表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/8

第二回:言葉の翼と、世界からのエール2

プロフリンクから他の作品も読めます

「私の、この手が……?」


美智子は、節くれ立った自分の左手を見つめた。恥ずかしいと思っていた「農家の手」。それが、最高のデザインの一部になるなんて、考えもしなかった。


翌朝、美智子は畑へ向かった。

いつもとは違う。右手に大根、左手にスマホ。


朝日を浴びる大根の鮮やかな赤。土から引き抜いた瞬間に立ち上る、命の匂い。彼女はそれらを、スマホのカメラで次々と収めていった。


「お父さん、おじいちゃん。私、なんだかすごいことになりそうだよ」


空に向かって呟くと、不思議と体の重みが消えていた。

かつては、新しいことを始めるのが怖かった。失敗して笑われるのが嫌だった。


でも今は、手の中に「Felo」という心強い相棒がいる。分からないことがあれば、いつでも聞ける。世界中の知恵を、自分の味方にできる。


家に戻り、美智子はFeloが整理してくれた構成案を、そのままデザインツール「Canva」に読み込ませた。

すると、どうだろう。


Feloが選んでくれた言葉と、美智子が撮った写真が溶け合い、まるで都会のデパートに並んでいるポスターのような、洗練された、けれど温かいスライドが次々と出来上がっていく。

画面に映る、自分の「手」の写真。


その背景には、Feloが提案したキャッチコピーが躍っていた。

『三百年の土が育てた、奇跡の赤。あなたのひと皿に、物語を。』

「……できた」


震える手で、美智子は娘にメッセージを送った。


『プレゼンの準備、できたよ。オンライン会議っていうの、予約してくれる?』

返信はすぐに来た。


『お母さん、すごい! シェフも楽しみにしてるよ!』


美智子は、縁側に座って深く息を吸った。

冷たい風が頬をなでる。だが、その胸の奥には、かつてないほどの熱い灯がともっていた。


しかし、運命はさらなる試練を彼女に用意していた。

オンライン会議の当日、美智子の前に現れたのは、東京の若き天才と謳われる、冷徹な目をしたエグゼクティブ・シェフだったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ