二人組の会話 「解説編」
…一方、
いつの間にかプロテクトスーツに身を包んでいた男は、部屋の隅にあった円筒形の装置、その取っ手をサッと掴むと、外に身を躍らせる。
くるくると回りながらゆっくり落ちていく二人。それを尻目に、ベルトのボタンを押す。
と男のスーツのバックパックが火を噴く。
やがて見えてくるシャトルらしきもの。そこから伸びたロボットアームに、男は身を任す。
「ふう…」
エアロックを出てスーツを脱ぎため息をつく男。
ひげ面のパイロットが、船内で迎える。がっちりと交わす握手。
「ハイ、ミスター、仕事はうまく行ったようだネ」
怪しげな言葉の彼(?)に、男は微笑みで返す。
「ああ、予定通りです」
「しかしビックリしたヨー、あの試作スーツを使う人間がいるなんテー」
「見つけるのに苦労したんですよ?」
「誰一人モニタリングに応じてくれず、コマッテタンデスヨー」
「…まあ、そうでしょうね」
「大気圏突入の生データが取れるなんて夢みたいデスヨー、ホント感謝ネ!」
「では、このシャトルの費用はサービスという事でお願いします」
「Ouch!」
言われて思わずひげ面は立てた右の親指を眉間に当ててしまう。
「…オット失礼」
しかしニヤリと笑ってみせる。
「アナタに隙を見せるなんて、私もまだまだデスネー」
「シカシ、あの二人、逃げちゃいマセンカネー」
「あのスーツを着ている限り、逃げられませんよ、それに、ふふ…」
「あの二人がなんであの『廃屋』に逃げ込めたのか?」
「そしてなんで、大気圏上層で呼吸も苦にならずに普通に居られたのか…?」
「ま、一生気づくこと無いでしょう、あの二人は行動分析され、計算づくであの『廃屋』に誘い込まれたってね…」
「アア、アナタが借りていった、アノ最新の『行動分析予測AI』デスカ?」
ひげ面のパイロットの言葉にうなずく男。
「アナタがお金をハラッテ、モノを借りていくナンテー、真夏に雪が降るとオモイマシタヨー」
「ふふ、『子供の経験値狩り』と今の二人組の行動で、十分回収出来てますから、ご心配なく」
差し出される紙コップのコーヒーをゆっくりすする。
「そしてあの廃屋の室内は、新開発の補強ポリマーでコーティング済み」
男は先ほど廃屋の片隅から回収してきた装置を見やる。
「これはあの『室内』の環境立体分析センサーです」
「大気圏内の高度や温度差、気圧差にコーティングがどう反応するか?、これもモニタリングの一つです」
「もし仮に『地球周回衛星軌道に投入』されてもそこそこは持ったでしょうね、はは」
「コワイネー、どこまでもヌケメないネー」
「アナタの人脈繋ぎ、そして取り入っての小金稼ぎ、ソシテ…」
「『モルモット』探し、ホント感服スルネー」
感心したように笑うひげ面。
「アノ二人の、今後が気の毒ネー」
「いえいえ大事にしますよ、愛すべき、『K・M・O』ですからね」
「K…、ナンデスカ?」首をひねるパイロット。
「これからせいぜい私のために働いてもらいますよ」
「オー、余計怖いデスネー」 肩を竦めるひげ面のパイロット。




