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わがままな朝の会話

「アンタ、耳が不自由なの?」

バカにしたような嘲り。

「い・や・だ、ってんのよ」


「…な、なんだ、それは?!」

訳が分からず聞き返す『dennデン』。


「頭まで不自由なのぉ?」

バカにし切ったような嘲り。

「ならぁ、分かりやすーく言ったげる」

「『おととい来やがれ』『くたばれ』『ケツくらえ』ってコト!」

吐き捨てるママ、しかし、ふ、と首を傾げる。


「ん、待てよ、『ケツくらえ』、って考えたらさあー!」

「すっごいご褒美じゃん、きゃはっ」

「それってぇー、アタシがアンタにお尻付き出すってコトぉー?!」

「ヤダー、このド助平スケベ、アタシのお尻、どうするつもりぃっ―?!」

爆笑のママ。


―に、浴びせる叫び!

「そんな事を言ってるんじゃない!」肩で息をする姿。


「あらお尻はいや?、ひょっとしてアナタ、おっぱい派なの??」

ママは両手を頭上で組み、胸を突き出してみせる。

「『乳くらえっ』って?、ふふっ…」


しかしすぐに暗転する表情。

「やんねえよ!」

冷たく言い放つママ。


「だから!、何を下らんことをグダグダと!」

怒鳴りつけるが、プイ、と横を向いたままのママ。…冷たい沈黙が流れる。


…しかし、はっと何かに気づいたように、額に手を置き、首を振る、

そしてゆっくりと言う『dennデン』。

「これは失礼した、ふ。考えれば当然の話だ。こんな基本的な事を忘れていたとは」

「そうだ、そうだよな、貴女が怒るのももっともだ、これは私の落ち度だ」

微笑みさえ浮かべて言う。


指を一本立てる。

「わかった、特別ボーナスとして一億、出そう」

「それでどうだ?!」


「足りないわね」そっぽを向いたままのママ。


(くっ、コイツ!)

「分かった、二億、いや三億出そう!」


「…分かったわ」


「おお、では戦ってくれる…」


「なーに言ってんの、分かったのは、アンタがサイテーってコト!」

「ノリもツッコミも悪いし、ジョーダンも分かんないし、相方としてはサイテーねっ!」

「…んで」

「アタシに『金』とかいうセンス、海より深く反省しな!!」


ぽかんとする顔、そして…

―俺は漫才師じゃ、ねえっ!、という心の叫びが聞こえそうだ。

「おいっ、今回は戦うと言う契約だろう!、お前もそう言ったよな?」


「あーなんかー、『ふりーら…』、何とかっつたっけ?」

目の前でひらひらと手を振るママ。

「ゴメン、それ無しで」


絶句する『dennデン』。

…でもやっと絞り出す言葉。

「―う、裏切るのかよ?!」


「逆に聞きたいんだケドー」

首を傾げるママ。

「アンタ、アタシに前の『男』を裏切らせたよね?」

「でー、今度はアタシがアンタを裏切る…、それで何で、怒るのぉ?」


「そんな、そんな事、許されるかああっ!!」


絶叫にさらに、首を傾げるママ。

「当然、許されるよ?」

…にゅ、とママの頭に現れる狐耳。声質が変わる。

「…この偉大なる九尾が許すのじゃ、当然であろう?」


わなわなと震える肩、『dennデン』の頭上に「ブチン」という音がはっきり見えるようだ。

ーと、バッ、と背中の腰の辺りに手をまわす。

手慣れたその動きの果て、その手に大ぶりの拳銃が姿を現す。


「御託は聞き飽きた」

「このマグナム44を食らうか、今すぐ戦うか選べ!!」


ママはその両手を前に差し出す。

「ま、待て、いきなりそれは無いじゃろう、分かった、わらわが悪かった!」

しかし…

ふ、とその手が下がる。つ、とママの顔が前に出て―

右手指で下まぶたを引き下げ、思いっ切り舌を出し見せつける。

「…とでも言うと思ったかぁ?!」

絵に描いたような見事な「アッカンベー」!


ドゴォオンッー!

dennデン』の怒りの銃撃!!





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