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魔女の配下である魔族軍の一角、龍魔導師のマキシと対峙する二国の王ガルシルドとスウォン。そこは穏やかな客間からとてつもない緊張感へと舞台を変え、重圧が全員の体へのしかかった。しかし、そんな空気を受けつつ二人の顔には笑顔がうかんでいた。
「一人で乗り込んでくるとは威勢のいいもんじゃ」
「魔女の躾がなってないだけだろ」
ガルシルドとスウォンは豪華な食事の残骸がのったテーブルを間に置き、臨戦体制に入る。
「騎士長ザンク!」
「はっ!」
「武器を寄越せ!!」
「はっ!しかし、大王。私も参加することを条件に」
「ははは!かまわんかまわん。儂と盟友のダンスに華を持たせろ」
「御意!!」
大声で楽しそうに笑うガルシルドは騎士長ザンク・クドルフから背中に携えた大剣を受けとると相方に目配せする。スウォンも同じ考えだったようで、従者のジョンよりレイピアを受け取っていた。
「ククク、お二人ともお歳のわりに元気のいいことで」
龍魔導師が口許を歪めるのも気にせず、二人は久々に持った愛器を振る。
「衰えてはなさそうだな」
「ふん!お前さんこそ」
お互いに憎まれ口を叩きつつも懐かしい感覚に唸る。
「血肉踊るわい」
「獣族をも一刀両断した英雄が言うんだ。これ以上ない気付けだわ」
「エルフ一の魔術使いがよく言うわ」
大剣を構え、切っ先をマキシに向けるガルシルド。その目は一国の王ではなく、一人の武勇としての熱と殺意に満ちていた。
「良い殺気だ」
「当然。アルフィードもよく鍛えているがまだまだよ。儂から言わせれば赤子同然よの」
「そうは言ってやるな。彼も努力している。・・・しかし、懐かしいな。こうしてともに構えるのは魔女が現れる前の大戦以来か」
「魔族が現れる前の三族の大戦か。ほんに懐かしい。もう千年も前か。お前が放った魔法で装備を固めた人族を一網打尽にしたときはスカッとしたの」
「お前が筋力を鼻にかけた力自慢の獣族を次々と切っていく姿も中々爽快なものだったぞ」
敵を前にしているとは思えないほどお気楽な雰囲気で昔話に華を咲かす二人。
「お二人はお話に伺っている程度には仲がよろしいようで。しかし、私も多忙なもので、冥途へ向かう前の思い出話もそこいらにしていただいてよろしいかな。それとも怖気づいてしまいましたかな」
マキシはクククと喉を鳴らし、二人を嘲笑する。
そんなマキシに対しても二人は温厚な笑みを浮かべる。
「若造が話の腰を折るでないわ」
「そうだぞ。せっかちは損をする」
一瞬の目配せ。
二人は目の前の長テーブルをマキシに向かって蹴りあげる。
「「それに我々は二千歳を過ぎたばかりで歳などではない!」」
怒声とともに開戦の火蓋を切った。




