門の向こうの暮らし
屋敷の庭仕事を請け負う男オリヴィエは、午後になると門の外へ落ち葉を集めていた。契約先とは月に一度電話で話すだけで、屋敷の所有者と会ったことはない。最近は警察や町の職員が来るので、仕事のたび身分証を持っていく。
マチューが事情を聞くと、オリヴィエは庭の使用状況を説明した。屋敷の窓に明かりがつく日もある。だが自分は中へ入らず、夜には別の家の畑を見に行くという。
「誰が払っているんです」
「請求書は会社へ出します。振り込みは遅れたことがありません」
彼には二人の子どもがおり、冬には町の除雪作業も頼まれる。屋敷が秘密を抱えているとしても、雇われた職人の家計まで秘密で成り立っているわけではなかった。
夕方、オリヴィエは帳簿を持ってきた。昨年だけ、庭の維持費に別の承認者の印があるという。マチューは複写の許可を取り、原本の場所を確認した。
庭師が使っていた水道の蛇口は、屋敷の別棟へ続く配管と同じ場所にあった。オリヴィエは冬の凍結を防ぐため、毎年その栓を閉めていたという。誰が別棟を使うかは知らなかった。マチューは彼の手帳を見て、作業日の間隔を確認した。庭師の記憶が不確かでも、請求書や購入した苗の領収書が日時を支えている。ある日の欄にだけ、「裏門に新しい錠」と書かれていた。依頼されて取り替えたのではなく、来たときには既に変わっていたらしい。マチューは鍵の製造元を調べるよう頼んだ。夕方、庭師は娘の宿題を見ながら、あの屋敷から受け取った金で暮らしてきた年月を思った。そこを知らない者が、彼の暮らしだけを疑わしいと決めるのは不公平だった。
門の奥から犬の声がしたが、庭師は犬を飼っていないと答えた。




