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Servant×Survival  作者: 長門葵
出会いと真実
22/28

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 地下通路を抜け、行きついた先は、埃が我が物顔ですべてを占拠する小屋の中。外からかすかに聞こえる衝突音から、どうやらメイドがよこした情報に嘘はなかったらしい。総司が舞台として指定した訓練所の近くの小屋に出た。

「王と御付きはここで待機してろ」

「しかし」

「役立たずの面倒見てる余裕はねぇんだよ」

 なんの感情も込められない残酷な言葉。それは同情もでも優しさでもなく、不変な事実。それ故にジョンは反論もできないず、素直に受け入れるしかなかった。

「サルゾ、マック。投擲に使える武器があったら集めとけ」

「「はい」」

 総司は二人に指示を出した後に、けだるそうに壁に背を預ける。

『How are you feeling≪大丈夫ですか?≫』

「これからそれは決まってくる感じだな~。正直、敵の戦力がどれほどがまだわからん以上、どこまでやる必要があるかもわからんからな」

「ここにある分の投げ武器は集まりました、頭」

 自分を心配してくれる相棒を納得させるように、自身の肩を二、三回たたくと、そのまま扉を足で蹴飛ばして小屋の外に出る。

「・・・やっと埃と湿ったい空気とおさらばだな」

 サルゾは溜息に交じりにそんな愚痴をポロリとこぼす。それに同調するようにマックが大きく深呼吸をする。

「すぅ~・・・ん?距離的に目と鼻の先っぽいっすね。こんな近いのによく見つかんなかったすね、ここ」

 マックが鼻をすんすんと鳴らしてしかめっ面をする。

「敵は財宝狙いってわけもないんだ。興味なかったんだろ」

「それもそっすね」

 グリズベアの言葉にいとも簡単に納得するマック。戦地が近いこともあるのか、緊張がたばこの煙のようにグリズベアたちの周りに立ち込める。喉は急激に乾き、肺に空気が上手く入っていかない。滲む汗をぬぐうように何度も開いては閉じる手は微かに震えていた。

「おいおい、やっと湿ったとこでたんだ。もっと元気出してこうぜ」

 どこから取り出したのか酒瓶を一気に煽りながら、総司は胡坐で座していた。挑戦的な笑みを浮かべながら、誘うように酒瓶を差し出す。グリズベアたちは軽く口元を緩め、円を作るように座り込む。そして、総司から酒瓶を受け取るとそれを総司同様にそれをひっくり返し、一気に喉へと流し込む。そして、三人が酒を飲むと顔を合わせて声をあげて笑い始める男たち。

 そして、手元に戻ってきた酒瓶を、眉間にしわを寄せて馬鹿気に笑う男を睨むエレアノールに向けて、先ほどと同じ調子で差し出す。

「こんな非常事態に何を考えているの!」

 と罵倒が飛んでくると思っていた面々だが、エレアノールは無言のまま、総司の隣に腰を下ろし、酒瓶を引っ手繰るかのように総司から奪う。

「珍しいこともあるもんだ」

 総司が感嘆の言葉を漏らすと、エレアノールはさらに眉間のしわを険しくして、総司を睨む。

「こんな非常時に馬鹿げてると思うわ。でも、あなたのことだからこれにも意味があるのでしょ。何の意味があるかなんてわかんないけど、必要なことなんでしょ」

 総司、グリズベア、マック、サルゾの面々はキョトンとして、お互いの顔を確認する。そして、一斉に大声で笑った。

「な、なによ!」

 何事かと驚き立ち上がるエレアノール。そんなエレアノールに腹を抱え、泡を吹きそうな勢いで笑うマックは指を指しながら言った。

「姫様も相当バカっすね」

「んな!」

 バカだバカだと思っていたマックにバカだと言われたのが相当ショックだったらしい。エレアノールは石化されたように固まる。サルゾやグリズベアもマックに続く。

「・・・戦いを前に、酒を飲むのに」

「大層な理由なんかあるわけねえだろ」

「んな!!!」

 先ほどと同じセリフで、しかし、今度はゆでだこのように顔を真っ赤にして、地団太を踏みながらのセリフだった。そんなエレアノールを楽しそうに眺めていた総司も楽しそうに笑いながら言葉をこぼす。

「本当に何の意味もない」

「なんなのよ」

 あきれて溜息をこぼすエレアノールに総司はまるで子供を諭すかのようにやさしくつぶやいた。

「俺らはこれから人を殺し、殺されに行く」

「・・・」

 総司のその言葉にエレアノールは息をのむ。

「死ぬ気なんてものはさらさら無ぇが、そんなもんは時の運だ。死神の鎌なんて見えないんだから気にしても仕方ねぇ。最後かもしれねぇのに緊張なんてしてもしゃーねぇ。死ぬときに緊張に震えて恐怖で死ぬのか。酒は美味かった。楽しかったって思いながら自分の勇気に殺されるかの違いだけだ」

「・・・・・・そうね」

「なんて高説垂れても酒が飲みたかっただけなんだけどな」

 項垂れたエレアノールとシリアスな空気を蹴とばすように馬鹿笑いする総司。一瞬、ぽかんと口をあけて絶句するエレアノールだが、「もうっ!」と一言こぼしながら、酒瓶に残った酒を飲み干す。

「いい飲みっぷりだな」

「いつまでもガキ扱いは困るからね」

 顔を多少赤くしているエレアノールの髪の毛をわしゃわしゃと撫でる。うっとしそうに睨み付けるエレアノールに満足そうに笑う総司は立ち上がり、体を伸ばす。

「さて、さっきは最後だなんて言ったが、死ぬ気は無え。てめぇらも俺を頭なんて呼ぶんだ。子分らしくみっともないとこ、見せんなよ」

「「「おう」」」

「ほんじゃまぁ・・・食い散らかすぞ」

「「「おう」」」

 総司たちの足は戦地に向け動き出した。

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