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レナの誕生日 スライム遊園地 その21

□□



絵はがきのモチーフに使われそうな美しい港町が見えてくる。



額縁のなかの世界に仲間入りするみたいに、神竜船ガネシャはその港に入港いった。



ベテランの船員たちは、だいたいこの港町に現地妻でもいるのか、


珍しく鏡の前に並んでやけに身だしなみを気にしていた。


しきりにヒゲを整えたりしてる、




「さぁー、たらふく陸地おかの美味いモノ食いにいくぞぉーーーーー」




エスメラルダが拳を突き上げて飽食宣言をぶち上げると、


グラナゴスがヨダレを垂らしながら相づちを打ちまくっていた。




《顎でクルミを割れそうなくらい激しい相づち》




みんなで、港町のレストランに行って宴会をするみたいだ。



そっから、特定の現地妻がいる船員だけは早々に切り上げて各々の港に帰港するのだろう。



《知らず知らず、同じ女性の家()に帰港して修羅場になる船員とかいそうですね(ワクワク)》




海賊ヤクザ相手に二股する猛者!!!?





俺は、リトさんからレナのプレゼント購入費用として、いつもよりかなり多めのお小遣いをもらった。




《お小遣い制の大魔王って…………》





「……………変なトラブルに巻き込まれないように気をつけて」




リトさんは、なぜかシリアスモードの怖い目つきになってそう念押ししてくる。




《あくまで女性関係のトラブルの事ですよ?マサムネさん》




「大丈夫!わーってる!」




「…………念のため、つけてく?」




リトさんはそう言ってどうぐ袋の中から、ピカーッと純白に光り輝く貞操帯おパンティーを取り出してみせる。


リトさんの目は本気ガチモードだった。




なんでそんなすぐに取り出せる場所に常備してんだよ!!!!?





「この港町エスパーニャは、美女が多いことで有名なんだニャ。


それも恋に情熱的なイケイケ美女がニャ」




化け猫フェイスのロゼッタが解説をいれてくる。




つまり、エスパーニャは痴女が多い地方って事でオケ?




《語弊しかありませんね》




ペトロネラが平均値アベレージぐらいの痴女っ子タウンって認識でオケ?




《それだと、もはや町として成立しませんね。


スティーブン・キングのホラー小説に出てくるような町ですね》




ペトロネラは怪物ヴァンパイアあつかいか。





上陸して、レナと一緒に町に繰り出してみたけど、ぜんぜん痴女タウンじゃなかった。



街角のどこを切り取っても絵画のモチーフになりそうな、色彩豊かでお洒落な町だ。



とりあえず、メインストリートに並んでいる洒落たお店に入って、


女の子の好みそうな宝石店とか服屋さんとか片っ端から回ってみる。




《プレゼントを本人に選ばすとかパパ活にしか見えないッス》




仕方ないでしょうが。俺には女の子の好みとかぜんぜん分からんのだ。


てか、せめて妹想いの兄ぐらいのイメージにして!!!?




…………が、



レナはどんな高価な宝石を前にしても、



洒落たデザインの服を前にしても、



ぜんぜんリアクションしないし、心が動いている気配も無い。



無表情のまま、ただ茫然とそれを眺めている。



道端の石ころを見てるときと全く同じ熱量だ。




レナが喜ぶプレゼントが、ぜんぜん見当もつかない……………



まさか、誕生日プレゼントに【スライムの干物】とか、


人によっては嫌がらせにしか見えないグロ食品を渡すわけにもいかないし……




《レナは一筋縄ではいかない特殊性癖の少女ですからね》




生鮮食品を並べている露店で、色とりどりの干物スライムを売ってるお店があった。


レナが目を輝かせたのは、唯一その露店の前でだけだった。




いや、ある意味では分かりやすいんだけどね、レナの趣味は。




《レナはスライムとマサムネさんだけが大好きなのです》




しかし、送る側としては納得がいかないというかなぁ。



あまりにも活きが良すぎて復活しかかっているスライム干物と、膝をかかえながら見つめ合っているレナ。




スライムを加工して作った、風船状のオモチャを背後に伸ばしながら、


男の子が俺のかたわらを駆け抜けていった。



なにが楽しいのか、ただそれだけの事でキャーキャーと嬌声きょうせいをあげている。



俺も子供の頃は、あんなんでテンション上がってたんだろうなぁ。




その子供の姿を見つめていたとき、ピーンと天啓アイデアが閃いた。




《名探偵コナンばりに閃く人ですね、あなたは》




「そうか。なにもモノを渡す事だけがプレゼントじゃないんだよな…………



《《体験》》を提供するってのも立派なプレゼントなんだよな」





頭のなかにどんどんと面白いイメージが浮かんできて、思わず俺はムフフフフとほくそ笑んだ。








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