戻された費用
ルイーズは銀行から、古い管理手数料の一部が返金された通知を受けた。理由は「支払先の資格失効」。額は小さいが、何十年も更新され続けた費用であることを考えると、不自然だった。
彼女は法務担当と確認し、誤送金の返還なのか契約解除なのかを尋ねた。回答は曖昧で、契約の名義変更が済むまで待ってほしいという。
午後、従業員代表との交渉が進み、転勤できない職員に退職金の上積みが決まった。誰にとっても十分ではないが、一人で交渉していた頃より状況は良くなっていた。
夕方、ルイーズは古い台帳へ返金額を記入した。これまで承認していた者の資格が失われたのなら、代わりに誰が承認するのか。その欄には署名がなかった。
彼女は勝手に取引を止めず、法務部へ判断を求めた。会社の資金は顧客のものでもあり、疑問だけで動かせない。
銀行の担当者は支払先の資格失効について、理事会の登録更新が途切れたためだと説明した。つまり承認者が死んだとも、何者かに追われたとも限らない。ルイーズはその区別を会計責任者へ伝えた。それでも今後の支払いには新しい承認が必要になる。信託の職員からは、福祉施設への送金を止めないでほしいという電話が入った。ルイーズは自分に支払いを許可する権限がないと説明し、緊急の相談先を案内した。数字の向こうで困る人がいる。彼女はそれを忘れたくなかった。夜、古い手数料の行を訂正し、変更の理由を他の担当者にも分かる言葉で記した。
帰宅すると、隣家の子どもが花壇の水やりを手伝っていた。ルイーズは礼を言い、明日の天気を確かめた。




