獣王襲来 【亜人種強制収容所編】 その16
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他人と、色んなケーブルやチューブで接続されて、血液やら体液やらが交じり合うくらいに融合していた……………
そんな、おぞましい皮膚感覚と共に我に帰った。
「ええい…………!気色の悪い……………」
思わず身震いして、気持ち悪い感覚を拭い去ろうと頭をブルブル振った。
「なんとかならんのかよ?この大魔王の【精神感応】ってヤツ…………
煩わしくて仕方ない!!ミュート機能とか付いてないの!?」
《通りすがりのイケメンにいきなりディープキスされて長々と自分語りされたような感覚ですかね》
隙あらばBLに寄せるのやめい。
ミュート機能ぐらい、
今日びどこのSNSでも実装されてるっていうのによぉ………。
なんて不便な生き物なんだ、大魔王ってのは。
拳と拳が激突した余波で、俺と獣王は真逆の方向へと弾き飛ばされている最中だった。
《強すぎる思念…………
怨念に近いような強烈な思念に接触すると、
マサムネさんはラジオの受信機のようにソレをキャッチしてしまう性質があるんでしょうね》
見ず知らずの他人の精神に、何の前触れもなくたびたび潜航させられるって身が持たんぞ。
炎上商法常習犯のメンタルモンスターでもそのうち病むだろ?
《もしかしたら………獣王の心が、マサムネさんに事態を知って欲しくて自ら接触してきたのかも知れません》
いや、それもなんだかじゃっかん気持ち悪いな。
獣王の頭部にへばり付いている、暗灰色のキノコ状の物体を観察した。
あれ、不用意に頭から引き千切ったりして大丈夫なモンか?
《おそらく……………細胞レベルで脳に同化して、宿主の生命を盾にとるぐらいのエゲツない生存戦略はとってきているでしょうね》
アイツを無闇に攻撃したり、ぶきっちょに潰したりしたら、
獣王の脳細胞に重大なダメージが残る……………その可能性が大、か。
《【虚無の左手】を使って、あの洗脳寄生体を《《存在ごとそぎ落とす》》しかありません》
左手に、ゆらゆらと燃える紫色の炎を揺蕩せて、態勢を立て直した獣王と向き合う。
さっきまで脳裏に流れ込んできていた記憶の情景。
その残影が鮮烈すぎて、
自分自身と相対しているような奇妙な感覚に陥った。
頭を軽く振って、その錯覚を振り払う。
クソが……………リア充め。
今度は逆に、俺の引きこもり時代の黒歴史をお前のなかに流し込んでやろうか?
《今度はネコじゃなくタチにまわってやろうか?》
変な翻訳ありがとうございます。
【腐女化フィルターアプリ】でも脳内に挿入してんスかね?
黄金の流星と化して、獣王が突進してくる。
さっきまでの攻撃はまだまだ様子見だったって事か。
テトリスのレベルを一気に一桁あげたくらい加速してやがる。
ごひゅっ!!!!!!!
ひょごっ!!!!!!!
物騒な風切り音をたてる凶悪な爪の連撃をギリギリのところで避ける。
隙が無い。
相手の頭部にのんびり触れている余裕なんてどこにも無かった。
……………強すぎる
獣王の後ろ回し蹴りを両腕に受けてガードする。
踏ん張った両足が、地面に10メートルもブレーキ痕を残す。
―――殺すには、易い
でも、手を差し伸べて救い出すには、
獣王は強すぎた…………




