「男」の昔語り?の会話
…
ふう―、ママの唇から吐き出される煙。
「で、なに、アンタもさっき言った『異能』の一人ってこと?」
「はい、説明しましょう」
「…はいはい」
「―まじめに聞いてくださいよ。実は私の『ベース』は…、一人のホームレスだったのです」
「ふうん、そんな風には見えないけど」
「ホームレス、といっても色々でしてね」
「もともと天涯孤独、さらに仕事も人付き合いもうまく行かず、わたしは世を捨てる決心をしました」
「でも、何故か趣味は、好奇心は捨てられなくて、ね」
「いわゆる『オタク』だったのか、マンガ喫茶、いやインターネットカフェ…、そんなところを渡り歩きました」
「へえ」
「マンガ、アニメ、フィギュアなどーに詳しかったおかげで、その関連商品やグッズを、数は少なかったですがゴミ箱から集められ、転売できました。ふふ、普通のホームレスの空き缶拾いよりはずっと稼げたと思います」
「そんな時に一人の男と知り合いました」
「一目で、その男は自分と全くの同類だと、分かりました」
「その男の過去、いや名前すら知りません、でも彼と私の心は通じ合っていたのです!」
「キモ…」
「一般的な感想、ありがとうございます」
「彼は重い病気を患っていました、でも、決して医療の世話にはならない、そう言ったのです」
「自分は世捨て人、そんな恵みを受ける立場にないと―!、おお、何と言う尊い決意!!」
「だから、それ、キモいっ、ってんだよ」
…
―再び、ママは煙草に火をつける。
…は、はあっ、そ、それで、どうしたって?
乱れた髪を掻き揚げるママ。
「そう、あれは小雨の降る夜明け前の公園でした、その彼がいよいよ最後と言う時に…」
「私の手を取り、言ったのです、『最後に看取ってくれて、ありがとう…』、と―!」
「ふう、野郎同士が手を取り合って?、はは、これほど美しく清らか、―でない話は、ないねえ」
「冷酷な感想、いただきました」
「しかしその時、彼の背後に見えたのですよ、そう、彼も十年ほど前に、同じように『同類』を。看取っていたのを、その者の思いを背負っていた事を、ね!」
…
…ふ、ふう、ふううっ、、あ、ああ、はああっ。
大きく深呼吸をして、よろよろと手を伸ばし、やっと煙草を探り当て…
三度、煙草に火をつけるママ。
「その時からですよ、彼とその背後の者の思いが融合し、今の『私』が産まれたのは!」
「その時から、私は『異能』に目覚めたのです!!」
「―うん、アンタの言いたいことはわかった、けど―」
ママは肩で大きく息をして、言う。
「はい、何か、いけなかったでしょうか?」
「アンタの『提案』に賛同して、何かアンタの昔語りを聞き始めたのは、いいけどさあ…」
「…なんで、いつの間にか、アンタと『気持ち良いコト』を三回も、やっちってるんだ?」
「せ、説明、しろぉ…」




