無関係だった患者
イザベルは移転した診療所で、ルカの診察記録を確かめ直していた。保存命令の対象だが、患者の名前が似た別の記録を混同してはならない。診療所には同じ誕生日の乳児が二人おり、以前から受付で注意されていた。
古い帳簿をたどると、中央へ送られた番号の一つが別の患者のものだったと分かった。事務長は誤りを認め、正式に訂正した。
その子は今、元気に歩いている。母親は病院へ来るたび、受付の職員と少し話すという。イザベルは家族に余計な不安を与えないよう、必要な説明だけを整えた。
午後、移転先の待合室で高齢者が転んだ。職員が付き添い、けががないことを確かめた。町のバス路線が変わったため、通院の不便を訴える声も増えている。
夕方、イザベルは訂正書の写しをシモンへ送った。疑問が一つ減ったことに安堵しながら、残る番号の出所を考えた。
誤記された患者の家族へ事情を説明する際、イザベルは個別の診療情報が外へ出ないよう慎重に言葉を選んだ。若い母親は心配したが、実際の診療内容に影響はなかったと聞いて少し落ち着いた。待合室では別の赤ん坊が泣き、父親が立ってあやしていた。イザベルは目をそらさず、子を抱く人々が普通に通院できる場所を守りたいと思った。過去の記録の誤りが見つかれば、今の受付のやり方も改める必要がある。職員たちは番号を二人で確認する手順を導入し、忙しい朝でも省かないと決めた。守られるべきものは紙の名前だけではなかった。 帰りの廊下で子どもの靴音が聞こえ、彼女はしばらく立ち止まった。
同じ紙の上に二つの間違いがあっても、すべてが同じ理由で起きたとは限らなかった。




