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3/15

第三話 白銀の剣姫

今回めちゃくちゃ長いです!

頑張って読んでください!

翌日、冒険者登録を終えた僕を待ち受けていたのはーーーー侮蔑と嘲笑のオンパレードだった。



冒険者A「見ろよアイツ。

遂に”赤い獅子“に見限られたらしいぜ。」




冒険者B「あぁ.......あの赤い獅子の金食い虫って有名な。

いい気味だ。

”赤い獅子“も膿を出せて清々しただろうぜ。」



その言葉に、僕は何も言えなかった。


当然だ。


実際、僕はアルトリウス達よりずっと弱い。


だからこそ、僕はもっと頑張らなきゃいけないんだ。



冒険者A「支援魔術師はソロじゃ戦えないんだろ?

誰か貰ってやれよ。」



冒険者B「ハッ、寝言は寝て言え。」



四方八方から冷たい視線が僕に注がれる。

まるで冒険者ギルドから居場所がなくなったみたいだった。



だが、支援魔術師は基本パーティが無ければ戦えない。

僕はダメ元でそばに居た冒険者に声をかけようとした。

だけどダメだった。

声をかけようとした瞬間逃げられた。

その後も何人かに声をかけた。



エイト「あの......パーティに入れてもらえませんか?」


剣士A「悪いな、支援魔術師を受け入れる余裕はないんだ。

他を当たってくれ。」



エイト「あのーーーーー」



魔術師B「悪いな、人数に空きがないんだ。」



この通り、全て失敗に終わった。

当然だ。

支援魔術師ーーーそれもパーティを追放された冒険者を受け入れてくれる冒険者などいないだろう。

でも、僕に冒険者を諦めることはできなかった。




仕方ない、一人でダンジョンに潜るしかない。



ーーーーそう思った時だった。



???「エイトさん、その.......私と組みませんか?」



誰かに声をかけられた。

振り返ると、そこには女神のように美しい女性が立っていた。

銀色の長いストレートヘアは絹糸のように美しく滑らかで、長いまつ毛で縁取られた金色の瞳はまるで太陽のように眩い光を放っている。

肌は雪のように白くガラスのように透明感があり、彼女の浮世離れした美貌を引き立てている。

触れた瞬間に壊れてしまいそうなほどの儚い美しさとは裏腹に、その瞳は芯が通っていて真っ直ぐだった。

彼女の名はセレスティア。

Aランク冒険者で、有名人だ。

そんな彼女が何故か僕に話しかけてきた。



彼女の登場に周囲の冒険者がざわついた。



冒険者C「おい........“白銀の剣姫”だぞ。」



冒険者D「えっ、あの有名な!?」



冒険者E「冒険者になってから一ヶ月でAランクになったんだろ?

ヤベーよな。」



冒険者D「剣術適正でSS判定を叩き出した王国始まって以来の天才が、支援魔術師なんかに何の用なんだ......?」




やはり、何故僕に話しかけたのか誰もが不思議がってる様子だった。


そんなこと、僕だって知りたい。


そんな思いを押し殺し、僕は恐る恐る聞いた。



エイト「あの、僕に何か用ですか?」



セレスティア「もしよろしければ一緒に組めたらなと思って声をかけたのです。

実は攻略で行き詰まってて人手が欲しいところだったんです。」



彼女の花が咲き誇ったような笑顔を見て一瞬心臓が止まったような錯覚を覚えた。

だけど、僕の仲間だと思われたらセレスティアさんも悪く言われてしまうかもしれない。

彼女が人気の所以は剣の腕だけじゃない。

困ってる人を決して見捨てない高潔な人格も人気の理由の一つである。

きっと誰からもパーティに入れてもらえなかった僕を憐れんで誘ってくれただけだろう。



エイト「そんな.....気を遣わないでください。

僕以外にもいい人はいますよ。」



そう言うとセレスティアさんは慌てたように僕の言葉を訂正した。


セレスティア「ち、違います!

本当に支援魔術師が必要なんです!」



エイト「え?」




彼女の事情を聞くと、要はこういうことだった。

彼女にはどうしても勝ちたい人がいるらしい。

その人は現在Sランク冒険者で、彼に追いつくために彼女もSランクを目指しているもののSランク昇格試験でクリアしなければならない層のボスがどうしても討伐できず、毎回落ちてしまっていたとのこと。

そのボスはあまりにも速すぎて防御も回避も間に合わず、前衛アタッカーと組んでも毎回やられてしまうらしい。

だからと言って僕にどうしろと言うのか......



セレスティア「その......実は以前赤い獅子の戦闘を拝見しました。」



エイト「え?」


僕は驚いた。

まさかセレスティアさんが僕たちの戦闘を見ていたなんて。



セレスティア「その時、皆さんボスの攻撃への対応が不自然なほど素早く、普通の支援魔術では説明できない動きをしていました。

私は最初、皆さんの技量だと思ったのですが、やはりどう見ても支援魔術を発動した直後に動きが変わってるのです。

なのでエイトさんの支援魔術が必要だと思いました。

実は以前からお誘いしたかったのですがもうパーティを組んでいらっしゃったので声をかけづらかったんです。」




エイト「え?僕の支援魔術、普通じゃないんですか?」



驚いてつい聞き返してしまった。

冗談だったら恥ずかしいかも......どうしよう......



セレスティアさんは真顔で言った。



セレスティア「エイトさん......ご自分で気づいていらっしゃらなかったのですか?」



僕は戸惑いながら言った。



エイト「え、だって僕、普通のことしかしてませんよ?」



セレスティアさんは何かを悟ったように目を見開き、そしてため息をついて少し呆れたように言った。



セレスティア「......まぁ、いいでしょう。

とにかくエイトさんの力が必要なのです。

どうか私と組んでもらえませんか?」



僕は迷っていた。

僕なんかがセレスティアさんの役に立てるかどうかなんて分からない。

もしかしたら足を引っ張ってしまうかもしれない。



そう思っていた時だった。

大柄の斧使いが怒った様子でこちらにやって来た。



ダレン「ふざけんじゃねぇ!!

なんでよりにもよって”赤い獅子”の金食い虫如きが”白銀の剣姫”と組むって話になるんだよ!!

おかしいだろ!!」




どうやら僕とセレスティアさんが話しているのが気に食わないらしい。

セレスティアさんは黙っているが彼を静かに睨んでいて、怒っていることはすぐに読み取れた。


セレスティアさんは怒りを堪えながら言った。


セレスティア「......訂正してください。」



だが興奮しすぎて聞こえていないのか、彼はそんなセレスティアさんの様子に構いもせず続けた。





ダレン「こんな奴より俺の方がずっと戦える!!

小僧!!

俺と勝負ーーー」



その刹那。

一筋の白銀色の閃光がダレンの頬の左側を横切った。

僕もダレンさんも何が起こったのか分からなかった。

セレスティアさんが攻撃したのだと、後になってようやく気づいた。

顔をひきつらせたままその場に座り込むダレンさんに、セレスティアさんは低い声で言った。




セレスティア「黙りなさい。

私は今エイトさんに話しかけているのです。

あなたは関係ありません。」




ーーーーすごい、攻撃が全然見えなかった......!

僕はセレスティアさんの攻撃に見惚れていた。

セレスティアさんの攻撃には予備動作がなく、剣を抜いてから攻撃するまでの動作が全く目で追えなかった。

剣を習い始めた僕でも、セレスティアさんが高い実力を持っていることは一目で分かった。



だが、ダレンさんは諦めていなかった。




ダレン「し、しかしセレスティア様!!

そんなゴミと関わってはあなたの評判までーーーー」



セレスティア「黙りなさいと言ったはずです!

私は噂ではなく自分の目で見て判断します!

何も知らないあなたが口を挟むことではありません!!」



セレスティアさんは強い口調でそう言った。

その目には強い意志が宿っており、それ以上何も言えなかったのかダレンさんは渋々僕たちの元を去った。

その毅然とした姿を、僕は思わず”かっこいい”と思ってしまった。



僕の方を振り返ったセレスティアさんは、今まで怒っていたのが嘘のように申し訳なさそうな顔をしていた。

セレスティアさんは僕に謝った。



セレスティア「ごめんなさい、差し出がましいことをしてしまって.....

ああしないと彼は止まらないと判断したのですが....め、迷惑でしたか.....?」



僕は慌てて否定した。



エイト「そ、そんな、セレスティアさんが謝ることはないですよ!」



セレスティアさんは顔を近づけながら言った。



セレスティア「それで......パーティの件、引き受けてくれますか?」



僕の顔を覗き込むセレスティアさんにはもう、先程の凛々しく自信に満ちた彼女の面影は無かった。

僕の手を覆う両手は小刻みに震え、頬には一筋汗が流れ落ちた。

彼女の表情には、不安の色が浮かんでいる。

支援魔術師一人を誘うために緊張している彼女の姿を見た僕は、彼女の申し出を断ることはできなかった。


でも、どうしても赤い獅子での出来事が引っかかった。



エイト「あの......本当にいいんですか?

僕は一度冒険者パーティを追放されています。

一緒にいたらセレスティアさんまで悪く言われるんじゃ.......」



セレスティアさんはズイっと顔を近づけて言った。



セレスティア「そんなの関係ありません!

私はエイトさんだから頼んでいるんです!」



そんな彼女に押し切られる形で僕は思わず頷いてしまい、僕達は、ダンジョン第85層に向かっていた。




ーーーーーー


【世界観解説その1】


(※読み飛ばし可

「ダンジョン攻略と依頼両方出てきてるけど、結局冒険者ってなんなの?」


「そもそもなんなのこの世界?」


そんな方たち向けの設定解説です。

本編だけ読みたい方はそのまま下にスクロールしていただければ続きからお楽しみいただけます。

世界観に興味ある方のみお付き合いいただければ幸いです。)


・冒険者とは?



冒険者の仕事は2つある。

冒険者ギルドの依頼掲示板にある依頼をこなすこと、そしてもうひとつがダンジョン攻略である。

何故二つあるのか、疑問に思った読者も多いだろう。

そこで、冒険者の歴史を説明しようと思う。



今から約200年ほど前、プエルグラトゥス王国が建国された直後のことである。

プエルグラトゥス王国の王都の外れにある村が魔物に襲われた。

当時は建国直後、しかも初代国王が元平民であることから私兵などのいなかったこともあり騎士団や軍隊などは出来上がっていなかった。

そのため動ける人間は初代国王を慕ってついてきた同業者ーーー冒険者のみであった。

それがプエルグラトゥス王国の冒険者文化の始まりである。

冒険者の仕事は当時は薬草採取や魔物討伐、護衛など、冒険者ギルドに入ってくる数多の依頼をこなすことが中心だった。



だが今から約60年前、今のプエルグラトゥス王国の王都から数百メートルほど先にあるロッシェ山脈の一部が突如崩落した。

冒険者達が調査したところ、崩れようがないほど頑丈で安定した岩盤に2〜3人の人間が難なく入れるほどの巨大な洞穴ができていたと言う。

それこそ世界唯一のダンジョンーーーーー通称“世界迷宮”である。

モンスターが倒されないまま放置すると、空気中の魔素濃度が高くなって周囲の魔物を活発化させてしまうため、ダンジョンの攻略も冒険者の仕事の一つになった。





・魔素について


魔素とは空気中に浮遊する魔力の素である。

種族上は人間に分類されるある特定の戦闘民族と魔族、そして魔族から生まれる魔物はこの魔素を魔力に変換できる体質を持っているが、通常人間や他の種族にはできない。

魔族以外の種族が持つ魔力は基本的に遺伝的要因が大きく、魔素から生まれる魔力とは全くの別物である。

人間以外の種族の話は基本的に本編にて説明がされることになる。




ーーーーーーーー



迷宮の入り口付近にいる案内人に冒険者カードを提示した後、転移スポットから第85層に移動した。

第85層に移動した瞬間、僕はセレスティアさんに支援魔術をかけた。

無属性魔術《全域索敵(エリア・サーチ)》をかけて常に魔物の探知をしながら進む。


そんなことをしていると、広間であると思われる半径30メートル程の広いエリアに出た時、魔物が《全域索敵》に引っかかった。



エイト「セレスティアさん!

45°左斜め前と30°右斜め後ろから2匹ずつ、コボルトが3秒後に来ます!」



そう言って僕は戦闘の邪魔にならないよう後退した。



セレスティアさんは一瞬驚きつつも、すぐに返事をした。



セレスティア「了解!」



そう言うとセレスティアさんは一瞬で5メートルほど上空に飛んだ。



いきなりセレスティアさんが目の前から消えたからか、コボルト達は立ち止まれず衝突した。



上空に飛んだセレスティアさんはそのまま宙返りして方向転換し、体を捻りながら壁を強く蹴る。



その瞬間、セレスティアさんは隕石のように速く、そして鋭く突進し、その衝撃破によって生じた突風で僕は思わず目を瞑った。



視界が完全に黒く直前、コボルト達から十数メートルほど離れた場所にいたはずのセレスティアさんの剣が前後にいた2匹のコボルトの喉を穿つ様が一瞬だけ見えた。



他3匹のコボルトは吹き飛ばされて壁に激突。



すぐに立ち上がって3匹同時にセレスティアさんの後方から襲いかかった。



だが彼女はすぐに振り返った。



振り返った直後、僕の目には一瞬セレスティアさんの右腕が消えた様に見えた。



そして無数の銀閃がコボルト達を襲ったのだ。



一本の剣を使っているのにも関わらず、まるで数十本の剣を同時に扱っているようだった。



それがたった一本による連撃だと理解できたのは、全てが終わった後だった。



僕は息を呑んだ。



普通はあれだけ高く飛べば着地の瞬間隙ができるし、空中で方向転換はできない。


セレスティアさんはそれを当然のようにやっている。



彼女の動きはまるで重力に逆らっているように見えた。



僕は彼女に駆け寄って声をかけた。



エイト「お、お疲れ様です、セレスティアさん!

戦うところを見るのは初めてでしたがやっぱり強いんですね、セレスティアさんって!

すみません、任せちゃって。

結局僕、何も出来ませんでしたね......」



だが、彼女の返事は無かった。

不意に違和感を感じた彼女を見ると、セレスティアさんは僕の方を振り向くこともなくわなわなと肩を震わせていた。



やっぱり僕があまりにも働かなすぎて怒らせてしまったのか、そう思った。



彼女が僕を振り返る。



やっぱり怒らせてしまった



僕は覚悟を決めて目を瞑った。



しかし、彼女の言葉は僕の想像とは違うものだった。



セレスティア「え、エイトさん.....なんであの時コボルトが来るってわかったんですか?

それに数と来る方向まで..........」




エイト「.......え?」



彼女の質問が意外すぎて、僕は答えに迷った。


数秒悩んだ後、僕は彼女の質問に質問で返してしまった。



エイト「ふ、普通わからないんですか?」


セレスティア「分かりませんよ!?」



セレスティアさんは食い気味に否定した。



エイト「実戦ではほとんど使い物にならないんですけどね。

“赤い獅子”でもよく“索敵魔術使ってる意味あるのか?”って言われる始末で......」



そう、“赤い獅子”で僕の索敵魔術が役に立つ場面はほとんど無かったのだ。



セレスティア「そんなわけないじゃないですか!!

そこまで精度が高い索敵魔術なんて聞いたことがありません!」



そんなことを言われたのは初めてだった。



僕は照れながら言った。



エイト「あ、ありがとうございます。

そんなこと言われたの初めてです。」



そんな僕をよそにセレスティアさんは続けた。



セレスティア「あと、戦闘中もすごく体が軽い上にモンスターの動きが手に取るようにわかったんですけど.......エイトさん。」




エイト「はい?」



セレスティア「あなた.......私に何をしたのですか?」



僕は正直に答えた。




エイト「えっと、支援魔術かけただけですよ。

未来視補助(プレディクション)》、《疾風加速(アクセル・ウィンド)》、《身体強化(フィジカル・ブースト)》、《不破の守護(インビジブル・ガード)》、《剣聖補助(ソード・マスター)》、《破軍加護》、あとそれから.........」




かけた支援魔術の名前を全て言い終わる前にセレスティアさんは僕の言葉を遮った。




セレスティア「ままま待ってください!

一体いくつかけたんですか!?」




セレスティアさんの言葉の真意がわからなかった僕は首を傾げながら言った。




エイト「20ほどですかね......それがどうかしたんですか?」




セレスティア「.........20、ですか?」




セレスティアさんは目を見開き、一瞬沈黙した。


セレスティアさんは自分を落ち着かせるように大きくため息をつくと、諭すように僕に言った。




セレスティア「エイトさん、いいですか?

普通の支援魔術師は上級魔術をそんないくつもかけられないんです!

魔力の消費が大きいから普通は二つか三つが限度!

それ以外は中級か下級の支援魔術でカバーするのが常識なんです!」




エイト「えぇ!?そうなんですか!?」



僕は驚いた。



じゃあ僕はずっと無駄な魔力を使っていたのか........



そう言えば“赤い獅子”にいた頃も、ダンジョン攻略が終わる頃には魔力も体力も限界だった気がする......



僕はセレスティアさんに謝った。



エイト「す、すみません!

今すぐ解除します!」


セレスティアさんは慌てながら言った。


セレスティア「待ってください!悪い意味じゃありません!

このままで大丈夫です、先に進みましょう!」




その後の攻略も順調だった。



セレスティアさんはやはり“白銀の剣姫”と呼ばれるのも納得の強さで、エリア内のモンスターを次々と倒していった。



そしてついに僕たちは85層のモボスモンスターーーー断罪騎士エクリプスの元に辿り着いた。


やっとヒロイン登場です!

こんなタイトルもコロコロ変えるようなグダグダな物語を読んでくださる優しい皆様、ここまでお付き合いくださりありがとうございます!!

第三話以降にならないと最初のヒロインが登場しないこの作品を読んでくださるあなたたちはまさに私にとっては救世主です!

これからもど素人な私の作品を温かい目で見守ってください!!

あと感想あればコメントもご自由にお書きください!



なお次回はいよいよボス戦です!!



ボスのあまりの強さにセレスティアがピンチ!?



というわけで次回もよろしくお願いします!

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