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第十五話 赤い獅子の真実

注)ご存知かもしれませんが一応。

アーサーとアルトリウスは同一人物です。

ーーーーー時は遡り、エイトとセレスティアがダンジョン85層に潜った直後のこと。


冒険者パーティ“赤い獅子”はダンジョン第210層に来ていた。




リリィ「ふふん、やっとあの足手纏いがいなくなってくれて清々するわ!!」


ケイン「あぁ!!そうだな!」


エリス「やっと本領発揮と言ったところですね。」



エイトがいなくなったことで、“赤い獅子”は活気付いていた。

世間の支援魔術師への風当たりは強い。

何故なら功績が目立たないからだ。

特に新人時代から支援魔術師とパーティを組んでいた冒険者にありがちなのが、戦闘時は常に支援魔術がかけられてるせいで支援魔術なしでの自分の実力がわからず、結果支援魔術なしでも自分は強いと思い込んでしまうのだ。

そう、まさに今の“赤い獅子”のように。

それ故に支援魔術師の功績はメンバーに認められず、支援魔術師がパーティを追われることは実に多い。

故に、“赤い獅子”のメンバーは皆、これからの自分たちの凱旋を信じて疑わなかった。




ーーーーーだが、ただ一人だけ全く別のことを考えてる者がいた。



アルトリウス「ーーーーーお前ら。」



その呼び声で3人は振り返る。


アルトリウスはまっすぐ3人の顔を見据えた。


黒く長いまつ毛の間から覗く深緋色の双眸は、情熱を思わせる赤でありながら、瞳孔の藍色は氷のような冷たさを感じさせる。

肌は雪のように白く、奈落の深淵の如く暗い漆黒の髪との対比が彼の神秘的な美貌を更に引き立てる。

人間離れした彼の美貌は、儚く、繊細で、神秘を感じさせるものでありながらーーーーーー時には魔王の如き恐ろしさすらも感じる。

その冷ややかな目つきに、ケインは気圧されて後退りした。




ケイン「な、なんだよ........なんか言えよ.........」


アルトリウス「今回のダンジョン攻略、俺は最初は手を出さない。

お前らだけで戦ってみろ。」


アルトリウスは低い声でそう言い放つ。

刹那、ケイン達の間には沈黙が走る

だがーーーーーー



ケイン「なんだそんなことかよ!!任しとけって!!」


リリィ「ヒーローは遅れてやってくるって言うもんね!

私達だって強いんだってとこ、見せてあげる!!」


エリス「昨日(さくじつ)のことを心配しているのであれば心配はご無用です。

少々調子が悪かっただけなので。」




アルトリウスは静かに瞳を閉じる。

そして静かに言った。



アルトリウス「ーーーーーそうか。それならいいんだがな。」




コ、コイツ.......テンションが下がった瞬間爆発的にカッコいい........


ずっとこうならいいのに........




そんなこんなで戦闘が始まった。




ケイン「オラァァァァァァァァ!!!」


ケインが地面を蹴った。


高く跳躍し、剣を振り下ろす。


いつもならこれでダメージが入っていた。


だがーーーー





ーーーーガキィンッ!!


ケイン「なっ........!!」


剣が弾かれた。


ゴーレムの瞳がギラッと光る。



刹那ーーーーケインの体が吹っ飛んだ。



突風を起こしながら壁に激突し、ケインは喉の奥から何かが飛び出る感覚を覚えた。



ケイン「な、なんだ.......何が起こった.........!」



簡単な話である。

剣が弾かれた瞬間、ゴーレムは左拳でケインの体を吹っ飛ばした。

それだけの話である。

だがしかし、ケインにはゴーレムの動きが全く見えていなかった。



その後も苦戦し続ける3人の様子を、アルトリウスは眉ひとつ動かさず静かに見据えていた。


【アーサー(アルトリウス)視点】



................やっぱりな。


コイツら、今までエイトの支援魔術に頼ってただけだ。





ーーーー昨日だってそうだった。


ワイバーンを倒した時のことだ。


俺はいつも通り連携してワイバーンを倒そうとした。


ケインが攻撃を引き付け、リリィが削り、エリスが回復し、俺が止めを刺す。


今まではそれで回っていた。





だがーーーケインが前に出た瞬間、ケインはワイバーンが翼を動かした時の風圧だけで吹っ飛んだ。


攻撃じゃない。


“風圧”で、だ。(※普通の人はそれで吹っ飛ぶんですけどね)



リリィの攻撃魔術も明らかに攻撃力が下がっていた。



そう........コイツらは支援魔術がないとまともに戦えんのだ。





全く.........筋肉が足りん。(※やっぱりそこに行き着くんですね......)


今回で確信した。


コイツらは一度祖国に連れ帰り一から鍛え直してもらうべきだ。(※ヤメロ)



ーーーーーーー


【第三者視点】


リリィ「ーーーーー《フレイム・ランス》!!」



直後、炎が一直線に細く長く収束する。

圧縮された炎の塊が、稲妻の如き速さで解き放たれる。

炎は一直線に突き進みーーーー儚く消えた。



リリィ「な、なんで.......?全然威力が出ない........!!」



ケイン「クソッ.......体が重い........!!」



エリス「私も.........もう魔力が...........」



エリスがへたれ込む。



だが次の瞬間ーーーー地面が激しく揺れた。

上からパラパラと小石が降ってきた。


ズズズ........と何かを引き摺る音がする。




しばらくすると、奥から無数のゴーレムが姿を現した。




ケイン「嘘........だろ..........?」



喉から無理矢理出したような声が、ケインの口から出る。

顔は青ざめており、額には冷や汗が浮かんでいた。



リリィ「ちょっと......こんなに出るなんて聞いてないわよ..........?」



三人の間には静寂が訪れた。


こめかみには汗が滲み、見開いている瞳には涙が滲んでいる。


心臓が早鐘を打つ。


手足が小刻みに震え出す。


昨日までなんてことない敵だったのにーーーーーー恐怖で足が動かない。



全員が死を覚悟した。


アルトリウスは静かに目を閉じ、ため息を吐いた。



アルトリウス「..........はぁ.......仕方ないか........」




アルトリウスが消える。






ーーーーーードガァァァァァァァン!!!


直後、凄まじい轟音と共にゴーレムは崩れ去った。




アルトリウス「ーーーーー行くぞ。」



そう言ってアルトリウスは歩き出す。




その後、“赤い獅子”は第210層をクリアした。







冒険者ギルドにて






アーサー「ーーー210層のボス、“深淵魔王ヴァルディオス”の首だ。」



そう言い、アーサーはたった一つの生首を置いた。

それは、禍々しい瘴気を放っていた。

兜の奥から、真紅の双眸が見える。

兜の上から2本の角が天井に向かって湾曲して伸びている。



受付嬢A「........................はい?」



アーサーは呆れるようにため息を吐いた。



アーサー「だから、ボスの首を鑑定してくれってことだよ。」



受付嬢A「えっ........は、はい.........!!」



受付嬢はしばらくボスの首をまじまじと見ていた。

両者の間に沈黙が流れる。

アルトリウスは全く緊張する素振りを見せず、堂々とした佇まいで受付嬢を見下ろしていた。

緊張からか、受付嬢の手が小さく震える。


しばらくして、受付嬢は生首から手を離し、自分を落ち着かせるように大きく深呼吸をした。




受付嬢A「ーーーーーお、おめでとうございます........。

SSランク昇格です.......!」



突如、冒険者ギルド全体がざわついた。



冒険者A「嘘だろ.......SSランク.........?」



冒険者B「建国以来一度も現れなかったのに.....またSSランク........!?」



冒険者A「オイオイ......今世代の冒険者は一体どうなってるんだ........?」



すると、遠くの方からズカズカと大男3人がやって来た。



ガウェイン「よくやったぞ!!!アーサァァァァァァァァ!!!」



声デカいな、相変わらず。


そんなデカい声を聞いた瞬間、アーサーが振り向く。


その顔はーーーーー子供のような明るい笑顔だった。




アーサー「兄者ーーーーーーーーーー!!!」




そう言ってアーサーはガウェインに駆け寄った。

先程までのクールっぷりはなんだったのか。

ガウェインの姿を見た瞬間、まるで親を見つけた幼児のように駆けていく。




アーサー「兄者兄者!!俺SSランクになったぞ!!」



カストル「やったじゃないかアーサー!!これで俺たち四人仲良くSSランクだな!!」



カストルがアーサーの頭をガシガシ撫でる。



マルクス「あとはルシウスさえSSランクになれば親子二代で全員SSランクだな!!」



ルシウス「無茶を言わないでください!!」







ーーーーーーーそう、これが史上5人目のSSランク冒険者誕生の瞬間だった。


ーーーーーーーーーーーーー


これは、後に英雄となる剣士のための物語。


類い稀なる才を持ち、


如何なるフラグも物理で破壊し、


有り余る能力で無自覚に無双する物語。





この物語の真の主人公の名は







ーーーーーーーアーサー・フォルティトゥード・ユースティティア。


“神々の愛子”であり、ありとあらゆる才に恵まれたチート主人公である。




彼が巻き起こす旋風はまだまだ終わることを知らない!!

作者です!


真主人公が判明したところで次話はいよいよ舞踏会編に突入!!


果たして平穏に終わるのか........?



次話「第十六話 舞踏会編1」よろしくお願いします!!

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