二人組との会話 「地上帰還編」
ここは大陸中央部の砂漠地帯、一匹のトカゲがふと見上げると二つのパラシュートがゆっくりと降りてくる。それは、一部が焼け焦げたような、くすんだ銀色の人の影。
不思議そうに眺めるうちに、静かに着地。
しかし動きはない。
用心しながら近づくトカゲ。
…そして倒れ伏す二つの人型の、丸い頭部をペタ、と触ってみる。ぴく、と動きその頭部が上がり、あわてて逃げ出す。
「あ、兄貴いぃ…、生きてるかぁ?」
「…な、なんとか」
「も、もう、火にあぶられる、焼き鳥や焼き魚は、食う気に、ならないなあ…」
起き上がって腰を下ろし、しばらくは荒い息が続く二人組。
しかし、はっとしたように互いを見つめ合う。
「い、いかんっ、このスーツを脱いで早く逃げるんだ!」
「あ、ああ!、…で、でも兄貴、ここは一体どこ―?!」
「とにかく逃げるんだあっ!」
「えーと、確かこのカバーを外して着脱ボタンを…、う、うおおっ!」
その瞬間、またもや二人の身体が勝手に動き出す。
『大気圏突入バッチコーイッ!』
Y!、で筋肉質が両手を斜め上に伸ばし、O! 両足ガニ股
『大事な命を!!』
A!、で角刈りが両手を上に伸ばし指先を合わす、O! 両足ガニ股
『まもっちゃうんジャー!!!』×2
腕を伸ばし重なる姿、決めるポーズ!
『世界にとどろく!』「それこそ『YOAO』っ!!」
…ここまで来て、コレかよー!!
しかし、そう!
それだけでは終わらないのが人生!
ビーッ、ビーッ、ビーッー!
「なんだこのアラート音は?!」
「あ、兄貴っ、身体が動かないっ!」
いきなり響くサポートAIの声。
『今の行動で、バッテリー残量が無くなりました。もうスーツを動かす事はできません』
「そ、そんなこと、事前に警告しろ!」
「えー、ちょっと忘れててえー、ペロッ」
ホントに最新鋭過ぎるっつーか、オマエ単なる使えねー事務員だろ!
一致して響く二人の心の声、え、だが、しかし―
「ええ、そんならこの恥ずかしいポーズのまま? どうなるんだよっ」
『ご心配なく今連絡がはいりました、救助スタッフがこちらに向かっています』
救助の言葉に二人に灯る希望の光!
「おおっ、やったっ!」
『ちなみに到着は36時間後です』
「ええっ?!」、一日半後? それって遅すぎね??
待てえっ、こんな恥ずかしい格好で、一日半?!
『さらにちなみに、やってくるのはこのスーツを押し売ったあの男です』
「なああっ!」
「あの男」の言葉が、見事な程に二人の希望の光を暗転させる!
『安心して待っててね、じゃバッハハーイッ!』―プツン
「お前は昭和何年のAIだあっ!!」
そして『YOAO』ポーズのまま、36時間後―
にやけた顔のあの「男」登場。
「ほう、この砂漠の猛暑と夜間の極寒に耐えられたとは、タフですねえ。しかもこんな恥ずかしいポーズのままで…」
「ぅ…」、しかし、かすかなうめき声しか聞こえない二人。
「ふむ、ツッコミも出来ない、まあ流石にアブナイ状態ですか、仕方ありませんね」
男は持っていた箱のコードを二人のプロテクトスーツに接続する。
―シュウウーッ、柔らかな霧のような物がスーツに充満し二人に元気が戻る。
「はあ、はあっ、た、助かった!」




