↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
息子の死因を教えてください――ある母親の復讐  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
95/192

礼拝堂の戸口

山あいの礼拝堂では、毎月の施しの準備が進んでいた。管理を手伝う老人パスカルは、寄付者名簿にラ・ヴェーヌの名を見つけた。かつてはこの信託が屋根の修理費を払っていたらしい。

ナディアの取材に応じた彼は、古い名前について詳しく知らないと答えた。ただ、数年おきに見慣れない法律家が寄付契約を確認しに来るという。

「誰が来たか覚えていますか」

「名前までは。私はここの鍵を開けるだけです」

礼拝堂では結婚式も葬儀も行われる。老人は祭壇の花を取り替え、雨漏りの場所へ桶を置いた。記者が帰った後も仕事は続いた。

午後、配達員が厚い封筒を届けた。中には来年度の寄付契約を更新しない旨が記されていた。屋根の修理費は誰が出すのか。パスカルは司祭と相談し、町に助成を求めることにした。


翌月の修繕費をめぐり、礼拝堂では小さな会合が開かれた。若い司祭は寄付が減ったことを隠さず説明し、地域の人々へ協力を求めた。昔から来る老婦人が古い写真を持参し、屋根を直した時の職人たちの名を挙げた。その中には屋敷の庭師の父親もいたという。ナディアは偶然の接点だと考え、取材を続けた。パスカルは出席者へ熱い飲み物を配り、集まった金額を丁寧に数えた。翌朝、町からも小さな助成金の申請書が届いた。古い信託が退けば全てが終わるわけではないが、代わりの支えを作るには多くの手が必要だった。 寄付帳の余白には、長年名前を出さずに協力した住民も記されている。予算より人の手が先に集まる日もあった。


書類の最後には、代わりの窓口として首都の会館の住所が書かれていた。名誉職の欄と同じ住所だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。