獣王襲来 【亜人種強制収容所編】 その17
二度、三度と衝突を繰り返しながら空中を駆け上がっていく。
宙に魔法障壁を作ってステップを踏んでいる俺とは違って、
レオニダスは背中から展開される闘気の翼で飛翔していた。
黄金色の闘気で形成された巨大な翼。
金色の羽の粒子をあたりに散らしながら雄大に羽ばたく。
《天翔けるほどの圧倒的な闘気量…………
なんていう存在の密度でしょう。
まさしく獣王の名に相応しい最強の生物です》
通常の生物……………生態系のピラミッドのなかでは、間違いなく歴史上最強級の超生物だろうな。
絶えず相手を殺るつもりで、深刻なダメージを与え続けていかないと、こっちが先に殺られかねない。
その刹那。
ほんの一瞬、盤石だった獣王の動きにエアポケットみたいな隙が生まれた
寄生体がいる頭部のあたりに、防御の穴が生まれている。
俺は、間髪入れずに、その隙へと【虚無の左手】をねじ込んでいった。
狙いは、レオニダスの頭部にへばり付いた寄生体。
一撃ではそぎ落とし切れなかったとしても、とりあえず半分ほど《《持ってって》》やる。
が、
ぬるりぃ……
寄生体はレオニダスの頭部のなかに引っ込んでいた。
な………にぃいいいい!!!?
躊躇して、中途半端なところで【虚無の左手】を止めた俺。
ドンッ!!!!!!!
逆に、ガラ空きになった俺の左わき腹
そこにレオニダスの中段蹴りが炸裂していた。
「おげぇええええええ……………」
目の前に一瞬、砂嵐が走るくらい凄まじい衝撃だった。
ビキビキビキビキ……………
俺のわき腹を蹴りぬいたレオニダスの足、
その足の骨が砕ける音がここまで聴こえてきた。
足の甲が複雑骨折でもしているのだろう。右足だけが歪なカタチに歪んでいた。
《異次元の戦闘力を誇るマサムネさんに全力の攻撃をくわえれば、自分の肉体もダメージを負うことは避けられない……………》
「げひひひひひっひひひひいひひ」
レオニダスの頭部に再び生え出した人面キノコが、
ゲラゲラと下卑た笑い声をあげていた。
獣王を無傷で救い出そうとしている俺の意図に気づいている?
《たったあれだけの交戦で、そこに勘づくとは。
相当な知性を持っていますね、あの寄生体》
クソッたれ……………
これじゃ、助けようとしている人質その人と、殺し合いをさせられてるようなもんじゃねえか!!
黄金闘気の密度をあげて、バラバラに骨が砕けているはずの右足を補強する獣王
そのまま、攻撃を再開してくる。
レオニダスの頭部で変形し、ヘルメットみたいに平べったくなった寄生キノコ。ニタニタと笑い続けている。
《他人の身体だと思って……………好き放題ですね》
上から覆いかぶさるようにして、掴みかかってくる。
抱きすくめて、そのまま背骨ごと粉砕するような勢いだ。
殺意に燃える獣王の瞳。
黄金のライオンヘッドが、視界の中で大映しになる。
ヤツの巨大な両手を、手で掴んで受け止めた。
暗黒闘気と黄金闘気がぶつかり合う。
俺は、物理的なショック以上の衝撃を脳裏に受けている。
自分の意識がハッキングされて、
得体の知れない異国の放送局にでも乗っ取られたみたいに、見知らぬ景色が目の前に広がる。
匂いや、肌に感じる温度まで、自分の事として感じられる異様に鮮やかな情景




