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レナの誕生日 スライム遊園地 その23

□□



俺の魔力を動力源とする広大なスライム遊園地が、


お客こそ一人もいないものの、盛大に稼働し始めた。




ぷよぷよとした遊園地のゲートを抜けると



現実世界の人気テーマパークのキャラクター、


スライムで出来たマスコットキャラクターが、俺とレナを出迎えてくれる。




「…………………」




レナは無言でスライム製のマスコットキャラクターに歩み寄っていく。




ヒシッ




そうして正面から抱きついてマスコットキャラのお腹に顔を押しつけると、


五分ほど、そのままの状態で動かなくなった。




《生き別れた家族との感動の再会くらいの熱量》




スライム製の観覧車や、メリーゴーランドといった小さい女の子が好みそうな乗り物たち。



それらを完璧パーペキにスルーして


レナが真っ先に興味を示したアトラクション……………



それは、とんでもないスケールでそびえ立つ特大のジェットコースターだった。



高さ150メートル全長2キロ以上もありそうな、物凄い大きさ。




《日本一高くて速くて怖いことで有名な、


最強ジェットコースター【|GEISHAゲイシャ GIRLSガールズ】ですね》




なんスか、その外国人観光客に媚び倒したネーミングは。



てか、日本一のジェットコースターだと!!!?




《自分で作ったんでしょうが》




レールも、鉄骨の部分も、車体も、ぜんぶがスライムボディに置き換わって再現された、高さ速さともに日本一のジェットコースター。



そういえば、全体がどことなくプルンプルン揺れているような気がする。



安全性の部分とか大丈夫なんだろうか?これ。




《スライム族最強種のぷにぷに素材で出来ているんだからきっと大丈夫です》




不安すぎる!!!!


ジェットコースターはカチカチ素材であってくれ!!!!!





いや、てか、それ以前に…………………




カタカタカタカタ………………




勝手に震えはじめる俺の脚。




俺は、絶叫マシーン系が大の苦手なのだ。



てか、高い場所がそもそもダメだ。高所恐怖症だ。




《いつも、超高空まで飛び上がって超絶アクロバットを披露してる癖になにを言ってるんですか?》




…………いや、全てを自分でコントロールできる状況下で空に舞い上がる分にはぜんぜん平気なんだ。


自分の意志とは関係なく高い場所に置かれたり、急に振り回されたりするのが怖いのだ。




《そういうものなんですか?》





スライムジェットコースターを前に瞳をキラキラと輝かせていたレナ。


及び腰になっている俺の様子に気づいたのか、少し不安げに声のトーンを落として。




「……………レナと、一緒に乗る……………イヤ?」





その、健気な姿。悲しげな瞳。



こ、断れる状況じゃねぇええええええええ!!!!!!



俺は心のなかで血の涙を流しながら頭を抱えた。




《ささ。日本一怖いジェットコースターとやらにレッツラゴー》




何もかもが半透明に透けて、ぷるんぷるんとしてるジェットコースターの建物内を上がって乗り場へ。



三階くらいの高さにある乗り場、そこに止まっているオシャレなデザインの車体。



もちろんそれもスライムで出来ていて、遠目にもぷるんぷるんしているのが分かる。


あと、車体もレールもじゃっかん透けている。




この時点でホラー!!!!!!




しかし、レナは怖気づいている俺を尻目に、ノリノリでスライムの車体に乗り込む。



……………あの、レナってジェットコースターの意味分かってるのかな?


ジェットコースターの恐ろしさ分かっているのかな?




《スライムの車体がぷるんぷるんしながらそこにあるんだから、


これはもうレナからしたら乗るしかないっしょ》




俺が乗るのを躊躇ちゅうちょしてグズグズしていると、



レナはまた悲哀に満ちた目でこちらを見つめてくる。




やめろ、その悲しい目!!!!!!





《悲しい目をした貧しい少女にカツアゲされたら、抵抗できずに身ぐるみ剥がされてしまいそうですね、マサムネさんて》




なんだよ、その不憫ふびんで武装した少女ギャンブ




俺は、レナの悲しい目の圧力に負けて結局、隣の席にドスンッと腰を落とした。




…………うん。



なんか、座席がひんやりしてて、ぷにぷにしてます。



果汁グミでつくったソファーにでも腰かけてるみたいです。




…………ただレナは至極ご満悦の様子だった。





《言わずもがな》








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