以外の部分。
つまり身体性能は100%ルーカス本人のものだ。
もしルーカス自身が先天的に魔法を使えないのであればあっさり夢は潰えるし、そうでなくとも、もし僕が絶望的に魔法のセンスがないとしたら泣き喚く他ない。
父さんの木刀でも貰って素振りをする道へ走る。
「おはよう母さん、そういえば、昨日父さんが、魔法は母さんの本職だ。って言ってたけど、それどういう意味?」
「そのままよ。昔お母さんとお父さんがパーティーを組んでた時は私が後衛で魔法を張って頑張ってたの。そういえばこの話1回もしてなかったわね。あなたももう5歳になるのね。月日が経つのは早いわ。」
「て事は、他のパーティーメンバーたちと一緒に冒険したりして昔は名を馳せてたってこと?すごいねお母さん!」
「正確に言えば名を馳せてたのはうちのパーティ自体と団長や副団長だけけどね。今もちょこちょこ名前が聞こえるし、今も団長元気にやってるらしいから、興味があるならいつか会いに行ってきなさい。お手紙のひとつくらいは書くわよ。」
「うん!会いに行ってみたい!」
「興味を持つのはいいことよ。お昼ご飯が終わったら、お母さんの部屋においで。魔法もそうだけど、初めのうちは魔術を見せてあげる。」
「やった!ありがと母さん!僕待ちきれないや!」
「興奮しすぎてまた怪我したらお母さん教えてあげないからね。いい子にして待ってなさい。」
「うん!」
我ながら子供の演技が上手なものだなと思う。
もしかして元々の自分の精神年齢が幼かったり?
いや、きっとルーカスに引っ張られているだけだそうに違いない。
「あれ。もう起きたのかルーカス。もしかしてあんまり眠れなかったのか?」
「さすが父さん。当ててくるね。」
「ガキは食って寝るのが仕事だ。それに、いつでも寝れるようにするってのは、実は大変な訓練なんだぜ?」
「それはパーティー組んでた時の教訓?」
「母さんが話したのか?まあいいが、昔うちのパーティーは年一でクソみたいなキャンプがあってな。海のど真ん中で1人につき木の板ひとつで寝たりとか、団長と副団長がドラゴンと戦ってる真下で寝たりとか、紐でつるし上げられて宙に浮いてるなかで無理やり寝ることを強要されたりとか、まあこれが一番寝付けねぇんだわ。」
(ドン引き)
「そんな顔すんな。いまとなっちゃいい思い出さ。そういや、今日は協会のヤツらが子供向けに聖書の朗読会をするとか言ってたな。そろそろ時間だし、1行ってみたらどうだ?父さんは一回行って興味が無くなったけど、とりあえず1回やって見るってのはいい事だぜ?」
「それはそうだね。1回行ってみるよ。」
「昼前には終わるだろうし、迎えに行ってやる。どうせ途中で飽きちまったら寝ればいいんだ。子供だし神様もそんくらい許してくれるさ。」
神様、か。土着信仰やら神道やら仏教やらは昔から趣味で勉強してはいたが、いったいどんな信仰形態なのだろうか。wktk。
その日、僕は教会で絶望することになる。
泣きました。僕は神道徒でブッティストでプロテスタントで空飛ぶスパゲティ・モンスター教徒です。
後、ルーカスは6歳、妹のルミエは5歳です。




