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02.鬼ごっこ

鬼ごっこ最後にやったのいつか覚えてますか?僕は去年友達に追いかけ回されました。

「10秒後に始めるぞ。それまで逃げとけ。」

「あんまり離れても父さんの方が足速いから意味ないよ。ここに立っとく。」

「俺も舐められたもんだな。」


5m。鬼と逃げる側の距離としては、一瞬で詰められる距離だ。だが、今回はこれでいい。


「よーいスタート!」


速い。3秒もせずに、既に僕は親父の腕の射程圏内だ。

だけど僕に見えている。親父が右腕で僕にタッチしようとしているのが。

だから僕は左に1歩()()()()()()

親父はこの5mで加速している。大して僕は急に止まれる速度だ。だから僕はそれを利用する。


「ぶべら!」

「父さん大丈夫!?結構ガッツリコケたけど。」

「気にすんな。ほら逃げないとすぐ追いつくぞ。」


……まてや。今わざとこけなかったか?

手加減してるな?


正直次逃げれる気はしない。特になんの手立ては無い。

だからこそ全力で鬼ごっこを楽しむのだ。

今は左目を使ったから次は右目を使ってみよう。

そう思って僕は。体を親父に向ける。


「おっ?捕まる気になったか?」

「そんなわけ。」


今度も少し距離をとる。親父が加速して、僕をタッチしようとする。

今。

親父の意識の色が変わった瞬間。捕まえたと思った瞬間。

僕は、後ろに1度飛ぶ。


「いいねぇ。だが三度目は通用しないぞ。」


両手を構えて僕の背中に向けて手を伸ばす。

だから僕は、ここで初めて走り出す。


「でゅわ!?」

「ぷぷぷ。父さんまた転けてる。」

「いいぜ。二度と煽れないようにしてやる。」

「父さん大人気なーい。」

「勝てばよかろうなのだァ!」


肌がひりつく。

なんだ、あれ。


「ストレングス」


親父の体に何かが流れた。

それは脚を基準に集まって、燃えた。

来る!

親父の意識の色が変わったその次の瞬きで、僕は横に飛んだことに安堵した。


「……今、どうやって避けた?」

「え?」

「もちろん怪我させないように手加減はした。だが、モーションを見てからじゃ絶対お前の経験じゃ避けれないはずだ。」

「強いて言うなら、殺気?」

「え、まじで?俺今息子に対して鬼ごっこで殺気出てた?待て、死ぬほど恥ずかしい。許してくれ。」

「いやまぁ殺気っていうかほぼ勘っていうか、」

「いや、お前に勘づかれた時点で俺の負けだ。……俺も老いたかな。」

「まだ31でしょ?まだまだこれからじゃん。」

「お前今日優しいな。頭でも打ったか?」

「実は昼間に棒が目に刺さってさ。」

「うーん俺の完敗だ。煮るなり焼くなりお好きにどうぞ。」


なにか今おねだりできることは……あっそうだ。


「さっき親父、突っ込んでくる前なんか呟いたよね。あれなに?」

「お前に魔法を見せたこと無かったっけか?俺がやったのは、簡単な身体強化の魔法だ。まぁ日常生活で小さいうちから見ることはあんまねぇもんな。」

「それ、教えてよ。」

「いいけど、母さんの方が魔法は本職だ。母さんは時間取れないし、俺が教えることになるが、いいか?」

「勿論。楽しみにしてる!」


その後しばらくは2人で鬼ごっこを続けた。


「2人とも~お風呂空いたわよ。ってあなた泥だらけじゃない!ルーよりもあなたの方がはしゃいでるじゃないの!」

「つい、な。洗濯は俺がやるから許してくれ。そうだ。いつか時間が空いたらこいつに魔法を教えてやってくれよ。」

「それはもちろん。ついでにお洗濯も覚えてもらわなきゃ行けなさそうだけどね。」

「良かったなルー、母さんが魔法の上に洗濯まで教えてくれるってよ!ちょうどここに汚れた服があるぞ!」

「それじゃあ一緒にやろうか。親父!僕は隣で魔法を教わるから、その隣でお洗濯のお手本を見せてね。」

「お前見ない間に随分口が達者になったな。」

(……マズった?)

「あなたも昔っから女の子口説くの上手でしたもんね。やっぱり遺伝するのかしら。」

「らしいな。俺みたいにいい嫁さんを貰ってくれれば嬉しいんだがな。」


(……彼女いない歴=年齢としては羨ましい限りだ。)

僕は疲れと眠気を抱きながらそう思った。



「母さん。ルーのことなんだが。」

「……そうねあの子やっぱり、」

「将来有望だとは思わないか!?」

「あの子はいつ私たちを超える気がするわ。」

「いつかこの家を旅立つ時まで、俺たちが見守らなきゃな。」

「ところであの子が二回目をよけたくらいから昔の目をしてたわよ。」

「……老いたな。」


いつかの家庭の一幕

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