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剣と魔法と何でも屋  作者: リース
第一章
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第4話 何でも屋開業準備2

 リフォームの依頼をした私達は途中、夕食の買い物をしてから家へと帰ってきた。

「ただいま」

「おじゃましまーす」

 結衣の両親が今日から出張らしく、暫くの間私の家に泊まることになった。

「いつもごめんね。お邪魔しちゃって」

 結衣の両親は同じ会社で働いている。部署も同じで、こうして二人揃って出張へ行くことも珍しくない。だからこうして泊まりに来ることもよくある。

「気にしないで。私としても結衣が泊まりに来てくれるのは嬉しいし」

「えへへ、ありがとう」

「さて、とりあえず夕食の用意を済ませちゃおう」

「オッケー、私は何をすればいいかな?」

「それじゃあ……お米研いでくれる?」

「分かった」

 今日の夕食は筍ご飯とお味噌汁、そしてほうれん草のおひたし。結衣のリクエストを最大限取り入れた結果こうなった。

 

「よし、後はご飯が炊きあがるのを待つだけだね」

「どうしよっか? 一時間くらいかかるけど」

「うーん、先にお風呂入ろうか」

「それじゃあ着替え用意してくるね」

「なら、私は先に入ってるよ」

 私は脱いだ服を洗濯機へほうり込んでお風呂へ入る。結衣と一緒にお風呂……なんて幸せなんだろう。

 

 ガララ

 

 私が身体を簡単に流してから浴槽に浸かっていると結衣が入ってきた。結衣を見つめてしまう。

「そんなに見ないでよ~」

「ごめん。ついつい……」

「仕方ないな~」

「結衣が可愛いからいけないんだよ」

「え~、私が悪いの?」

「うん、結衣が悪い」

「そうなのかな~?」

「そうなの」

「むう、そういうことにしておく」

「それでよろしい」

 私は結衣と交代して身体を洗う。

「そういえば、今回の出張はどれくらいなの?」

「たしか、二ヶ月くらいかな」

「そっか~、えへへ」

「ん、どうしたの?」

「いや~、結衣と一緒に居られると思うと嬉しくて」

「私も麗奈と一緒に居られるのは嬉しいな」

 そう言って結衣は頬を少し赤らめる。単純にお風呂に入っているから、なのかもしれないけど可愛い。

 

「お待たせ、ここに座って」

 頭と体を洗い終えた私は結衣の背中を流してあげることにした。

「やっぱり、誰かに洗ってもらうと気持ちいいよね」

 結衣はご満悦の様子。背中を流していると思わず後ろから抱き締めたくなるけど、それは何とか抑え込む。

「それじゃあ次は頭ね」

 

 結局、一時間程お風呂に入っていた。さすがに二人とものぼせかけている。

「なんていうか、今ならお風呂上りにビールをグイッといくお父さんの気持ちが分かるよ……」

「ちょっと長湯しすぎたね……」

 とりあえず服を着てから食事の用意をする。筍ご飯もおいしそうに炊けていた。

「さて、食べよっか。いただきまーす」

「いただきま~す」

 私達は席について真っ先にグラスへと手を伸ばした。

 

 食後、片づけをしてから私の部屋へ戻った。特にすることもなく、二人でベッドに入ってボーっとしている。

「ふふっ」

「ん? 結衣、どうしたの急に?」

「そういえばお母さんが驚いたな~って思って」

「なんのこと?」

「えっとね、私が麗奈の家に初めて泊まってその次の日なんだけどね」

「何かあったっけ?」

「ほら、麗奈は寝るときは何も着ないでしょ?」

「うん、寝るときに何か着ていると落ち着かないから」

「麗奈が解放感があって良いって言うから、帰って私も服を着ずに寝てみたの。そしたら、部屋に入ってきたお母さんが驚いてね~」

「それは……普通は驚くと思うよ……」

「今はもう慣れたみたいで何も言わないけどね」

 いつの間にか結衣も服を着ずに寝るようになっていたと思ったら、私のせいだったのか……。結衣のお母さんごめんなさい。

 

 翌朝、先に目が覚めた私は動けずにいた。私も結衣も、寝るときは抱き癖がある。今まさに結衣に思いきりしがみつかれていて身動きが取れない。起こすのもかわいそうだし……。

 

「奈、麗奈、そろそろ時間だよ」

「……え?」

「ほら、一〇時に工事の人が来るんでしょ? そろそろ起きないと」

「あ、私寝ちゃってたんだ……」

 どうやら身動きが取れないままじっとしている内に寝てしまっていたみたい。

「今何時?」

「九時半だよ」

「九時半か……ご飯作る時間はないね」

「どうする? どこか食べに行く?」

「そうしよっか。とりあえず、顔洗ってくるね」

 ベッドから出た私は服を着て顔を洗い身支度を整える。

 

 ピンポーン

 

 チャイムが鳴った。

「おはようございます。これから騒がしくなりますが、よろしくお願いします。それでは早速取りかからせていただきますね」

 陽香ちゃんのお父さんの後ろに作業服を着た人たちが数人いる。

「はい。よろしくお願いします。この後、少し出かけようと思うのですが構わないでしょうか?」

「大丈夫ですよ。貴重品等の管理はお願いします」

 

 部屋に戻って準備を整えた私達はとりあえず駅前へと行くことにした。家を出ようとすると、そこへ陽香ちゃんが来た。

「おはよう。涼海さん、水瀬さん」

「おはよ~」

「おはよう、どうしたの?」

「暇だったから、見に来たんだけど……どこか行くの?」

「これから、麗奈と朝ごはん食べに行くんだよ」

「陽香ちゃんも来る?」

「それじゃあ、ご一緒させてもらおうかな。このままここに居てもお父さんに怒られるだけだろうし」

 そう言って陽香ちゃんは苦笑する。陽香ちゃんを加えて三人になった私達は駅前へとのんびり歩き始めた。

「そういえば、何食べる?」

「木観さんは何か食べたいものある?」

「私はさっき食べたから何でもいいよ」

「結衣は何かないの?」

「それじゃあ、サンドイッチがいいな」

「サンドイッチか~。どこかいいお店ないかな?」

「あ、サンドイッチだったら駅前からは少し離れるけど、この前出来たカフェがおいしいよ」

 陽香ちゃんによると、BLTサンドがとても美味しいらしい。

「うん、そこにしよう。陽香ちゃん連れて行ってくれる?」

「任せて。離れていると言ってもここから二〇分くらいだからそこまで遠くはないよ」

 

「わ~、凄い人だね」

 陽香ちゃんが連れてきてくれたカフェは、駅から一キロ程離れた閑静な住宅街にあった。

「人気のお店だからね~。とりあえず何処か席を探さないと……」

「あそこが空いてるみたいだよ」

 結衣がテラス席を指差す。

「それじゃあ席をとっておくね。アイスコーヒーお願いしていいかな?」

「オッケー、それじゃあ買ってくるね」

 陽香ちゃんからお金を受け取って私と結衣は店内へと入った。BLTサンドのセットを二つとアイスコーヒーを注文して席へ戻る。

「お待たせ」

「どう、BLTサンドあった? 人気だからすぐに売り切れるんだけど」

「あ、そうだったんだ。うん、二つ買ってきたよ」

 私と結衣は買ってきた物を置いて席へ着く。結衣が早速BLTサンドを頬張る。

「美味し~い」

「でしょう?」

「いくつでも食べられる気がする。この人の多さも納得だね」

 あっという間に平らげた私達はその後、一時間程お喋りしてからお店を出た。

 

「そういえばリフォームだけど、オフィスを作ってどうするの?」

 帰り道、歩きながら陽香ちゃんが尋ねる。

「ああ、お店を始めようと思って」

「お店?」

「そう、何でも屋をするの」

「何でも屋……どんなお店?」

「あ、やっぱりそうだよね~」

 結衣が陽香ちゃんに共感している。

「文字通り何でもするお店だよ。お客さんの依頼を受けてそれをするの。例えば無くし物探しとか」

「そうなんだ……それにしても凄いね……」

「そうかな?」

「うん、だって自分でお店を開こうなんて普通思わないよ」

「ほら、麗奈は変わってるから」

「結衣、それはどういう意味かな~?」

「もちろん良い意味でだよ」

 そう言って結衣はクスクスと笑う。

「もう……でもまあ、自分でも変わっているとは思うけどね」

「それにしても涼海さんも水瀬さんも仲がとっても仲良いよね。恋人みたいにも見えるよ」

「そりゃあ私と結衣だもん」

「私と麗奈だもん」

「あはは、やっぱり仲良いね~」

「ところで、陽香ちゃんはこの後どうするの?」

「今日はお昼から用事があるからこのまま帰ろうかな」

「そっか~。結衣、私達はどうする?」

「特に予定ないし、適当にのんびり?」

「そうしよっか」

「そうそう、良かったらメルアドおしえてくれない?」

「もちろん良いよ」

「うんうん」

 赤外線でお互いのアドレスを交換する。

「ありがとう――あ、私こっちだから。またメールでもするね」

「うん、それじゃあまたね」

「ばいばーい」

 

 陽香ちゃんと別れて家に戻ると、工事が始まっていた。陽香ちゃんのお父さんの指示を出す声が聞こえる。邪魔にならないように部屋へと戻った。

 結局、その後は特にすることも無く、陽香ちゃんとメールをしたり、結衣とのんびり過ごした。

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