レナの胎内へ
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真っ黒い細胞に同化されたレナの姿があった
上半身と顔以外のところ
下腹部や腕、足が
大魔王の黒い細胞に混ざりあってる
「もう、いいの…………」
レナのうつろな目
「いずれこうなる運命だったの………
わたしの体力が弱れば……大魔王の細胞はわたしを飲みこむ……
いつかこうなること、わたし知ってた……
ありがとう。わたしのために……
ここまでしてくれて……
もういいよ………」
俺は、黒い肉腫のなかに混じり合ってるレナの身体を抱きしめた
びっくりした顔で俺をみるレナ
黒い肉腫が、俺の身体にも浸食してくる
「やめて!あなたは、そんなことしなくていい!逃げて!」
背骨とか首すじまで
黒い肉腫がはい上がってきた
「だいじょうぶだから。
俺を同化しろ、レナ」
変なおじさんの寄り目をして
おどけてみた
泣き顔のレナが
ふっと笑った
こんなシチュエーションでも神がかった可愛さだな
「本当に…………信じられないぐらい……バ
カ」
レナのなかに、俺の身体が溶けて混じっていくのを感じた
□□
原初の大魔王。
最初の、
もっとも原初の
オリジナルの大魔王。
その成り立ちをみた。
まだ文化がはじまったばかりの異世界
か弱い1ぴきのモンスター
そのひ弱なモンスターが大魔王のさいしょの姿
若くて、やばんな冒険者に
むざんに殺されてしまう
モンスターは
なんかいもなんかいも
転生をくりかえす
おろかな人間たち、
やばんな冒険者たちに
経験値あつめのために殺されながら
か弱いモンスターはなんかいもなんかいも転生する
ほんの少しづつ
怨念の力、いかりの力を、たくわえながら
あるとき
人間どうしが大きな戦争をはじめた
その異世界をおおいつくす人間の黒い怨念
もともと、怨念があつまってきていたモンスターのところヘ
人間たちの黒いパワーがいっせいに集まってくる
やがて
さいしょの大魔王がこの異世界にうまれおちる
《レナをかえせ》
大魔王の細胞が
ふくれあがって
風船みたいにわれそうになっている
《レナを、かえせ》
俺のデカすぎるエネルギー量を
大魔王の細胞では取り込めきれない
うちがわから壊れていく大魔王細胞
俺を切り離して
外にはきだして
なんとか生き残ろうとしてる
《レナを、返せーーーーーーー!
俺を切りはなそうとする力にあらがって
さらにうちがわに侵入する。
大魔王の肉の部屋のそこに
幼児時代のレナかすわってた
カラダが、黒い炎で燃えあがるのを感じながら
レナに近づく
《レナ!!》
振り向いたレナは大粒の涙をこぼして泣いている
俺は、その小さなからだをしっかりと抱きしめる
□□
半分くらいのサイズになったダンジョン内で気がつく
俺とレナをはきだした大魔王の細胞が
レナの胸のなかにずるずるもどっていく
この細胞が胸のなかにある限り…………レナは…………
なんとか、レナの身体からこの黒い細胞を追いだすことはできないのか?
《解。レナの体内で、大魔王細胞は生体組織の一部と化しています。大魔王細胞を追いだせばレナは心臓組織に重大な欠陥を抱え、数分以内に死を迎えるでしょう》
せっかく、綺麗な女の人の声なんだからもっと愛嬌のある喋りかたできないかね?
《女性蔑視ですか?しかるべき団体に訴えますよ?》
厳しい!
少しでも弱ると自分を喰らいつくそうとする細胞
こんなモノを自分の胸にかかえて、レナはずっと生きてきたのか……
賢者のスキルツリーで得た魔法の知識をフルに動員して
大魔王の細胞を抑えこむ方法を考えてみた
ピンとひらめく
結界魔法と
魔を封じ込める呪法
この2つを合体させてみたらどうだろう?
忘れてるかも知れないけど
賢者のスキルツリーの最終奥義は
【合体魔法】
自分で魔法を組み合わせて新しい呪文を開発するスキルなんだ




