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早朝の明るい会話

ギャギャ、ガガッー!

前に出たダンプカーが何を思ったのかいきなり左に急ハンドルを切った。

ガァン、と当たる車体、

不意を突かれたように、左のダンプは押し出されそのまま下に落ちていく!

続くように崖下に落ちる右のダンプ!!

カメラのファインダーに映る嘲笑が凍り付く。


その時、ひょいっと右のダンプのドライバー席から人影が飛び出す。


「―!」

dennデン』の驚愕、まさか―


無事に道の端に降り立った人影は、その左膝あたりをぱしぱしと払う余裕を見せながら、ゆっくりと坂を下って去って行く。


転落音が収まった崖下では、空しく空回りするダンプカーのタイヤ、そしてこだまするうめき声。


まさか、まさかアイツの、工作―?!

ばかな、あの施設の連中には、そんなヒマも余裕もないはず、何で、何でー!


その時『dennデン』は自分の叫びを聞いていた。

「―ったく、使えねェ連中だな、たまにすらなれねえのかッ!」

「あんなのが潜り込んでも分からない?、頭に豆腐でも詰まってんのか、コラァッ!!」

後は罵詈雑言のオンパレード、「ウマとかシカ」とか「カラスが鳴く」とか―

早回しのラジオ体操みたいに腕をぶん回してうるさくわめくばかり。


「うるさいわねえ、目が覚めちゃったじゃないの!」

あくびしながら横に出てくるママ。

そして、悠然と下を見下ろす。

「あらぁー、何かヒドイ事になってなーい?」


「う…、くっ!」

拳を握るも、言葉も出せない。


「んー、それにあれは?」

はっと顔を上げるその先に見えるのは、

施設の数人の職員がずるずると引きずってくる、目出し帽に迷彩服の二人の姿。

「なっ、ああ?!」


そのまま、ゴミクズのように下に放り投げられる二人。

ゴロゴロと転がっていく二人のバックパックから飛び散る小さな白い袋と、拳銃らしきモノ…


「きゃっはは、アンタの悪だくみぃ、みーんなポシャっちゃったようねえ、お気の毒様ー」

まったく気の毒そうに聞こえない。


「んで、コレを動画で世界に拡散するのーぉ?」

「バズるんじゃない?『お笑い、悪の組織』なんてタイトルつけてさ」

わざとのように顔を覗き込む。


「確かにアンタの言った通り、『…終わりだよ、お前らは!!』だねっ」

「でーも、自分が言われてやがんの!、きゃはははっ!!」

手をバシバシと叩き、仰け反って笑うママ。


ぎりぎりと歯を食い縛る『dennデン』。

だが急上昇する血圧に抗うように、ぶるぶると首を振って言う。

「…まだだ、まだ終わってない!」

ばっと、ママの方に向き直る。

しかしそこには、「笑いすぎちゃった」とばかりに、コンパクトを取り出しのんびりと化粧直しをしているママの姿。やっぱり急上昇する血圧。


「なあ、『アタシが〆る場面、作ってくれ』と言ってたよな」

息せき切って言う。


「うん、そうね」

口紅を塗りなおしているママ。


「じゃあ頼む」

下の施設を見て、びしりと指さす。

「奴らをブチのめせ!」


「やだ」


「そうか、なら行け―、」

…四秒ほどの沈黙の後、のろのろと振り向く『dennデン』。

「い、いま、なんて言った?!」


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