残された複写
共同保管施設の箱に添えられた受領書は、表紙だけが施設に残されていた。中身の一覧は別の場所へ送られたと記されている。エロディは送り先の名を見て、旧信託の管理部門であることに気づいた。
彼女は上司と相談し、地方検察庁へ正式な回答を準備した。証拠品の現物が何かを知るまでは、保管物の内容に関する説明はできない。
「いつまでも分からないままですね」と新人が言った。
「分からないからこそ、引き渡した記録は残すの」
その日の午後、施設には学校の歴史部が見学に来た。子どもたちは重い扉や鍵の数に驚き、エロディへ古い紙の匂いについて尋ねた。彼女は保存に必要な湿度の話をした。
夕方、監査担当者が受領書の裏にある小さな番号を見つけた。表とは別の管理番号で、信託から直接預かった物だけに付くという。
信託の管理部門は受領書の照会に応じ、保管を委託した事実だけは認めた。だが中身の一覧は別会社に引き継いだという。エロディはその会社名を確認し、内部監査に報告した。以前の担当者は引退しているが、記録の所在なら知っているかもしれないと上司は言った。退職者を疑うためではなく、手続きの由来を確かめるために連絡することになった。夕方、見学に来た学生から礼状が届き、鍵が二つ必要な理由を初めて理解したと書かれていた。エロディは手紙を掲示板に貼った。誰が何を預かるかを示す小さな仕組みが、職員の誇りでもあった。 古い管理の慣行は、説明する人がいなくなれば簡単に謎へ変わる。
エロディはそれを複写し、二人の職員で封印を確認した。今度は誰の仕事も曖昧にしないためだった。




