ボール
放課後、今日は先生の話が早く終わったので教室でA組が終わるまで読書をしながら待った
ざわざわと騒がしくなった廊下をみていると目当ての人が出てきた
「玲くん」
「・・・ひな」
私から声をかけることはないから、少し驚いたように玲くんは見てきた
「ちょっといいかな?」
その反応に困って思わず苦笑いしてしまう
「あぁ」
そう玲くんが答えたときだった
「れーい、まってよ!一緒に帰ろう?」
転校生が玲くんの腕に抱きついたのは
・・・タイミング良過ぎない?
「姫野、悪いが今日は」
ヒロインの名前は姫野百合
だったかな?
「えー、なんでー」
ぞわりとした
「玲くん、またでいいよ。じゃあね」
嫌悪感から逃れるように早口でそう言うとかばんを持って歩き出した
「おい、ひな!」
後ろから玲くんの声がしたけど早足でとまることなく歩き続けた
校門を抜けると早足をやめ、ゆっくりとしたペースで歩いた
後ろから走ってくる音がする
ふっと振り返るとやはり追いかけてきたのは
「永井くん」
「おおー、」
少し息を整えると永井くんは言った
「なぁ、今の佐野がにやにやしながら見てたぞ」
嫌悪感はそのせい?
違う?
「・・・明日、玲くんと話すね」
「そーしろよ、玲には俺から言っとくから」
「うん...」
と思っていたんだけど
あのタイミングで来たヒロインがそれを許してくるはずがなく
次の日の体育の時間
体育館を半分ずつ使い、女子はバレー、男子はバスケをしていたときだった
自分のチームの出番待ちをする女子たちが舞台上で目の前のバスケの試合を見学していた
ヒロインは...姫野さんは手に持ったバレーボールで遊んでいた
座りながら空中にボールを投げ、自分でとってを繰り返していたのだが、高く上げすぎたのか、見ていなかったのか、・・・わざとか、そのボールは試合中の生徒・・・玲くんの後ろに転がった
ボールに気付いていない玲くんがバスケットボールを目で追い、足を下げたせいでボールにつまづき、後ろに倒れてしまった
誰のボールのせいでそうなったのかそのときは知らなかった私はたまらず立ち上がり、舞台から下りて玲くんのもとへ駆け寄った
玲くんのまわりには男子や先生、私と同様に駆け寄ってきた女子でなかなか、玲くんのもとにいけない
どうにかして行こうとあがいていた私だったが
「せんせぇ!私のせいなんです!私がボール落としちゃったから、玲はそれに気付かずに!」
大きな声で先生に訴える姫野さんの声で
姫野さんが先生のもとに・・・玲くんのもとへみんなが道を譲ったことでたどり着く様子をみて、あがくのをやめた
・・・姫野さんと目が合った気がした
前世で
**の好きな人は**の友達こと好きになったんだよと言ってきたあの子のように
見下したように
永井くんは私に気付くと騒ぎの中心から後ろに下がり、私の腕を掴み、中心に引っ張っていこうとした
私はその腕をそっとはずすとさらに後ろに下がった
永井くんの困惑した顔は無視して
姫野さんの後ろ姿を見つめ続けた
玲くんが頭をうったのと足をくじいたのとで大騒ぎになった
もちろん、姫野さんは自分のせいだからと主張し、付き添いを志願した
すぐに玲くんの家に電話がされ、先生が病院に連れて行った
姫野さんは保健室までの付き添いや説明までは許されたものの、すぐに教室に帰されたらしい




