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2011/04/02 ボスモンスターとナイフと恋愛脳


…ブッ殺がし祭りを開催して既に5回のリポップをしたゴブリン君達、君らを生き物として認めることはないだろうがそれでもやはり哀れには思う。なにせ遺骸も残さずドロップ品に変わるのだ。

「まるで俺に殺されるためだけにここにリポップする彼らの境遇は可哀そう極まりない、ま、経験値のために死んでもらうがね?」

クルクルと斧形態の自我兵装を弄りながらおにぎりを齧る。水筒(中身入り)はまじで有能ドロップくんだったし、服がいくつか手に入ったのもいい事だ。…女子の服とスク水は出す機会などないだろうけどね、いや、むしろ所持しているだけでちょっと変態ちっくだし捨てるべきか?そう思うと廊下の雰囲気が一変した。

「…」

精神値、と呼ばれるそれが本質的になんなのかそれはまだわからないがどうやら俺にはそれを感知する才能があるらしい、言うなれば妖気、魔力、魔性、そう言った何かが集まり束ねられ形を持っていく。

そろそろホブゴブリン忍者を倒してから急激に上がったレベルのせいか、それとも彼らから得られる経験が少なくなってしまったのか、どちらにせよ結果的にゴブリンくんの経験値がまず味になっていたので親玉が来るのは大歓迎だ。

「だけど…ねぇ…」

空間が歪み、まるで魔法学園行きのバスの様に急速に自分も周りも引き延ばされる様な感覚がはじまって、瞬きに間に終わるとそこは廃墟感がマシマシの体育館だった。

武器の重さにも全くもって慣れ切ってしまった自分の性根に嫌気がさすが体は自然と構えをとる。

左手を地面に付き、姿勢は獣のように深く伏せ、右手一本で身の丈ほどの鉈を背負うような構えは自分でやってて笑ってしまうようなフィット感だ。

目の前に収束しもう少しで形を成すであろう影に俺がとびかからんとしたその瞬間、俺は背後から迫るナイフを掴み取り、水を刺されたのに苛立ちながら振り返る。


「はぁーい、ジンキチ君」

「なんだ。霞かどうでもいいな。」

そこにいたのは予想通りに久世霞、適当なガラス片をぶん投げガラスと自分の位置を交換して高速移動する。背後が爆散するがとりあえず予想通りゴブリン系のボスが出てきたのは確認した。

「それで?」

「それでって何!この超絶美少女が来て声をかけてるだけでもありがたく思ってくれない?」

…ステータスに収納しておいたナイフをゴブリンウォリアー、筋骨隆々の3メートル近い巨人のようなゴブリンに投擲した。それは吸い込まれるように目に当たり、自身の肉体が持つ防御力に相当の自信があったのか目玉にぶつかっても余裕の笑みを浮かべ…パリンと何かが割れるような音とともに深々と突き刺さった。

「…ぐぎゃあぁぁぁぁあ!?」

「おあぁぁぁあ!?」

舐め腐った態度のバカゴブリンと舐め腐った態度のバカ女、両方の悲鳴が響き、反響する。そりゃあそうだ。なにせアレは彼女に取って大事なもの、むしろそれを良くも俺への攻撃で使うものだ。投げたら弾かれて痛むし、最悪奪われたり、壊されたりする。ある意味ほぼ全ての武器は消耗品だがナイフはその筆頭だ。

そんな大事な大事な懐刀、イラついた相手に投げればどうなる?

正解は、小汚いゴブリンの眼球に突き刺さり得体の知れない体液で汚れる。だ。

叫び声は勿論カスミのものであんぐりと開けられた口と信じられないものを見るような目は滑稽極まって腹が捩れまくりである。

「アホだな、お前、大切ならもうちょっと大事に使えよ。」

俺がそう言うと空間を隔てる障壁越しに鬼のような形相で彼女がこちらを見る。歯軋りではないがミシミシと軋むような音も聞こえるくらい彼女は怒っていた。いわゆる激おこぷんぷん丸である。

「ジンキチィぃぃぃ…」

「そんな声出すなよ、そもそもなんで投げてきたんだ。」

返答はないが少し冷静さを取り戻し、不機嫌そうにいう。

「あんたなら返してくれるって思ったからよ。」

「甘えかよw」

「っ…いいじゃん!さっきはちょっといい感じに分かれたじゃん!そういうのテンプレ的に考えて気があるっていう判定でいいんじゃないのぉ!?」

…oh…

「頭ん中『ち⚪︎お』かよ…」

「違うわよ!けど、『きらりん○レボリューション』は好きね!」

少女漫画畑にはこんな地雷女も潜んでいるんか…怖いわぁ…っと、そんなことを話している間も時間が止まっているわけじゃない背後に迫るは小鬼巨人、字面にすると矛盾感がすごいがまじめにゴブリンが大きくなっただけなのだ。これ以上的確な表現はないだろう。

おおきく振りかぶって大袈裟に振り下ろされた剣は俺の鉈とぶつかり合う…こともなく。ゴブリンの剣はまるでバターか何かのように音もなく真っ二つになった。

「グゲぇ!?」

「ん…自我兵装じゃないのか、武器じゃないのもあるのかね。」

「私の遠眼鏡だって武器じゃないでしょ。」

そりゃあそうだ。望遠鏡は鈍器になるが鈍器ではないし武器じゃないそれから考えるとこの先もっとヘンテコなのも出てくるだろう。俺はクルクルと鉈を振りながらゴブリンの出方を見る。

純粋な興味だ。自我兵装は持ちうる限り最強の矛でありながら最悪の弱点でもある。これからも元々持っていた武器や徒手空拳などを武器に、自我兵装は補助に使う相手が出てくるかもしれない…日記に書く内容を少し増やすか、ゴブリン相手でも実に多様な自我兵装が見られる。それらを事細かに記録するのも一興だろう。


数秒の間があって相手が生成したのは大楯、と言うには重心や余計な機構があるように見える。勿論見た目ではわからないが幸いにもゴブリンの筋肉や身体自体は人間とよく似ている。力の入り方、力み方で持っているもののおおよその重量や重心などが読み取れた。

「暗器持ち、か…」

卑劣、というと僻みに聞こえるかもしれないがゴブリンたちは非常に狡猾で、それでいてこちらの事をなめている。矛盾するようだがあくまで戦ってみると非常にいやらしい手を的確に打つ故に狡猾で、こちらの事を食料や欲の吐口としか見ていないが故になめている。という評価になっている。

「使い方を工夫すれば一流だと思うんだがなぁ…」

彼らの身体能力は高い、おそらく基礎値ではカスミは彼ら以下である。少なく見積もっても50から70程度の身体性能を持つ彼らは油断と舐め腐った態度とクソ以下の知能によってその性能を全て生かすことはない、狡猾であると言ったし、嫌らしい手を打ってはくる。だが、その知能はあくまでもズル賢いにとどまっているのだ。

二等辺三角形の様な盾の最も鋭い部分をこちらに向け、すかさずアクションするゴブリン予想通り何かが射出される。特有の風切り音、弾丸ではなくワイヤー付きのフックショットのようなものらしいそれを避け突進するが盾の装甲前面部がスライドし高速でなにかが飛び出す。

「飛び道具入りすぎだろ!」

飛んできたのはライフル銃の弾丸の様な金属塊、中身が不明なのでこれも避けようとするがいつの間にか引き戻されてきたワイヤーによって体勢が崩される。弾丸は避けれたが続いて迫ってくるゴブリンは既に盾からダガーを抜き放っておりこちらへ飛びかかってきている。

「ふぅん、なるほど?」

これで全部ではないだろうがなかなか興味深かった。俺は片足で強引に地面を踏みしめ鉈を振り抜きダガーを切り裂く。

「オ゛ア!?」

「あぁ…やっぱりか。」

ダガーが切り裂かれるのとほぼ同時にゴブリンが怯む。怯むというよりは…明らかに動きが鈍くなり、苦しんでいる。自我兵装そのものの輪郭も歪み始める。

しかし、そんなふうに弱って見せても戦闘中にはなんの意味もない、覚悟も決意も足りない様な生やさしいバカなら躊躇うだろうが残念ながら俺にそんなものを期待しないでほしいね。

両足でしっかりと踏み込み輪郭が歪み始めた自我兵装に刃を食い込ませる。

「オ゛!おぁア゛!?」

メリメリと軋む音、削れ、はじけ、機構ごと盾は切り裂かれていく。自我兵装を壊されているゴブリンの表情はまさに苦悶、と言った感じで自分の持つ自分たらしめる何かを強引かつ乱暴にそして意図的にゆっくりと破壊されていく痛苦はおそらく人類の持ちうる最高の拷問技術でもそう与えられないだろう。真っ二つになった盾は一瞬で消え失せゴブリンウォリアーは白目を剥き泡を吹いて倒れた。

「経験変換」

弾かれる。ふむ…なるほど、自我兵装の破壊をしても瀕死ではなくあくまで気絶や昏倒と言った状態異常が引き起こされるだけなのか…だがなんだろうな、この症状はこの前の精神値0の時の俺に似ている気がする。確証はないが自我兵装の存在が精神値というモノの根幹なのかもしれない、魂と精神なんてオカルトも良いとこだがこの状況自体がまず異常なのだそれくらい普通なのかもな?

心臓目掛けて鉈を振り撒き散らされる血飛沫の中つぶやく。

「『経験変換』」

…経験点60ね、まぁ、最早一点となってしまったゴブリンに比べれば全然いい相手だ。

『自我兵装片(アーマーパーツ)を手に入れた!』

「あぁん?」

自我兵装片…自我兵装のかけらってことか?わからんなぁ、けど響き的には自我兵装の強化に使う素材じゃないだろうか?アタッチメントとカスタムは男の子の好きな要素ですからね、もし出来るならドキドキワクワクでニヤついてしまう。…っと。

「ほいよ」

「えっ!?」

俺は光となって消え失せたゴブリンウォリアーのドロップ品ではない遺留物をカスミに投げる。それは間違いなく鍛造された日本刀の刃を持つナイフだ。デコレーションもしっかりある。

「何しにきたのか知らんがどうでもいいとこで死ぬなよ?」

俺はそう言い残しまた空間の狭間へ踏み込んでいった。

コウタリジンキチ lv7

『肉体性能 100+80

精神性能 100+80

特殊性能 150+70


総計580

防護値88/90

精神値78/90

経験値130/300


自我兵装(ソウルアーマー)

変則変形斧鉈『X −cution』

-変形鉈

-変形斧

等価値変換術『X −change』

-等価変換 消費 0〜X

 -拡張能力 『イレカエ』 消費 1

 -EX 経験変換 消費 瀕死の敵対者

-性能変換 消費 経験値or性能値

-圧縮変換 消費 10


拡張自我(アイデンティティ)

『死の宣告』

-自ら定めた言霊により宣言を聞いた相手に自分との戦いを強制し自身を僅かに強化する

設定言霊『戦闘を実行する』


拾得物

教科書(全教科一冊)

圧縮無地ノート(現在29,700頁)

兵糧丸×4

オニギリ×38

ペンケース

制服(男子)×3

制服(女子)×2

体操着

スク水

小鬼殺し

小鬼の一欠片

new自我兵装片

』

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