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レナの誕生日 スライム遊園地 その18

□□



だが、レナの奮闘も虚しく、


いよいよ採掘場も最深部って深さに到達するまでに、ミニ機龍の食料となる特殊な鉱物は見つからなかった。



レナのなかの強烈な焦燥感、悲壮な想いが俺のなかにまで流れ込んでくる。



もし、この場所にもミニ機龍のエサになる鉱物が存在しなかったら?



最悪の連想が頭をよぎる。


網籠のなかに横たわってもう二度と動かないミニ機龍の姿。




レナは、不安を打ち消すかのように全身が黒い鉱物で出来たブラックドラゴンへ挑みかかっていく。



希少金属、黒ミスリルの原材料となる特殊鉄鉱石で出来たそのドラゴンは、今までに無く強力だった。



レナは、苦戦しながらも何とか撃退する。



争いごとを嫌って、いつも、どこか消極的な姿勢で戦っているレナ。


レナがこんなに必死になってモンスターに挑みかかる姿を、俺は初めて見た。




身体のあちこちに擦り傷を作ったレナに、回復魔法をかけているのも束の間。





ずるるるるるるる……………



るるごごごごごっごごごご……………




異様な音をたてながら、鉱物ドラゴンよりもさらに巨大な、


ムカデのような生き物が現れる、




そのムカデは、目が覚めるくらいに純白の、処女雪みたいに鮮やかな白の鉱物を身体から生え出させていた。




星屑の白銀(スタープラチナ)製のムカデですね。


特殊金属を生み出す超希少鉱石で出来たボディー。しかも、デカい》




が、それだけに、その巨大な鉱物ムカデは今までとは格の違うオーラを放っている。


戦闘力も、その希少性に比例して跳ね上がっていた。




レナは、すぐさま臨戦態勢に入る。





「レナ、待て…………


ソイツは、ヤバい…………俺に任せておけ」




レナは、俺の言葉を振り切って巨大な白銀のムカデに飛び掛かっていく。





ずぎゃっ!!!!!!!





とんでもない速力で、ムカデの尾が振りぬかれた。


レナはその華奢な身体を吹き飛ばされていた。




《…………強い》





「この金ピカグロ虫が!!!!成敗しちゃる!!!!」





俺が、暗黒闘気を展開しながら一歩踏み出す。




が、その俺を追い越して、飛び起きたレナが再突撃を仕掛けていた。



明らかに深いダメージを負った身体に、鞭を打って。




「レナ……………お前……………」





凄まじい交戦が繰り広げられる。




美しい銀色の火花が…………


光の花びらみたいに広がって何度も暗がりを照らす




傷だらけで、血を滲ませながらも、レナはあきらめない。



明らかに、自分よりも戦闘力が上の鉱物生命体に、果敢に挑み続ける。





《…………レナは、自分の《《子供》》のためにこんなに頑張る娘だったのですね》





「レナ、無理するな!!!」





拮抗したバトル。



直視するのが怖いくらいの、スレスレの攻防。



先に当たれば、レナのほうが先に打ち倒される。



見てるだけで背筋が凍るような猛攻を、紙一重でかわしたレナ。




さこ……………ん!!!!!!





ひときわ強烈な火花が空間に散った。



避けると同時に放ったレナの一撃が、プラチナサソリの急所に炸裂していた。





ずずずず………………ん。





巨大な鉱物生命体サソリが、採掘場の暗がりに崩れ落ちた。




服の色んな部分が破れて、素肌の大部分が露わになったレナ。



荒くなった呼吸の音が抑えきれずに、苦痛交じりの息継ぎを漏らしながら。


その場にぐったりと座り込む。




「レナ!!!!」





駆け寄って、すぐさま重傷の箇所に回復魔法をかけた。



レナは、戦いに勝利したってのに、心が凍ったみたいに暗い表情をしていた。




「わたしのせい……………だから……………」





泣くことを知らないレナは、かえって心の奥底に苦しみの結晶をどんどん結実させてるかのように見えた。



無表情の奥には、幾重にも重なって泣き顔が隠れている。



そう、思えるのだ。




「…………その子のために、レナはこんなに一生懸命に頑張ってるじゃんかよ」




血の滲んだ細い二の腕に、そっと回復魔法を帯びた右手をそえる。



心にも、回復魔法が届けばいいのに……………。





「偉いな、レナ。…………お前、偉いよ」





レナは、うつ向いて、小さく肩を震わせた。




そのときだった。



いつの間にか、レナのどうぐ袋のなかから抜け出して蠍の鉱物生命体の方へ飛んでいたミニ機龍。




カリカリカリ………………




そいつが、小さな竜牙りゅうがで、蠍の身体から生えている純白の鉱物を、美味しそうに食べていた。




レナは、ハッと顔をあげてその光景を見つめる。




無表情のままではあったけど、レナの胸のなかに温かい感情が満ちていくのがハッキリと分かった。



俺のなかにもドバドバと流れ込んできて満ち溢れるくらい、レナの気持ちは温かくて膨大だった。




安堵、愛しさ、喜び、




温かくて優しい気持ちの、ブレンド。




一通り星屑の白銀(スタープラチナ)の鉱物を食べ終えたミニ機龍は、


小さなジェットエンジンに蚊取り線香みたいな小さな炎を灯しながら、レナの胸に飛び戻ってくる。




レナは、それを受け止めて、



胸いっぱいの愛情を込めながら、ぎゅぅっと抱きしめた。







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