間違っていた気持ち
「はぁい、どちらさまでしょうかぁ?」
「あ、オレ、川口春輝。・・・開けてくんねぇか?」
来客は、春輝だった。
いつの間にか、外では雨が降っていたらしく、春輝はびしょぬれだった。
「春輝っ?!どうしたの?雨にぬれちゃって・・・」
「いや・・・りほの家に向かってる最中に、降り出してしまっちゃって・・・でも、濡れちゃった人が入ったら迷惑だよな、せっかく来たけど、もう帰るわ。じゃあなっ」
「まって!大丈夫!上がってってよっ?」
今は、誰とも話したくなかったのに、春輝となら話したかった。
春輝と一緒にいたら、安心した。
「マジで?いいのかよ?・・・なら、遠慮なく・・・おじゃましまーす」
「どうぞ、どうぞ。あ、とりあえず、タオル・・・とってくるから、ストーブにでも当たってて?」
「おっ、気が利くなぁ。・・・嘘だよ。ありがと」
りほは、なぜかどきっとした。
春輝の笑顔が、眩しかった。太陽みたいだった。
春の太陽のように、優しく輝いていた。
濡れた体を拭いた春輝は、りほの部屋に入った。
その後、りほの入れたココアを1杯飲んだ。
「このココア・・・チョイ苦くって・・・でも、オレ好み」
「えへへ。よかったっ。嬉しいよ」
悠斗は、苦手だったこのココア・・・春輝は、「おいしい」と言ってくれた・・・
悠斗がおいしいと言ってくれたのは、いつもお母さんと協力して作ったものばかりだった。
春輝は、私の作ったココアをおいしいと言ってくれた・・・
りほは、このとき初めて気づいた。
自分は、昔好きだった悠斗が今でも好きだと勘違いしていた。
でも、本当は違う・・・
本当に好きなのは、目の前にいる春輝なんだ・・・と。




